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漫画みたいな毎日。「バスケットは・・・お好きですか?」

今年は、映画「THE FIRST SLUM DUNK」を観るために映画館に何度足を運んだだろう。

バスケットボールのワールドカップも開催され、二男は、近くの区民センターで開催しているバスケットボール教室に秋から通い始めた。大いにバスケットボールに盛り上がった一年であった。

私たちの住む北海道には、Bリーグ、プロバスケットボールのチームが存在している。

レバンガ北海道だ。

今までにも、子どもたちが学校から受け取るチラシの中に度々入っていたBリーグの観戦案内を目にすることはあったが、そのときは私も積極的に「行ってみよう!」という気持ちにはならず、子どもたちに聞いても、うんともすんともハッキリしない答えが返ってくるだけだった。

でも、今回は違った。

私がチラシを見ると、〈ホームゲーム無料ご招待。最大4名まで。〉日程はクリスマス・イブとその前日だった。

子どもたちに「Bリーグの試合があるけど、もし当たったら観に行きたい?」と尋ねると、「行きたい!」と三人とも即答だった。

映画スラムダンクと、ワールドカップ、二男のバスケットボール教室と、バスケットボールが身近になったのだろう。生でプロの試合を観てみたい、とのことだった。

行くなら24日がいいな。23日はきっと幼稚園のクリスマス会があるだろうから。私は早速チケットの抽選に申し込んだ。

そのことを忘れかけた頃、LINEで当選のお知らせが来た。

「Bリーグのチケット当たったよ!」

夫に行く?と聞いてみたけど、「バスケのことわかる人が行ったほうがいいでしょ。」と私にチケットを譲ってくれた。

私は一応、バスケットボールの経験者だから。といっても、中学の時に少しかじった程度で、高校の時にはスラムダンクの世界とは程遠い帰宅部でバイト三昧の日々を送っていた。

それでも、リアルタイムで中学生の時にスラムダンクを読んでいたら、バスケットボールを続けていたかもしれないと思うことがある。それくらい、漫画「スラムダンク」に感じる熱量は大きい。


私が初めてプロバスケットボールを観たのは、まだ20歳くらいの頃だっただろうか。年上の友人が、マイケル・ジョーダンが招待されてやって来るというチケットが手に入ったと誘ってくれたことがあった。自分の知るバスケットボールとは程遠いプレイに圧倒されたという記憶が残っている。

チケットが当選したのも何かの縁。「行ってみたい!」というこのタイミングが、子どもたちにとっても良いタイミングなのだろう。

幼稚園のクリスマス会の翌日。朝からクリスマスパーティーの食事を仕込み、14時過ぎのティップオフに間に合うように家を出る。会場は、雪や渋滞で交通事情が悪くなければ、家から車で30分弱だ。

その日は、道路も混雑しておらず、スムーズに会場に到着した。

入口を抜けると、そこはお祭りのような雰囲気で沢山の飲食のお店や、レバンガの選手の応援グッズ、選手の生写真が販売されていて、原宿の竹下通りにアイドルの生写真が売っていたのを思い出していた。

とにかく、「レバンガ北海道を応援して盛り上げようぜ!」という空気に満ちている。私たちはその空気にやや圧倒されつつ、電子チケットの座席を確認し、座席に向かう。

試合開始前の会場は静かなものなのだろうかと思っていたが、それは大きな勘違いだと、このあとすぐに知ることになった。

会場は、まるで何かのコンサート会場のように大きな音楽とチアリーダーの踊り、ライトアップも豪華で目がチカチカする程。コートの上は想像していなかった賑やかさだった。

「音が大きいねぇ!」と末娘と二男は目をパチクリしていた。今回はレバンガ北海道のホームゲームであるので、レバンガへの盛り上げ具合が半端ないことに驚く。

選手が登場すると、通路の両脇から花火が上に向かって発せられるのだ。プロレスとかで観たことあるなぁ、これ!

シュートをしても、ディフェンスになっても、とにかくレバンガへの応援のアナウンスが激しく繰り返される。

『頑張れレバンガ! 頑張れレバンガ!』

これって回分?レは被ってるけど。あぁ、レバンガって頑張れなのね!と今更気が付いたのだった。

『ディフェンス! ディフェンス!』

オフェンスの時も、ディフェンスの時も、応援が絶えない。

野球もそうなのだが、私はバスケットボールチームで贔屓のチームが居ない。地元愛が薄いのだろうか。いや、それだけでもないのだろう。私の父は巨人軍の根強いファンで、試合に負ける度に不機嫌になり、大変な迷惑を被った。どうしてそこまで熱くなれるのだろうと不思議に思っていた冷静な子どもだった。スポーツが嫌いなのではない。アスリートたちの姿に感動することも多々ある。しかし、熱くなって盛り上がることには違和感があるのだ。

