シェーンの誤謬について その1

こんにちは、すんどめパターソンです。
いつも書かせて頂いているバカ・エッセイとは別に、すんどめが提唱する「シェーンの誤謬」についてお話しするFacebook上の記事を、せっかくですからnoteにも転載させて頂きます。

「シェーンの誤謬(ごびゅう)」とは何か。
ご説明する前に、ちょっとアンケートをしたいと思います。
1.あなたは映画『シェーン』(1953年、米)を観たことがありますか?
「はい」の方 → 質問2に進んで下さい。
「いいえ」の方 → できればDVDを借り、『シェーン』を観て、1か月ほど経ってからまた当ページをご訪問下さい。
2.あなたは映画『シェーン』の主人公シェーンと、彼を慕い最後に「シェーン! カム・バーック!」と叫ぶ少年の、2人の人物を憶えていますか?
「はい」の方 → 質問3に進んで下さい。
「いいえ」の方 → ☆に進んで下さい。
3.その少年の母親を憶えていますか?
「はい」の方 → 質問4に進んで下さい。
「いいえ」の方 → ☆に進んで下さい。
4.母親の人物像は、次のうちどれに一番近いですか?
(1)最初から未亡人
(2)物語の途中で夫が死んでしまい、途中から未亡人
(3)夫がどこか遠くへ行っており、女手ひとつで少年を育てている人
(4)親子3人で仲良く暮らし、最初から最後まで夫が健在である奥さん
(5)夫はおろか多数の男性と関係を持ち、マッタク家庭円満でない奥さん
質問は以上です。どの答えの方も、☆に進んで下さい。
☆最後の質問4で、(1)~(3)と答えた方!
はい、いまあなたの頭の中で起こっている現象、それが「シェーンの誤謬」です。
いっぽう、(4)と答えた方。
あなたには、(この件に関する限り)シェーンの誤謬が起こっていません。
実は、(4)こそが正しい記憶です。
『シェーン』のあの母親(奥さん)を、未亡人など、何らかの形で夫が不在の人というふうに記憶違いをしてしまう、この現象を私は「シェーンの誤謬」と名づけました。
言い換えると、『シェーン』に出て来る少年の父親の存在を、記憶の中で消してしまう現象が「シェーンの誤謬」です。
実は私自身をふくめ、私がこの話題で会話をしたほとんどの人が、あの奥さんを未亡人(または途中から未亡人)と記憶しているのです!
つまり、みんな「シェーンの誤謬」にかかっています。
私はこのことに気づいたとき、とても興味深く思いました。
これは、何か学術的な研究の対象になりうることなのか否か。
いやそもそも、どのくらい多くの人に起こる現象なのか。
正直まだ、何も分かっていない段階です。
私は、このような場で、まずはこうした現象を体験している方がどのくらいいるのか、多くの方と語り合いたいと思いました。
そこでまず、私なりに「シェーンの誤謬」をこう定義します。
シェーンの誤謬:人の記憶の中で、物語が変質する現象。えてして物語がより合理化され、つじつまが合っていく傾向にある。
これが現状での、狭義の「シェーンの誤謬」です。
なぜ「えてして物語がより合理化され、つじつまが合っていく傾向にある」という一文を入れたのかについては、おいおいお話していこうと思います。
また、より広義の定義として、
物語が人から人へ語り伝えられるうちに変質していく現象
も、ふくめようと思います。
何しろ、まだ科学的なアプローチをできる対象かどうかも分かりませんし、私はそもそも心理学の専門家でも文学の研究者でもない一介のシロウトですから、いちおう私なりのフワっとした定義に対して「シェーンの誤謬」という名前をつけるところから始めます。
さて、みなさん。
みんさんにも、物語が記憶の中で変化してしまった体験って、ありませんか?
『シェーン』でなくても、どんな物語でもけっこうです。
本でも映画でも演劇でも漫画でも、なんでもけっこうです。
前に味わった物語を、あとになってからもう1度味わったとき、
「あれ!? こういう話だっけ? ここはこういう展開だと憶えてたのに、記憶違いだった!」
といった体験です。
現段階では、より合理化されつじつまがあっているかどうかは、気にしないで下さい。
ちょっとでも該当しそうな体験があったら、どんどん書き込んで頂きたいと思います!
また、こういうことはすでに心理学・脳科学などで研究されているのかどうなのか、知識のある方からのご教示もお待ちしています!
私は実は、この「シェーンの誤謬」が、物語の生まれる過程に、ひいては人生が人生たりえるためにとても重要な役割を果たすものだとさえ思っています。
ですが、まあ、そんなオオゲサなことはさておいて、シェーンの誤謬についてみなさん、ぜひ楽しく語り合いましょう!
みなさんの「シェーンの誤謬」、お待ちしています。

拙著『シェーンの誤謬』 ここから購入できます
https://www.amazon.co.jp/dp/B07FYT4Q65/

この記事が初出されたFacebookページ「シェーンの誤謬」はこちら
https://www.facebook.com/sundomepatterson/?ref=bookmarks


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?