愛知のスタートアップとその仲間を勝手に紹介してみた。
こんにちは!株式会社スタメンで広報を担当している上田すなおと申します。
私の所属するスタメンは創業9年目の愛知県発ITスタートアップです。現在は愛知・東京に拠点を構え100名以上の社員が所属しており、エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」を中心に複数のSaaSを展開しています。
私自身のことを紹介させていただくと、愛知出身で、大学2年生から今までの約8年間、地元愛知県のスタートアップでキャリアを積んできました。また、愛知県発のスタートアップの広報として、全国に愛知スタートアップの存在感を出していくために様々な仕掛けをしております。
そんな地元とスタートアップが大好きな広報担当が、愛知のスタートアップとそれを取り巻く環境やステークホルダーを勝手に紹介しちゃおう!ということで今回の企画を実施しています。
日本最大級のインキュベーション施設※STATION Aiなどの開設で盛り上がりを見せており、ますます熱が高まっている愛知スタートアップ・エコシステムについて独断と偏見でざっくり全体像をお話できたらと思っております。
以下のような方に見ていただけたら嬉しいです。
※インキュベーション施設:スタートアップ企業/個人の成長を支援する施設のこと。事務所スペースやコミュニティの提供、事業推進に関する専門家などによるサポートが受けられます。
スタートアップ不毛の土地からの逆襲
愛知県はしばらくスタートアップ不毛の地と呼ばれてきました。トヨタ自動車などの自動車産業を中心とした地場産業が経済を支えているがゆえに、スタートアップは育ちにくく「起業に向いていない土地」とも言われてきました。
地元の方なら共感いただけると思いますが、県民性的にも地元・安定志向(ちなみに愛知県出身が愛知の大学に行く割合は全国1位の71%)の方が多く、私の友人に「名古屋のスタートアップ」で働く方はほとんどいません。
もちろん、キャリアの選択肢は人それぞれですが、地元大手企業への就職が多くを占め、スタートアップやその環境に興味のある方がいても、東京に上京しているのが現状です。
しかし、そのスタートアップ不毛の地が近年変わり始めています!
ここ4~5年、学生さんに向けた起業家育成から、社内起業・新規事業創出の支援、スタートアップと中小・大手の事業会社とのオープンイノベーション(協業)支援、など幅広いプロジェクトが推進され、プレイヤーも増えており、確実に愛知の起業・スタートアップへの挑戦する機運は高まっています。
以降の章では、愛知県の産業的特徴と絡めたスタートアップ・エコシステム形成の戦略についてお話させていただき、その後実際の支援機関や活躍するスタートアップをご紹介いたします。
愛知県のスタートアップエコシステムの特徴
そもそもなぜ、愛知でスタートアップ創出が注目されるようになったのでしょうか?
それは自動車産業で自動運転やEV化などによる大きな変革が起きており、既存の産業構造の変化から新産業の創出の重要性が高まっていることが関係しています。
危機感から始まったスタートアップ支援の流れですが、元々地域の特性的にもスタートアップ創出のポテンシャルはあったとも言われています。
<愛知の特徴>
1. 国内2位の圧倒的な産業集積と活発な経済活動
2. ものづくり企業の持つ世界最先端の技術
3. 国土の中心にあり、アクセスが良い
その基盤があった上で産学官を中心とした豊富な支援により、スタートアップの熱が高まってきました。
特にものづくり企業へのニーズも高いディープテックスタートアップ(研究開発を要する深い技術を活用したスタートアップ)や、事業会社との協業を中心としたオープンイノベーションに期待が寄せられています。
愛知県のスタートアップ創出のポテンシャルは、支援に関わる方々が語ってくれているのでぜひチェックしてほしいです。
エコシステムを形成する様々なステークホルダーや施設
続いて、実際に愛知にはどんな施設や支援があるのかについてお話します。愛知の特徴は産学官が一枚岩になってエコシステム形成しています。
<STATION Ai>
https://stationai.co.jp/
名古屋市鶴舞公園南側に開業予定の国内最大のインキュベーション施設。スタートアップの創出・育成やオープンイノベーションを促進するために、国内外のスタートアップ支援機関・大学・自治体・企業などとの連携を通じて、様々な支援サービスを提供。施設にはレストランやホテルなど併設されます。「Aichi-Startup戦略」の一環として愛知県の事業にソフトバンクが応札し運営を行っています。
(ついこの間の2024年10月1日に開業して、SNSや各種メディアで取り上げられていましたよね!)
