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独り部屋

 部屋のなかは殺風景で

 茶色い床に白い壁

 四角い部屋の中央には丸いテーブル

 その程度の空間に私は居る


 部屋の四方には

 開け放たれた窓

 

 一つの窓から外を見下ろす

 ここは高いから

 下から目線を上げていく


 地面には新緑の

 綺麗な草花がどこまでも続いている

 青い空には雲のひと欠片もない


 窓枠から見た外の世界は

 とても華やかで、鮮やかで、綺麗だった


 外の景色を見たあとに部屋の中を見回す


 灰色……の部屋……

 違う、違う

 ここはいつもの部屋


 疲れているのか

 茶色い床と白い壁が、なぜか灰色に見えた

 灰色であると、知らないうちに決めつけていた

 何故なのかは、なんとなく察している


 ここには、何もない

 ここは、殺風景だ


 外では美しい緑たちが、

 風にそよそよと揺らされている


 広大な草花のベッドが、

 こっちにおいでと葉の先を揺らす


 私は「あはは」と、

 愛想笑いをして手を振り返す


 顔を部屋に向ける

 そして、ため息を部屋の中に吐き出した


 どんなに外の世界に憧れても、

 ここからは出られない


 だって、ここには扉がないから

 ここには、出口も入り口もないから

 ここは、何もない場所だから


 でも、ここは、

 ここは、私の望んだ場所


 誰の目にも映らず

 誰の非難も受けない

 孤独な部屋


 誰の言葉も聞こえず

 誰の指図も受けない

 自由な部屋


 

 できるだけ良い景色が見たい

 自然の豊かな場所がいい

 晴れる日は雲一つない空がいい


 そうして考えたのがこの場所

 そうして作り出したのがこの場所

 そうして独りきりになったのがこの場所


 自由と解放を得たはずなのに、

 私は孤独に捕らわれて、

 私は自ら自由を捨て去った


 独りきりの部屋で

人を変えることはできないけれど、誰かの心に刺さるように、私はこれからも続けていきます。いつかこの道で前に進めるように。(_ _)