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「高学歴のほうがいい」と言ってきた人は全員、土下座で謝ってほしい

こんにちは、トキワです。

なんだか物々しいタイトルですみません、半分釣りです笑。しかし半分は本気です。では今回もエビデンスで示しましょう。知らなかった人も今後なんでも根拠なしに断言するのはやめましょう。

「高学歴・難関大学卒業」はただの情報商材

一番強力なのはこちらです。元の論文はこちら

「そこで、私たちの研究では、一卵性双生児のデータを使いました。一卵性双生児は、DNAのパターンも家庭環境も同じですから、双子の兄弟姉妹をコピーロボットのようにみなすことができます。そして、違う大学に進学した一卵性双生児の就職後の賃金の差を見てみました」
双子のふたりに賃金の差は、ほとんど見られなかったという。「同じ大卒であれば、どの大学に行っていても、その後の人生で得られた賃金に、ほとんど差はなかったんです。それならば、と教育段階を下げて、同じ設定で、高校の選択が学力に影響しているかを調べてみました。すると、同じ中学に通い、別の高校に通った一卵性双生児が合格した大学の偏差値にも、差はありませんでした
(略)
類似の研究として、アメリカでは、プリンストン大学の経済学者らが「大学の選択は将来の賃金に影響しない」ことを明らかにしている。この結果は、アメリカの教育関係者にもよく知られており、高校の進路カウンセラーが、生徒に『偏差値で大学を選ぶんじゃない。何をやりたいのかが大事だ』などとアドバイスしているという。

この時点で「難関大学だと将来安泰!」バイアスでずぶずぶの人にはすぐに理解できないでしょう。「え?」ってなると思います。

そこでこう反論したくなるでしょう。

いや、高学歴のほうが年収高い人が多い!」と。大学ごとの年収ランキングもありました。東京大学や一橋大学は上位にきています。

出典

「ほら、やっぱり高学歴のほうが年収高いじゃない」と思ったなら、あなたはいい認知バイアスをお持ちですね。

ここから因果関係の話になります。

おそらく一般的なイメージとしては、「しっかり勉強する→その結果優秀になる→その結果いい大学に受かる→良い年収を得る」でしょう。しかしこれがそもそも違うのです。

遺伝的にそもそも優秀→良い大学に入っても微妙な大学に入っても→将来年収が高い」ということです。

これが最初に紹介した双子研究の結果です。

最初に紹介した双子研究から、さらに詳細な分析を紹介します。以下は年齢とともに収入に何が強く影響しているか?というグラフです。まず遺伝は年を取れば取るほど影響が強くなります。一方で、共有環境はだいたい家庭環境のことですが、「塾・予備校や大学の学費にお金を費やせる家」の影響が20代は影響しますが、その後影響が弱くなります

「難関大学と普通の大学では年収に対する影響が変わらない」ということが分かりました。次は大卒が重要かどうか見てみましょう。

以下はよくみる学歴ごとの生涯賃金です。明らかに大卒のほうが高いですね。

ユースフル労働統計2021 ―労働統計加工指標集―参考記事

さらに、双子研究でも「教育1年長いと年収9.3%増」というのがありました。どうやら大卒のほうがよさそうです(論文)。

ただし細かく見てみると注意が必要です。上記の「9.3%増」は日本の場合で、アメリカやイギリスだと7-10%、中国だと4%と変わってきます。

上記の記事でも書かれていますが、教育の内容と仕事の内容が合っているかどうかが重要です。これが国ごとで違うようです。

研究の担当者は「筆記試験を重んじる教育システムのため労働市場で評価されるような技能や知識を身につけられず、結果として教育の収益率が低くなった」と分析。

上記記事

私の感覚ですが、こういった「将来の仕事のために教育を受ける」という視点がないままに「とりあえず大学いっておこう」と考える人がとても多いように感じます。「とりあえず」だと教育と仕事が合いづらいので、年収が上がりづらくなります。

