漫画みたいな毎日。「自分の音に還る時間。」
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漫画みたいな毎日。「自分の音に還る時間。」

やなぎだ けいこ

我が家には、電子ピアノがある。

持ち主は夫で、30年程前に買ってもらったのだそうだ。
タッチをピアノに近づけようとした製品らしく、その鍵盤は重たい。

段々と古くなってきた電子ピアノは、鍵盤の重りを支えている部分が劣化し、鍵盤が落ちてしまう。夫は検索し、自分で修理を続けている。

私も保育士時代に、夫の部屋で何度もピアノの練習をさせてもらった。

しかし、保育士の資格を取得する為だけにピアノに向き合っていた私にピアノを楽しむ余裕などなかった。必死に課題のバイエルの楽譜とにらめっこし、動かない指を動かそうともがいていた。

その印象が拭えず、今は殆どピアノに触れることが無くなってしまった。

リビングで物置になりがちな電子ピアノを「物置にしない」と心がけ、
いつでも触れることができるようにしたいと夫が気をつけてくれたので、
最近では、子どもたちも気が向くとピアノに触れている。

夫も隙間時間でピアノの練習をしているようだ。
指使いを見ていると、私よりも夫の方が、ピアノに向いていると思える。


我が家の中で最も、音を奏でるのが好きなように感じられるのが二男だ。

気がつくと二男が奏でるピアノの音が耳に届く。
ちょっとした時に、電子ピアノに触っている。

朝、起きた時。
出掛けて帰宅した後。
兄妹喧嘩した後。
あそびとあそびの隙間。
食事の前や眠る前のひととき。

いつも楽しげで賑やかな雰囲気を纏う二男だが、
ピアノの前では、彼が纏う空気は、静かになる。
実は、人一倍、静かな時間や空間を求めている人なのだろうと思う。

その話をしたら、夫が、
「自分の音に還る時間なのかもね。」と言った。

うん、そうかもしれない。
静かな自分に還っていく時間。

そんなに沢山の曲が弾けるわけではないが、
耳で覚えた曲の音を探して奏でていく。

私は彼の奏でる音が好きだなぁ、といつも思う。

今日も、やさしい音色が私の耳に届く。




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やなぎだ けいこ

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思いついた人が担当。
やなぎだ けいこ
東京生まれ東京育ち。障害児施設・公立保育園に10年勤務後、神奈川県逗子市にて玄米おむすび専門店を立ち上げる。家族それぞれが「育つこと」を考え2011年に札幌市に移住。山にほど近い環境で、鍼灸師の夫と学校に行かない選択をしている三人の子どもたちとの「漫画みたいな毎日」。