<なごのキャンパス>
https://nagono-campus.jp/
2019年にできた名古屋市西区・那古野(名古屋駅から徒歩8分)に、廃校となった小学校の建物を活用したインキュベーション施設。シェアオフィスや会議室、イベントスペースを併設する名古屋の新しいベンチャーの拠点.トヨタ不動産、LEO、名古屋商工会議所などが運営しています。
また第二・四金曜日にはコミュニティ・イベント「NAGOYA CONNECT」が開催されており基本、誰でも無料で参加できるので、ぜひチェックしてみてください。https://venturecafetokyo.org/programs/nagoya-connect/
<NAGOYA INNOVATOR'S GARAGE>
https://garage-nagoya.or.jp/about/
愛知県名古屋市中区三丁目のナディアパーク内にあるイノベーション拠点。中部経済連合会と名古屋市が設立した会員制コワーキングスペースがあります。企業の新規事業開発者、スタートアップ、起業家、起業家予備軍の方、などの「たまり場」として活用することで異業種異分野の交流・対流からイノベーションを加速させることを目的にしています。
<Tongali>
https://tongali.net/
Tongaliは、東海地区の大学コンソーシアムによる起業家育成プロジェクト。2015年度に東海地区の国立5大学(名古屋大学・豊橋技術科学大学・名古屋工業大学・岐阜大学・三重大学)で開始しました。起業支援に加えて、大学生へのアントレプレナーシップ(起業家精神)の育成だけでなく、小学〜高校など幅広く支援。また大学に所属する教授と事業家とのマッチングによる研究の社会実装に向けたプログラムなども実施。
<事業会社>
産業集積土地であるがゆえに、資金力を持つ会社が多く、様々企業が投資機能を持ち、スタートアップへの投資を行っています。また、投資だけでなく、協業の事例も生まれています。
事業会社からの投資の事例↓
協業・オープンイノベーション事例↓
<金融機関>
スタートアップの成長に資金面でのサポートは欠かせません。そこを大きく担っているが金融機関。愛知に限らず多くの地方スタートアップ・エコシステムでも地銀の貢献が大きく、愛知でも複数の地方金融機関がスタートアップ支援に乗り出しています。
また、東海に拠点を置くメガバンクもスタートアップに支援に力をいれています。
<イベント>
スタートアップ注目のテクノロジー・イノベーションに関する大型イベントが2月4日〜6日の3日間に実施される「Tech GALA」も宣伝させてください。
こちらも産学官民が連携して、地元企業・スタートアップだけでなく、全国を巻き込んだ国際的なイベント目指しています。スタメン応援+イベントに合わせて仕掛けて行く予定なのでお楽しみに!
