マウリポリ20日の記録

自分は無事だ。ここは映画館で画面の向こうは行ったことのない街だ。家族はそこにはいない。

本当に衝撃的な映像、死は隠されているのかもしれないがそれでも受け入れられる、理性で自分の無事を確かめられるギリギリの映像を見せられた。いや編集されて見せてもらえた。

これは絶対に皆が見なきゃいけない映像だ。映画ではない、どちらかというとアイドルのライブ映像の配信みたいなもんだ。映画館の設備を使った上映会。戦争の、ウクライナの。侵攻が始まって3週間ぽっちで、いや、映画を見て知ったがほんの数日で日常が壊され。インターネットを含めたインフラを破壊された人々がどのような状況におかれたのかという事実の記録。

この映画には個人の感想なんてものはない。自分も戦地にいるような錯覚。娯楽じゃない映像を見せられると自分はこんな反応を示すんだと分かった。エンディングでまだ暗い中立ち上がっていく人達の気持ちがわかる、早く逃げ出してしまいたい感じ。年齢でゾーニングされてる理由がわかる。

戦争が始まったら、そこから動けるのは1週間もない。4分の1の人は退避した。残った人はなぜ残る選択をしたのか?亡くなった人は何故死んでしまったのか?その答えは示されていない。運だったとしか言えないのか。

侵攻に至るまでの一連の流れがあったことも知った。そういうことを敏感にキャッチして身の振り方を考えたら生き残れる?生きていくことって本当は難しい。命があるだけで有難いんだな。

自分は。迫り来る的に協力したり無抵抗を示せば素通りされる。食糧とか奪われるくらいで復旧可能な、心理的に許せない程度で済むんじゃないかと思っていた。それはあり得ないと分かった。
人間同士の対話ではない。ギブミーチョコレートって言える兵士がいない。飛んでくるのはミサイル。ミサイルミサイルミサイル攻撃。不幸にも犠牲になる人。そこには年齢も性別も関係ない。

ミサイルと対話しようなんて?
できるはずがない!
それが戦争だ。人はいない。人が操る兵器の炎と鉄が自分の前に迫ってくる。そのことを知った。

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