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【フリーランスになって1年】今、ライターの仕事について思うこと

タイトル通りフリーランスのライターになって1年……いや、正直なところ1年ともう少し経ったのだけど、なかなか更新する時間が取れずピッタリ1年のタイミングを逃して書くことになった。頭の片隅で誰かの「時間は作るものだ!」という叱責が聞こえる気もするが、それほどにありがたいことに忙しい日々だった。

まず、フリーランスになってからとにかくあっというまに時間が過ぎていったことに自分自身が何よりも驚いている。フリーランスになってすぐのnoteにも「すぐ食いっぱぐれるかもしれない」的な不安を書いていたけれど、そんな漠然とした暗い感情は今でも完全に消えたわけじゃない。とはいえ、なんとか「ライターの仕事」1本の収入で1年乗り切ったことは少なからず自信になったと思う。たぶん。結局のところ、それも依頼をしてくれている方がいるからこそ。これを読んでくれている編集者の方(がもしいたら)、いつもありがとうございます^^

この1年を振り返ってみると、とにかくいろんなインタビューに行った1年だった。Xで実績として公開するのはエンタメ関連のインタビューのみに絞っているけれど、経営者・会社員・ネイリスト・エンジニア・歌手・高校生・声優・YouTuber・俳優・監督・プロデューサー・漫画家・ライブアイドルetcとざっくり挙げただけでも本当に色々な人のところに行った。そもそも私は「人の話を聞くのが好きでインタビューが天職です!」というタイプのライターはない。それでも曲がりなりにお金をいただいている以上の働きはしようと努力してきた……つもりではある。

とはいえ、まだまだ取材にも執筆にもまだまだ課題はあるわけで。「私なんか」と自分を卑下するのは依頼者に失礼なので、なるべくしないようにはしているけれど、ベテラン揃いのこの世界でそう思うことが全くないわけではない。だからこそ、他者からの評価は一回置いておいて、少なくとも自分自身だけは「仮に失敗に終わっても頑張ったかな」と思えるような準備をしてから臨むようにはしようとしている。今の自分にできることは、それくらいだとも思う。お金をもらってるんだから、何言われても自分にできるベストを尽くす。それだけ。

叙情的な中身でもないし、話にオチがあるわけでもないのだけど、今回は“そういう回”としてもう少し。詳細は割愛するが、先日ある面接を受けた際に、「あなたの作家性はなんですか?」と質問をされた。数年ぶりの面接でこの質問。私は見事に一瞬フリーズした。そんなことはこの人生で1ミリも考えてこなかったからだ。

その仕事はいわゆる私が今請け負っている「ライター」の仕事とは少し異なるタイプの書く仕事で、その仕事だったからこそ聞かれた質問だとも思う。ただ、今のライターというフィールドで言えば、私個人としては作家性は必要ではないと思っている。私はライターであって、小説家ではない。文章に“らしさ”は必要だと思うけど、メディアの編集者や取材ならばインタビュイーの「声」を超える何かはノイズになりかねないと思うから(繰り返すが、あくまで私は)。

フリーランスになって1年ちょっと、きちんとお金をもらう形で文字を書くようになってからは約3年半がたったわけだけど、その中でいろんな人の“ライター像(ある人にとっては編集者像)”的なものを耳にしてきた。飲み会だったり、仕事の場だったり、SNSだったり。そしてその中で、たどり着く先に“創作”への憧れを滲ませるライターや編集者にも多数会ってきた。それが悪いことだとは微塵も思わない。どんな形であれ、その人を奮い立たせる夢があるのは素敵なことだ。

ただ、うまく言えないのだけど、「創作」と「ライティング」には小さくない壁があるし、「メディア」と「制作側」にも壁がある……それはいい悪いじゃなくて“そういうもの”だと認識しておくことは大事なのかもしれないと思った。自分の生み出すものが誰かの“声”を代弁している以上、必要以上に傲慢になってはいけないような気がする。小説家であれ、なんであれ完全に一人で完結する仕事などこの世にはほぼないことは承知の上で、ライターは本当に音楽でいう「バンド」的な側面が大きい仕事だと思う(以前にも書いたかもしれない)。媒体があって、編集者がいて、場合によってはインタビュイーがいて。ドラムとベースとギターがいないと記事はできない……それがライターという仕事なんじゃないかと、この1年で思った。

何はともあれ、どんな形であれ【執筆の仕事だけで1年暮らす】という自分との約束が守れたことは喜ばしいことだと思う。最後に、少しだけ冷たく聞こえるかもしれないことを承知で。私の記事をどう感じるかは読み手の皆さんに委ねて、自分はただ粛々と目の前の方々と良いものを作れたらなと思います。少し遅れてしまったけれど、2年目もどうぞよろしくお願いします!

2024.4.4
すなくじら


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