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#41 本の感想2023年5~6月

2023年5月~6月に読んだ主な本の感想をまとめて。

○『熱帯』/森見登美彦
佐山尚一という人物の記した本『熱帯』の謎に迫る小説。
森見さんの小説は面白おかしい話と不思議な話に分かれると思いますが、本書は後者。
最後まで読んでもよくわからないし、すっきりもしない。
でも、なぜか読み進めてしまう。そんなお話です。

○『日の名残り』/カズオ・イシグロ
イギリスのとある屋敷で執事を務めるスティーブンス。
旅に出たスティーブンスは長年仕えた主人や、ともに働いた女中頭などに思いを馳せます。
一貫して「執事としての品格」を追求するスティーブンス。
旅とは自分を見つめなおす良い機会なのでしょう。
カズオ・イシグロの小説を初めて読みました。

○『吾が住み処 ここより外になし』/岩見ヒサ
岩手県田野畑村の元開拓保健婦だった著者の自伝。
無医村だった地域の住民生活の向上に尽力しただけではなく、
岩手県への原発誘致反対運動の先頭に立った人物でもあります。
盛岡を中心に展開するさわや書店が東日本大震災直後に、原発関連本として本書を大きく売り出したことで知られています(他の原発関連本を差し置いて)。
岩手県民は知っておくべき人物でしょう(岩手県での知名度はわかりませんが)。
ちなみに本書を購入したのはさわや書店本店です。

○『天国はまだ遠く』/瀬尾まいこ
仕事も人間関係もうまくいかない主人公の千鶴は、山奥の民宿で睡眠薬自殺を図るも失敗。
民宿の田村さんの大雑把さや、穏やかな大自然に触れることで少しずつ心を癒していく千鶴。
でも、ここは自分の居場所ではないと気付いて旅立っていくという話。
嫌なこと辛いことがあると何度も読み直していた小説。
今回は舞台となった京都府宮津市を訪れるにあたって再読しました。
宮津の宿で最後を読み終え、感慨深い気持ちになりました。
どのページに目を通しても、心を癒してくれる言葉があります。

○『山崎怜奈の言葉のおすそわけ』/山崎怜奈
ウェブに連載していたものをまとめたフォトエッセイ。
いちいち言葉が心に刺さるし、共感してしまう1冊。
山崎怜奈とはどんな人か?何を考えているのか?その一端が垣間見えるかもしれません。
ふと開いたページに何かヒントが転がっているかも。

〇『暮らしっく』/高橋久美子
著者の飾らない、無理をしない、文明を取り入れつつもちょっと古風な生活を綴ったエッセイ。
東京って勝手に冷たいイメージがありますが、それは大きな間違えなんだなということを改めて実感されてくれる一冊。
古い一軒家に住み、近所に落ちている梅を拾って梅仕事にいそしむ様子。
実家が愛媛の農家ということもあり、食材に対する考え方。
断捨離が流行る中、物を捨てずに大切にしていく姿勢。
などなど。
どこを切り取っても何かしらの気づきが得られるのではないかと思います。

〇『一旦、退社。50歳からの独立日記』/堀井美香
元TBSアナウンサーである著者の退社後の日々を綴った本。
アナウンサーに対しては、勝手にしっかりしたイメージを持っていましたが、良い意味でそのイメージが崩れました.
仕事に対しては真面目で、周りからの人望も厚い一面。
1日の食事がお菓子だけという堕落した一面。
ライフワークになっている朗読を続けている理由が「自分のため」。
特に「自分のため」という点にとても共感しました。
誰かのためではなく、自分のためというところがしっくりきます。
自分と同じ考え方を見つけては、少しだけ安心してしまいました。


本を紹介するとき、具体的に良かった点を挙げた方がわかりやすいのかもしれません。
でも、書評の専門家でもないので、なんとなく雰囲気で感想を述べても良いのではないかと思います。
ふと開いたページに共感する言葉があったり、自分が悩んでいた問題を解決する糸口があったりするのです。
だから読書は面白いのです!


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