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漫画みたいな毎日。「冬の朝、顔を洗いながら思い出す。」

この数日で北海道は、冬支度をいそがなくては、という気持ちに追われる寒さになってきました。

移住する前は、自分が北海道で暮らすことになるとは、思ってもいませんでした。海を渡ると、そこは、未知の世界。そんな風に思っていました。

北海道の冬を懸念して、初めはマンション暮らしを決めました。雪かきも車の周りをちょっとだけ。

水道凍結の心配もほぼありませんし、管理人さんもいたので、わからないことは、丁寧に教えていただくことも出来ました。

「北海道の住宅は冬の対策をしているから、暖かいんだよ。」と大学時代を札幌で過ごした夫の話を度々聴きながら、〈北海道の人は、部屋をガンガン温めて、半袖でアイスクリームを食べる〉というのは、本当なのだろうか?いつか北海道の方に聞いてみたいと密かに思っていました。

マンションに暮らしながら、森の中の幼稚園に親子で通い、長男が間もなく小学生になろうという年長の時のこと。

長男は虫捕りに明け暮れる日々。「もっと自然の多い所に住みたい!」と言い、二男も産まれ、男子二人のパワーにマンション暮らしは、気遣いが必要でした。

幸い、お隣の方も上の階、下の階の方とも、子どもたちが騒いでも「うちの孫もそうだから、大丈夫よ。」「遊びにきてね。」と言ってくださる老年のご夫婦やおばあちゃんで、とても助かりました。

しかし、ある日、ロビーに張り紙が。

「最近、マンションで子どもの声や足音が気になると声が寄せられております。又、朝7時前、夜21時以降の洗濯機の使用や、掃除機の使用をお控えくださいますよう、ご協力お願い致します。皆様が快適に暮らせるよう、ご配慮いただければ幸いです。」

う、うちの事?!!!!! 

男子たちは確かにドタバタと遊んでいる。
その時間に洗濯はしていたかもしれないなぁ・・・掃除機はかけてない、と思うけど。

なるべくマメにご挨拶に行ってはいたものの、張り紙を見て、お隣と上下階の方にご挨拶に行きました。

どのお宅でも、「全然うるさくないわよ~!」とのことでした。とりあえず、困らせていないのであれば、良かった、と胸を撫で下ろしました。

(その後、苦情は時々祖父母宅へと遊びにくるお孫さんへのものだったと聞き及んだのでした。)


そんなこともあり、長男の切望する「幼稚園に近い、山に近い、自然が多い場所にある2階建て一軒家、庭付き」を探し始めたのでした。

そんな条件のお家、あるんだろうか?

と、思っていた矢先、幼稚園の知人の紹介で、あっという間に長男の希望通りの家が見つかり、即引っ越し決定。

引っ越しが決まったのは、11月だったので、北海道ではいつ雪が降ってもおかしくない。

急げ!私たち!

なんとか雪が降らないまま、引っ越しを終えた翌日、札幌は数十年振りの大雪となり、家族皆、目を丸くして窓の外を眺めました。車が雪だるまの様になっていたのです。

子どもたちは、ふかふかの雪に大喜び。大人は雪かきで大汗かきかき。

「北海道の古い家は、寒い。」

そんな話も夫から聞いていたので、築40年を超えているお宅を借りることになったので、冬の到来をかなり心配しましたが、実際暮らしてみると、

あったかい。

排熱を床暖に使用できるストーブのおかげもありましたが、リビングは日当たりが良く、真冬でも温度設定したストーブが止まるほどでした。

なるほど、こういう状況であれば、「暖房ガンガン炊いて、半袖でアイスクリームもあり得るのかも。私は、お腹冷えて、寒いから無理だけど・・・。」と思ったのでした。


今朝、随分と冷たくなった水で顔を洗いながら、水の匂いと石けんの匂いを嗅ぐと、そんな、北海道に来てからの出来事が、一気に思い出されたのでした。

それに加え、私が育った本州の冬の出来事も、水の匂いと共に、浮かんできます。

気密性とは縁のない家で迎える朝は、お湯の出ない水道で顔を洗うのが億劫になり、中学生だった私は、思いついて、冷えた陶器の洗面台に熱湯を一気に入れ、洗面台を割ったこと。

寝起きには、姉とストーブの前の陣取り争いをしていたこと。

冬の温泉旅館で、着慣れない浴衣は風通しが良すぎ、寒い寒いと言いながら温泉まで小走りしたこと。

旅先の澄んだ空気の中、ちょっとレトロな洗面台の冷たい水で顔を洗ったあとの嗅ぎ慣れない清潔なタオルの匂い。


寒いけど、ちょっと凛として背筋が伸びる。

そして、寒いから、あたたかさを感じる。

冬ってそんな季節なのかもしれない。

連日の朝の気温の低さに、ややめげていたのですが、水の匂いが、私の中の冬の記憶をそっと取り出し、冬を迎える心の準備を整えてくれたようでした。


学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!