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「相手に『伝わる』話し方」について考えていること

池上彰氏のエッセイ「相手に『伝わる』話し方」を読んでいて、そういえば最近「伝えかた」に関わる考え事をすることが多いな、と思った。むしろ、そういう時期だからこそ手に取った本なのかもしれない。
本の一部(←重要)を要約しつつ、
そこから考えたこと2点を備忘録的に記録しておこうと思う。


「信用してもらう」こと

記者としてたとえば警察から話を聞きだすのに必要なことは、一般企業の営業やセールスマンに求められていることと実は同じなのではないか。
「この商品は素晴らしいから買ってください」と言うのは簡単で、素晴らしい商品を作る競合他社も存在するなかでただその特徴を羅列するだけではセールスマンの存在意義はない。
人が人に売り込むにあたって大切なことは「信用してもらう」こと。”信用している人にお勧めされたから” 買う、詳しい情報を話す、頼る。こういった人間の人間らしい部分を利用して初めて、セールスマンがセールスマンたりえる。

本文要約

では、「信用してもらう」にはどうすればいいか?
「共通体験を持つこと」である。
長い時間を共に過ごせば、共通体験について語る時間が増え、次第に信頼してもらえるようになる。大変だった出来事を共に体験すれば、苦労話を共有できる。
教えを請うのも一つの手である。相手が聞いてほしいと思うことを、ある種無邪気な好奇心をもって質問する。自分が語りたいことに興味を持ち、聞いてくれる人に惹きつけられない人はいない。

本文要約

「共通体験をもつこと」「教えを請うこと」と言っても、簡単ではないように思う。自分の時間を削る必要があるし、忍耐力も必要だし、教えを請うにしても、池上氏も触れていた通り、そこに下心があれば上手くいかない。
あくまで「無邪気な好奇心をもって」いることが必要なんだろうな。

最近仲良くなった知り合いに、世界旅行の資金を稼ぐためキャバ嬢として働いている人がいる。
「大変そうな仕事だね」と相槌をうつ私に、「お客さんの話したそうなことを質問して、うなずいていればいいから楽だよ」と彼女は何ともないように答えていた。
それが難しいんじゃないかと思ったが、彼女は確かに聞き上手で、相槌も的確、質問もいい意味で無邪気で、どんな年上にも可愛がられている。
こういうことか

逆に、母に本の内容を問われて簡単にこのあらすじを紹介したとき、
母は「私にはとてもできない分野だわ」と答えた。
かつてとあるメーカー企業の新入社員として営業部に配属された母は、「指定された商品を同じ売り文句で売ること」は自分でなくてもできるのではないかと悩み、加えてお客さんの信頼を得ようと自分を偽るうちにやはり自分を見失い、営業の仕事は向いていないと悟ったらしい。
最近になって就活相談を受けるようになった母は、「顧客に合わせて自社のサービスを組み合わせ提案する」という形の営業と、「自分への信用をキーに特定の商品を売り出す」という形の営業とでどちらに行きたいのか、学生たちに問うているらしい。面白い視点だなあと思う。

とにかく、良くも悪くもあまり後先考えず、ものごとに素直な好奇心を持って向かって行ける人、そしてそれを信用という形で積み上げていくのが、(おもにメーカーの)営業という仕事なのかもしれない。

とはいえ「信用してもらう」能力は社会人になるなら必要不可欠であって、苦手なら苦手なりに、自分のやり方を探っていきたいな

いろいろ思考を練ってしまうなら、それをそのつど言語化して周りの意見を聞いてみるようにするだとか、
自分の好きなことについてなら興味を持てるなら、逆にそれを発信し続けて面白がってもらうとか、
少しでも知っているものに興味を持てるなら、まずは広く浅くものを知る努力をしてみるとか、

はは、人生は長くやることは多いなあ

”伝わりやすい”伝えかた

伝わりやすい伝えかた、というものがある。
しかもその方法は、文章メディアと音声メディアで大きく異なる。
そしてテレビであれば視覚的要素も重要である。
聞く人の知りたい順に話す。語りかけるように話す。
聞く人の立場に立った話し方を心がける。

本文要約

最近ーーー昨年から今年にかけて、「伝わりやすい伝えかたとはなにか」ということには興味を持ってきたように思う。
昨年参加したプログラムで最終発表のプレゼンターをしたとき、
修士研究の面談で先生に進捗を話し、議論に持ち込むとき、
インターン先で仕事内容を上司に報告するとき。

最終発表のプレゼンターをしたときは、スライドを何度も印刷して、入れ替え、必要ならば足し、不要なものはすべて抜いた。言葉ひとつひとつで理解できるように、言葉の組みかたも熟考した。
中身を充実させるのは大前提として、伝わりやすい伝えかたや発表する場に合わせた伝えかたで伝える重要性を学んだ。

話は逸れるが、せっかくデザインや絵が好きな自分でいるのだから、そこに自分の得意を組み込めないかと考えている。
その方向性はまだ手探り段階であるが。

修士研究の面談で議論に持ち込むときは、何度も注意を受けた。というより現在進行形で注意を受けている。「君の文章はどこまでが引用でどこからが自分の考えなのか見えにくい」「自分流の言葉遣いをするな」と言われ、自分のふがいなさに何度も泣いた。
今でもできているとは思っていないが、せめて修士を卒業するまでには、読める文章をすらすらと書けるようにならなければと痛感しているところである。

インターン先では、朝上司に指示された仕事内容について、調べた内容を図表や文章でまとめ、夕方に報告をする。これだけの仕事であっても、調べた内容のうち上司が知りたい内容を中心にまとめ、体系的に語ることの難しさを身にしみて感じている。
はじめのとくに2か月は、上司の求めている内容を掴み切れずに間違った方向で進めてしまったり、本質とはずれた報告になってしまったりと、恥ずかしい失敗ばかり繰り返していた。
3か月、4カ月と経ったいま、「仕事の3割地点と7割地点で相談する」「何を知りたいのか常に言語化し、書き起こす。そうすることでできるだけ物事をシンプルに考える」「何を考えて仕事を進めたか、フローチャート状にして残しておく」「フローチャートを踏まえ、仕事内容を俯瞰した形で報告する」「理解したことは絵と言葉にまとめる」「できたこととできなかったことの線引きを明確にし、記録に残す」…など、すこし要領を得たように思う。
専門知識を必要とする仕事ではあるが、専門知識よりもまず必要とされるのは、「仕事の進め方」を整理することなのかもしれない。そしてその「仕事の進め方」は、顧客に、上司に、同僚に、そして未来の自分にうまく「伝える」という技術の集合体でもあるのかもしれない。


「伝わりやすい伝えかた」は、場所、時、相手、手段によって大きく変わるもので、その背景を読み取り、適切な方法を選択することも重要
一方でどんな状況にも共通するのが、池上さんも文中で何度も言及していたとおり、自分の伝えたいという気持ちに加えて「聞く人が何を聞きたいのか」を中心に据えるべきであるという点なんだろうな。

以上、個人的感想おわり!


その他気になったことばのメモ

これ以外にも、いろいろと考えさせられるキーワードを拾えたので
以下メモ。

・ありきたりの表現に意味はない
・つかみ
・話の優先順位を整理すること
・言葉の伝わりかた
・一旦絵が思いつけば、その絵をなぞって説明ができる、理解しなおせる
・喧嘩したとき、間違えたときこそ、その対応を考えて向上していけるチャンスになる
・自分のなかでブレインストーミングをしてみる
・分かると思って使っている言葉も実は分かっていなかったりする。その言葉の意味は?と問いかけ続けたい

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