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高校時代、スクールカウンセラーの先生に助けてもらった話。


「カウンセリング室って行ったことある?」

友人のその一言で、初めて私は高校のカウンセリング室を訪れ、

その後の高校生活でひたすらお世話になる先生と出会うこととなった。


とても穏やかで、でも竹を割ったようなさっぱりした性格の先生。

その先生と過ごす時間が大好きで、

特にこれといった悩みがなくても、先生とお喋りしたいがために

友人とカウンセラー室を訪れていたりしたものだ。



当時の私は、なぜか友人たちから相談を受けることが多かった。それも経験値のない恋愛に関して。

そして、なぜか皆揃って、恋愛をすると他のことが手につかなくなるタイプだった。

昨日は地の底まで落ちているかと思えば、今日は天国だったり、

あんなに振り回されて悩んで泣いて愚痴っていたかと思えば、数週間したら全然違う人に心ときめかせていたりする。

もちろん、幸せそうにしている姿を見るのは嬉しいし、力になりたいけれど、

せいぜい経験値ゼロの私にできるのは話を聞くことだけで、

「どうしたらいいと思う?」と言われても、まともなアドバイス一つできない。

とは言え、恋愛以外のことがだんだん回らなくなっていくのをただただ見ているのも心苦しい。

そして何より、本人は信頼して私に話してくれているのだから、誰に話せる話でもない。

申し訳ないとはわかっていても、なんとなく、しんどいなあ。と思う日々が続いていた。


今は、恋愛というものが、いかに自分の思うままには行かないかということがわかるから、彼女たちの気持ちも少しは理解できるけれど、

当時の私には全く理解できていなかったんだろうな、と思う。


そんなある日。

いつもは友人たちと訪れていたカウンセラー室へ、一人で向かった。

運良く誰も予約者はおらず、部屋には先生だけ。

様子を察して、個室を案内してくれた先生は、やはりプロだなあと思う。


「ここで話したことは、誰にも伝わらないから安心して」の一言で

堰を切ったように私は今までのことを話し始めた。

先生は相槌を打ちながら、ただただ黙って聞いてくれて。

一通り話終わると、いつもの穏やかな微笑みを浮かべて、こう言った。


あのね、Judyさん。
誰かが“どうしたらいい?”とか“どうすればいいと思う?”って聞いてくる時は、
“あなたはどうしたいの?“って返すだけでいいのよ。
大体の場合、そうやって聞いてくる頃には、その人の中ですでに答えが決まっているものだからね。

何か一緒に解決策を考えなきゃ、とか、アドバイス、とか

いろいろ考えてぐちゃぐちゃになっていたものが、ストン、と剥がれて

すうっと気持ちが楽になった。

そもそもそんなこと、求められてなかったんだ。と

大袈裟に考えていた自分がちょっと恥ずかしくなるくらいだった。


卒業してもう5年以上が経つけれど、

あの日の先生の言葉に、未だに助けられることが多い。

あの時、家族でも学校の先生でも友人でもない「先生」に助けを求められる環境があったこと。

本当にありがたかったし、良い出会いだったなあ、としみじみ感じている。


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