レバンガの応援があまりにも盛り上がっていて、対戦相手の京都ハンナリーズが気の毒になってしまう。ハンナリーズがフリースローを打つとなると、ブーイングに近いものが起きるのだ。

個人的には、ハンナリーズの動きも素晴らしくて、「どっちも頑張れ!」と応援する気持ちになったし、ハンナリーズのシュートやパス、カットインも素晴らしくて、「おぉ!」と自然に声が出る。

もちろん、それはレバンガに対しても同じ。

みんな、みんな、選手たちの動きも、試合を勝利に導こうという意志もスバラシイ!と感動しっぱなしだったのだ。

「どっちも頑張れ!」

私は心の中でエールを送り続けていた。

試合運びは、とてもスピーディーで、末娘などは目で追うのが大変だったようだ。二男もゲームに集中することで、周囲の音が耳に入らないようにしているように見えた。

私もゲームの全体を観て、ボールを追うので精一杯。そしてそれに集中したい。正直、応援のアナウンスも周りの歓声も聴かずに、ゲームの成り行きに集中していたいという気持ちになった。

これは、たまたまなのだけれど、私達の後方に座っていた男性の声が、私を度々苛立たせた。

「あ~無理にきまってるじゃん。」
「なんでそういうパスだすかな~。」
「ダメだろ、それじゃ。」
「あ~!しょうがないなぁ、そんなんじゃ。」

私も、少なからずバスケットを経験してきた。そして、プロの試合を観て思うのは、選手たちは、プロになるまで、そして、プロになってからも、どれくらい練習し、どれくらい研鑽してきたのだろうか、その一部としての表現がこの試合というひとつの形なのだろうということだ。

それを想像すると、彼らのプレーに文句などつけられない。

自分だったらできるか?と言われたら、否、だからだ。

私の脳内のヤンキーが顔を出す。

「アンタに同じプレーができんの?できないんだったら黙って見てな!」

す、スミマセン。

脳内ヤンキー、大暴れ。

どの選手も素晴らしい。懸命に試合をしている。良いゲームにしよう!という気概が伝わってきて、私は終始わくわくが止まらなかった。

一方で、プロバスケットボールとは、商業的要素も強いのだということも今回感じたことだった。

タイムアウトの度に、チアリーダーの方々がクリスマスの曲に合わせて華麗なダンスを披露し、時には、スポンサーからのプレゼントが貰えるアクションがあったり、事前に会場のポイントラリーに参加していた人から選ばれた親子が、U19の選手とフリースロー対決をするというイベントも盛り込まれていた。

アナログな私には一体どういう仕組なの?とわからないことだらけで、ちっとも把握できなかったのだが、プロバスケットボールというのは、沢山のスポンサーと沢山のサポーターに支えられ、プロリーグが成り立っているということなのだろう。

試合後には、ファンサービスとして、ハイタッチに応じ、コート内で写真撮影にも笑顔で快く応じている選手たちにすっかり感心してしまった。試合で力を出し切って、疲労しているだろうに。

彼らは、サポーターが自分たちのバスケットボールをする環境を支えてくれている大事な存在だと認識しているのだろう。

レバンガ北海道も、京都ハンナリーズも、素敵なバスケットボールを見せてくれた。他のBリーグのチームはどんな試合をするのだろう?と他のチームにも興味が湧いた。

バスケットボールは、シュートの華麗さも注目されるが、私は、選手たちがディフェンスする姿に気持ちが熱くなる。

どんなにオフェンスが強くても、ディフェンスが強いチームには敵わないと思っている。ディフェンスは地味で耐えることも多いが、だからこそ、チャンスを作ることが出来るのだと思う。

「オフェンスはディフェンスから」

三井寿も言っている。

中学時代、もっとディフェンスの練習をしたらよかったな・・・と今更ながら35年以上前を反省するのだった。

観戦を終えて、試合はレバンガ北海道の勝利となった。いやいや、どちらのチームも素晴らしかった。

自分には一生掛けても到底できないであろうプレーをする選手たちに心から尊敬の念を抱きつつ、日本のバスケットボール界が、バスケットをやり続けたい人たちを支えてくれることを願う。

その為に私たちにできることは何だろうと考える。

大きなことではないかもしれないけれど、映画スラムダンクやワールドカップでの盛り上がりが一過性のものにならないよう、バスケットボールへの興味を失わないことだと思っている。


「バスケットは・・・お好きですか?」

今、晴子さんに聞かれたら、こう答えるだろう。

「ハイ!大好きです!」

プロの試合を間近にし、肌で感じて、久々に思い出した感覚。


私は、バスケットボールがものすごく好きなんだ。


コンサートの様な賑やかさ!


コートが思っていたよりも近かったです!
今度はコートサイドで観たい!と子どもたち。


こんなパネルも!
クリスマス仕様の選手の皆さん、ありがとうございます!


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