以下は大学・短大の進学率です。だいたい50%後半ぐらいですね。年々増えています。

学校基本調査をもとに作成(出典

以下は、卒業年ごとの最終学歴の割合です。こちらも年々大卒が増えており、2020年で25%となっています。進学が50%だとすると、大きな開きがあります。

この時点で「大学がそもそも合わないのに、なんとなくいっておいたほうがいいかもしれないと思って無理に進学した人(=進学したけど卒業できなかった人)」が相当数いる"かもしれない"ことが分かりますよね。

出典

以下は国立・公立・私立ごとの大学数の推移です。こちらを見ると少子化にもかかわらず、私立大学が年々増えていることが分かりますね。「とりあえず大学に行く」人たちを騙してお金を稼ごう、という大学が一定数いる"かもしれない"ことが分かります。

出典

進学と卒業、大学の新設、これらから言いたいことは何か?それは「(どの大学でも良いから)大卒のほうが将来稼げるよ」というキャッチコピーに乗せられた人がたくさんいるということです。

つまり、実際は情報弱者向けの情報商材と何ら変わりません。

そうそう、なので「バカとブスは東大にいけ」の「ドラゴン桜」も、「ビリギャル」も、シンデレラストーリーとも言いますが、いわゆる情報商材です。

すべてのバカ・ブス・ギャルが高学歴になることができるわけではなく、実は優秀だった「一部のバカ・ブス・ギャルだけ」が高学歴になります。ただし、高学歴になったとしても、年収に影響するわけではなく、高学歴になってないバカ・ブス・ギャルの一部も年収が高くなる可能性があります。

家族にとって高額な買い物は、家、車、子どもの教育費でしょう。その教育費の大きなウェイトを占めるのが大学の学費でしょう。しかし、将来の年収を上げるという効果は難関大学にありません。残念でした。

しかも「教育費がないから子どもを産めない」「子どもは贅沢品」と考えてしまっている方が少なくない中で、このマジックはもはや国力を低下させている、といっても過言ではありません。

さらなるマジックがあります。「高学歴な人にすごい人が多い」って思う人もいるかもしれませんが、それは「すごい人は、結果的に高学歴にもなっている」というだけです。

その学歴がさらにすごく見えてしまったり、その人は教育の専門家でもないのに「~~大学にいったほうがいい」とか教育論を言うとそれっぽく聞こえてくるわけです。

これをハロー効果と言います。認知バイアスの一つです。

出典

さて、ここで学歴に対する過度な期待がある程度失われたところで、3点気になるポイントがあります。

1、難関大学は本当に意味がないのか?
2、年収に本当に影響する要素はなにがあるのか?
3、そもそもみんな頑張る必要があるのか?

1、難関大学は本当に意味がないのか?

あまり意味がないのは、「将来の年収に対して」であって、他の部分では意味があります。

まずハロー効果が効く相手をだますために使えます。例えば「~~大卒の人ってかっこいい!」という女性がいたとします。こういう女性の恋愛対象になることができます。

年収の影響も20代が強かったですが、新卒採用のときには有利でしょう。企業の人事の人が「~~大学卒業ならきっと優秀だろう」という認知バイアスを持ってるなら採用されやすいです。

この2つは情報商材としての利用になります。

現実的に価値がある側面としては「資格の取得」です。大学の卒業自体が資格取得の条件であり、自分があこがれていた職業につくために必要であれば、大卒は必要です。

大卒の認知バイアスが効きやすいか、資格取得か、などの理由で大卒の割合が高い産業・職業があり、それも調べてみました。

令和2年の国勢調査より。細かく見たい場合はスプシのグラフを公開しています。
令和2年の国勢調査より。細かく見たい場合はスプシのグラフを公開しています。

また実験設備が必要だったり、研究チームに所属したり、研究がやりたい人は大学に入ることが必要でしょう。しかし日本の大学研究者は薄利ですので要注意ですし、大学に入らなくてもできる研究もあります(上記職業別でも大卒割合1位は研究者です)。