独断と偏見で愛知の勢いのあるスタートアッププレイヤーを紹介
エコシステムを形成する支援側について書かせていただきましたが、プレイヤーのごくごく一部ですが、書いてみました。
<TIER IV(ティアフォー)>
創業年度:2015年
HP:https://tier4.jp/
世界初となるオープンソースの自動運転車用システム「Autoware」や、小型自動運転モビリティの開発を行っており、まさにディープテックスタートアップ。2022年に121億円の資金調達を実現し、累計400億円調達済み。
<Acompany(アカンパニー)>
創業年度:2018年
HP:https://acompany.tech/
名古屋大学から生まれたデータを暗号化したまま分析する次世代技術「秘密計算」を用いて、プライバシーDXやコンサルティングのサービスを展開するスタートアップです。代表の高橋氏は学生時代に起業し、ForbesU30にも選出されています。
<トライエッティング>
創業年度:2016年
HP:https://www.tryeting.jp/
名古屋大学発のAIベンチャーです。需要予測・来客予測・売上予測・勤務シフト作成などの【知能業務の自動化】を実現するサービスを展開。現在、シリーズBで累計調達額約9.6億円。
<オプティマインド>
創業年度:2015年
HP:https://www.optimind.tech/
AIを活用した配送ルート最適化サービス「Loogia」を開発。名古屋大学発ディープテック。トヨタなどから累計31億円調達。J-startupにも選出されています。
<ソラテクノロジー>
創業年度:2020年
HP:https://sora-technology.com/
ドローンやAIを活用し、マラリアなどの感染症撃退などグローバルヘルスを中心とした社会課題の解決を目指すスタートアップ。サービスはアフリカなど全世界で利用されており、社内のメンバーもグローバルチームで構成されています。2023年にはシードラウンド 1.3億を調達。
<トクイテン>
創業年度:2016年
HP:https://about.tokuiten.jp/
AIとロボット技術を活用した有機野菜生産・栽培の自動化を行うスタートアップです。会計ソフト弥生が買収したMisocaの創業者シリアルアントレプレナーの豊吉氏が代表を務めています。
<PREVENT>
創業年度:2016年
HP:https://prevent.co.jp/
特徴:慢性期の生活習慣病患者を対象に、重症化予防を行う、名古屋大学医学部発ベンチャー。モバイルアプリとモニタリング・デバイスを活用した「Mystar」を提供しています。2023年には、もともと出資を受けていた住友生命へのグループインを実現し、EXITを果たし注目を集めました。
<スタメン>
創業年度:2016年
HP:https://stmn.co.jp/
特徴:エンゲージメントをカギに組織改善を支援するアプリケーション「TUNAG」を中心にテクノロジー産業の売り上げ成長率から選出されるテクノロジーファスト50には東海圏で唯一4年連続ランクイン。2020年には東証グロースへIPOを実現。
ここからはただの宣伝です!現在第二創業期で事業拡大・組織拡大に一気にアクセルかけています!最近ビジネス系動画メディアをPIVOTに代表の大西が出演し、私達が挑戦するビジネスについてお話しているので、もし会社や事業について興味がある方はチェックしていただけると嬉しいです。
まとめ
ここまで記事を読んでくださってありがとうございます!皆様いかがだったでしょうか?多様なステークホルダーや面白いスタートアップについて知っていただき、少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。
今回、スタートアップで働く身として、見えている景色から愛知スタートアップエコシステムについて誠に勝手ながら、紹介させていただきました。スタートアップで働いていると目の前の事業を伸ばすことに全力なので、なかなか行政や大学などがどのような支援をおこなっているのか?愛知全体の特徴などは意外と知らない方も多いと思います。
私自身、愛知県のステークホルダーさんとの関わりはもちろん、他地域のスタートアップさんや自治体のスタートアップ担当さんなどとお話する機会が多く、こういった立場で語れる人ってめずらしいのでは?と思いこの記事を書かせていただきました。
直近、「地域特性から見るスタートアップの現在地とこれから」をテーマにした説明会を沖縄・福岡・京阪神・北海道でスタートアップ運営や支援に携わる方々とメディア向け説明会を開催させていただくなど、「地方」×「スタートアップ」の軸で色々動きまわっているので興味ある方はお声がけください!
(ちなみに説明会では、各地域それぞれの個性や歴史的背景からスタートアップ・エコシステムが形成されておりめちゃくちゃ面白いのでこの話も別の機会でさせていただきたい。)
各地域勢いをつけてスタートアップエコシステムの形成に尽力してはいるものの、やはり東京のマーケットとの差をまだまだ大きいと感じています。
実際、スタートアップの6割が東京で生まれ、日本全体の資金調達額の8割は東京のスタートアップへの投資額ですし、情報やヒトも首都圏に集中しています。
しかし、地方から始まっても、トヨタやパナソニック、ニンテンドーは日本を代表する企業になりました。今後、地方で日本を代表するスタートアップ・ユニコーンが出てくる可能性は大いにありますよね。
まずは、スタメンがそうなれるように尽力しつつ、地域全体でこの愛知スタートアップや地方スタートアップを盛り上げていきたいなと思っております!
ぜひ応援していただける方がいてくれたら嬉しいですし、一緒に切磋琢磨してきましょう!
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