ABMトップ企業のCMOインタビューから考える日本のマーケティングの未来
Marketing Maturity Modelを調べていたら、ABMソフトウェアを提供するDemandBaseのCMO Peter Isaacsonの記事にたどり着きました。(ちなみに、彼はすでにDemandBaseを離れています)
ClickZのインタビューですが、日本のマーケティングの未来を考える上で、なかなか示唆深いので紹介しておきたいと思います。
ここ数年、マーケティングチームは、無差別にリードを生成することから脱却し、営業チームと協力して、ビジネスに最大の影響を与える特定のアカウントと連携する必要があることを認識し始めている。
アイザックソンは、過去数年の間にCMOの役割が変化し、CMOのスキルセットには、ブランドのストーリーを支持する能力に加えて、テクノロジー、データ、マーケティングの知識が必要になってきていると見ています。
マーテックの将来について、アイザックソン氏は、待望され、議論されながら、しばしば遅れがちな統合が行われると考えている。
多くのマーケターは、マーケティングオートメーションを導入した結果、大量のコンテンツが必要なるという経験をしていて、パーソナリゼーションを敬遠しがちである。
大規模なドリップナーチャリングは素晴らしいが、突き詰めていくと、100種類のコンテンツ制作が必要になってくる。しかし、パーソナライゼーションをテンプレート化すると、20の異なる業種バーティカルに対して配信するとしても、20のクリエイティブを必要としない。
(宗像)ここは、マーケティングオートメーションの理想と現実ですよね。オートメーションといいつつ、オートメーションできないじゃないか?となりますのでね。テンプレートを活用したクリエイティブのパターンを作る思考は参考になります。DemandBaseもう少し調べたいと思います。
Q) Demandbaseがクライアントにどのような利益をもたらすか、最もよくわかる例を挙げていただけますか?
例えば、Adobeと行ったWebサイトのパーソナライゼーションの仕事です。Adobeは、コールトゥアクションとコンテンツに同じホワイトペーパーを使用したバーティカル向けキャンペーンを開始しました。その際、ランディングページを作成し、約10のカテゴリー(例:小売、石油・ガスなど)において、業種名を入れ替えました。同じコンテンツで、その非常にシンプルなテンプレート化されたテクニックを行うだけで、アドビはコンバージョン率を200%も向上させたのです。
(宗像)なるほどなぁ。これは勉強になりますね。私が営業現場に出てて、お客様からよく聞かれるのは、大体以下の二つですよ。「うちは特殊な業界だからマーケティングは向いていない」、「うちと同じ業種の事例ありますか?」。
これは、日本だけの現象かと思っていましたけど、多分、全世界共通なんですね。その業界で長くビジネスをしていると、自分の業界は、特殊だというマインドセットになる。従って、その業種に向けたNarrativeというか、ストーリーを作って、届けないといけない。ただし、全部が全部オリジナルストーリーじゃなくても良くて、ところどころに出てくる業種のキーワードを差し替えるだけで良いと。
ふむふむですねぇ。
Q) CMOの役割の変化について、もう少し詳しく教えてください。
CMOは私たちの主要な顧客層なので、毎日一緒に仕事をしています。10年前を思い出すと、企業はCMOの役割にデマンドジェネレーションの専門家を迎え入れることに非常に注力していました。しかし、新しいテクノロジーに対応し、それを活用するためには、CMOのスキルセットの中に技術者やデータ責任者が必要であることに、企業は気付き始めました。その結果、企業はデマンドジェンの専門家や技術者、データの専門家を手に入れましたが、その過程で、顧客や見込み客に説得力のあるストーリーを伝える能力を失ってしまったのです。
(宗像)なるほどー。これは示唆深いですぜ。2020年の記事なので、10年前というと2010年ごろ。日本とアメリカの時差を考えると、まさに今の状況が、この記事の状況とシンクロするんじゃないですか?
日本だと、今、コロナで慌てて、BtoBマーケティングをやり始めている。我々の会社も、お客様から言われるのは、とにかくリードが欲しい、問い合わせが欲しいと。要するに、「CMOの役割にデマンドジェネレーションの専門家を迎え入れる」という状態ですね。日本には、CMOはいませんけど(涙)。
リード獲得の施策スペシャリストの時代→マーケIT専門家の時代っていうシフトがあるって事ですね。日本でも、ベンチャーのCMOなどはテックに強い人居ますよね。
(続き)
そこで、ブランド・ポジショニングに回帰し、ブランド・ストーリーと自分たちが何者であるかを意味ある方法で語れるようになろうという動きがあります。その結果、これらのスキルは相乗効果を発揮するようになりました。CMOの役割がパイプラインの生成だけに集中していたときは、その項目にチェックを入れれば、CEOは満足でした。しかし、CMOの役割に責任や専門分野を追加するというブーメラン効果を経て、必然的に取締役会やCEOは、一人の人間がその期待に応えられるかどうかということに失望するようになったのです。
(宗像)テックに触れすぎると、メッセージ不在、コミュニケーション不在になるので、「ブランド・ポジショニングに回帰し、ブランド・ストーリー」を語る必要があるとのことですね。そして、CMOに求められる役割が、リード獲得の専門家であり、ITの専門家でもあり、データ分析の専門家であって、ブランドやコミュニケーション設計の専門家でもあってとなると、結局、そんな奴いねーじゃんという事に気づくので、取締役会とかCEOが成果を出せずに、CMOをクビにするという流れって事ですね。アメリカは、CMOの在任期間が短いっていうのはこういう時代的な背景もありそうですね。
ちなみに、余談ですが、CMOが居ない日本と、すぐCMOをクビにするアメリカ、どっちがいいのでしょうかね。。スポーツチームに例えると、指導者不在のチームは当然強くならなそうですね。指導者がコロコロ入れ替わるのも良くなさそうですけどね。
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