研究という仕事にまでならなくても、好きなことを学ぶ、という知的欲求を満たすのもいいでしょう。宇宙の原理から文学の面白さまで、学問は人生を豊かにしてくれます。生涯学習で大学に通いなおす人もいるでしょう。

海外で働きたい、移住したいという人はビザの要件で大卒が求められることがあります。例えばシンガポールはこんな感じです。

個人的に一番現実的かつ色んな人に関係ありそうなのは「コミュニティ」です。大学は最低限学費と学力が必要なので、同じぐらいの経済力や、受験勉強の忍耐力を同じぐらい持っている人たちと出会いやすく、一生の友達や起業家仲間、結婚相手を見つけやすいかもしれません(ここの論文も今度探しておきます)。

これはまだ調査中なのですが、受験勉強を通して性格が誠実的になるかもしれません。受験勉強には忍耐や計画性などが求められ、誠実性(Conscientiousness)という性格を高める可能性があります。高い誠実性は年収に良い影響を及ぼしますが、学歴は影響しません(難関大卒でも誠実性があるかどうかが重要)。性格研究についてはこちらをご覧ください。

このあたりが大学に行くのに妥当な理由だと考えています。

2、年収に本当に影響する要素はなにがあるのか?

この部分は私が書いた別の記事を紹介しますが、結論だけ書くと、

1、性格(高い外向性と誠実性、低い協調性と神経症)
2、知能IQ(最初に紹介した遺伝要因)
3、ルックス(遺伝が中心だが、整形もありうる)
4、出生地域(生まれた国など)
5、健康(睡眠、食事、運動)
6、語彙力、計算力、仕事に合った教育
7、メンターの存在、所属組織の良さ
8、親の収入・資産・愛着

遺伝(知能やルックス)はどうしようもないですが、性格は実は変えることができ、知能IQよりも影響が強い可能性があります。

もし興味がある方は以下の記事をご覧ください。

あとそもそも年収は人生に意味があるのか?でいうと最近の研究では高ければ高いほど幸福度にいい影響があるそうです。

3、そもそもみんな頑張る必要があるのか?

優秀な人が稼ぐ、そうじゃない人は稼げない。

この研究結果を知って落ち込む人もいるかもしれません。

なので私は遺伝以外の頑張り方も調べました。しかしそもそもみんなが頑張る必要があるのでしょうか?

私は頑張った人のお金が税金で回収され、頑張っても報われづらい人が公共サービスで救われればいいと思っています。報われづらい人はそれで高額納税者に感謝すればいいのではないでしょうか?

これがコミュニティの意義です。また別の機会で詳しく書きます。

最後に

ちなみに、私自身の学歴は、大学中退の高卒です。

私自身、大学受験を半年だけやったことがあり、3か月でG-MARCHレベルから早慶上智レベルまで行けました。ただこの時に「受験は作業ゲー」「私にとって受験勉強は脳が腐る(根拠なし笑)と感じてやめました。

必要ない、もしくは優先度が低い知識を頭に入れたくありませんし、そのために時間もお金も使いたくありません。

大学ではデザインやプログラムを学び、語学留学に行き、スキルを中心に鍛え、そのために教育ローンも借りました。今はまあまあいい収入を得ています。知能検査をやったところ120前後と高い値がでました。なので「まあまあいい収入」は知能のおかげもあるでしょう。

しかしそれだけでは絶対今の収入はあり得てないと感じます。特に精神的な安定は、色んな人からの愛着やそれに伴う性格形成がありました。これがなければ仕事のベースができてませんでした。

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※補足:国ごとの賃金の推移です。こちらはマクロトレンドなので、一概に大学卒が賃金の上昇に影響する、とは言い難いですが(大卒で上がっても他の要因で下がるなど)、参考までに掲載します。

出典


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