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漫画みたいな毎日。「本を修繕することは、自分の綻びを繕うこと。」

長男が知人から、生物の図鑑を沢山いただいた。

学校で使わなくなったものらしく、高価なオールカラーの図鑑などもあり、ありがたい限りだ。

自然科学の情報は、調査や研究が進み、日々、進化し変化していくので、古い図鑑は役に立たないのでは?と思う方もいるかもしれないが、我が家の子どもたちは、昆虫や生き物、恐竜の古い図鑑も大事に使っている。

以前の情報と最新の情報がどのように違うのかを比べ、楽しんだりしているようだ。

楽しみ方というのは、色々あるのだなぁ、と子どもたちの姿から感じる。

いただいた図鑑の中に、だぶっている物があったようで、「誰か生き物好きの子にあげようかな」と、長男が数冊持って来た。

本の状態を確認すると、ページが外れている箇所があったり、中割れしていた。このままでは、長くは使えないだろう。

しかし、他の場所は殆ど傷んでおらず、状態も悪くない。そこで、ブックシートを使って補修することにした。

補修の仕方を調べようと、検索するとこんな本が。

とても気になる。

図書館の蔵書は、どれも綺麗にシートが貼られており、いつもその美しさに眼を見張る。

我が家の絵本の修繕を何度となくやり、保育士として働いていた時も、絵本を修繕する機会が多くあったが、このブックシートを美しく貼るのは簡単ではない。

ブックシートと呼ばれる透明コートフイルム。本を焼け、汚れ、劣化から守ってくれるすぐれものだ。

カットされたタイプもあるが、私は、このロールタイプを必要なサイズや形に切って使うのが好きだ。本の規格は、様々なのでカットされていると足りなかったり、大きすぎたりする。他のメーカーの品物は使った事がないのだが、今は、こちらのブックシートを使っている。

保育士として働いていた時は、ブックシートを贅沢に使っていた。大きな大きなロールで画材の倉庫に置いてあったからだ。

ブックシートが高価なものだと知ったのは、子どもが産まれ、絵本を修繕する為に自分ので購入した時だった。

今まで潤沢に使っていたのだなぁ、としみじみ思うと共に、やや無駄遣いしていたかもしれないと、反省の気持ちも湧き上がった。

そんなことを思い出しつつ、図鑑の修繕に取り掛かる。ページが切れている所は、ブックシートを裏表から貼る。

中割れを修繕した事は無かったので、修繕方法を調べる。

①木工用ボンドなどを綿棒で割れた部分に丁寧に塗る。
②はみ出た部分は直ぐに拭き取る。
③本を閉じ、クリップなどで外側からしっかり固定し、乾かす。

この様に文字にすると、とても簡単な工程なのだが、何で接着したらいいのか?固定はどの様にするのか?と、迷ってしまった。

数時間、そのまま乾かしたら、中割れもしっかり接着され、ページを開く事もスムーズになった。

ほんの数十分、静かに、丁寧に、作業する。

すると、でこぼこしたり、尖っていた心や身体の波形が、緩やかな線になっていく感覚がある。

「ずっと、こういうことだけやっていたい気持ちになるでしょ?好きだよね、こういう作業。」

と、黙々と作業する私を見ながら夫が言った。

本を修繕しているつもりが、いつの間にか、自分の中のあちこち綻びた部分を繕っているのだろう。

直す必要のある本の綻びを見つけると、嫌な気持ちよりも、修繕する過程と、それを終えた時の心地よさを思う。

本を修繕するという行為は、私の綻びを繕うことに付き合ってくれているのかもしれない。

勿論、本の修繕が必要ない状態が、なるべく長く続けば望ましいが、修繕していく事も、私の愉しみのひとつになった気がしている。




学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!