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TCG地元ルール列伝

  まだインターネットも気軽に接続できなかった時代、小学生にとってカードゲームとは身近なものであると同時に、難解なものでもありました。それ故にさまざまな地元ルールが誕生しました。有名なものでは遊戯王の『最強サイクロン』なんかが当てはまるだろう。もちろんスナガガの地元でもさまざまなルールが誕生し、忘れ去られていった。これはそんなスナガガの地元でも生まれた忘れ去られたルールのお話である。

最強成金ゴブリン誕生

  ある日スナガガが手に入れた《成金ゴブリン》という遊戯王のカード。当時小学生低学年ぐらいだったスナガガには「得る」という漢字の意味がわからなかった。そして友人たちも全員「得る」という言葉の意味がわからなかった。そんな中どこからともなくこんな解釈へとたどり着いた。「自分はカードを一枚引く。相手は1000ダメージを受ける。」というものだ。
  そんな訳のあるか!?と思うかもしれないが、当時《強欲な壺》も存在しており、ワンドローだけで相手にライフアドバンテージを与えるというのはあまりにも弱いカードであると解釈してしまったのだ。他にも《レッドポーション》などの回復カードにはしっかりと「回復する」と明記されており、回復以外の何かなのではないかという結論に至ったわけである。
  そうなるとスナガガの地元では『成金ゴブリンバーン』という新たなデッキが誕生することとなる。さらに悪いことに漫画の影響でLP4000で遊んでいたために、対戦相手のライフの25%を削りながらワンドローできるというとんでもないカードへと変化してしまったのだ。
  最強成金ゴブリンの終わりは意外なところから訪れた。国語の授業で「得る」という言葉が登場したときに、友人一同自分たちの誤りに気が付いたのだ。スナガガや友人たちにとって初めて授業というものが役に立った瞬間だったのかもしれない。

相棒《暗黒の騎士ザガーン》で…

  地元ルールより狭い家族間にのみ許されたルールの洗礼をスナガガは受けたことがある。友人宅にデュエルマスターズを遊びに訪れたとき、友人の弟とも対戦する機会があった。早速遊ぼうと対戦準備をしているときに、その弟君はなぜか当たり前のごとくデッキの脇に《暗黒の騎士ザガーン》を置いたのである。どうするのだろうと思いつつも普通にゲームを進める。

   ゲームが6ターン目に突入し6マナが溜まった瞬間、デッキ脇においてある《暗黒の騎士ザガーン》が戦場に飛び出してきたのである。友人に何が起きているのかを確認しようとしたが、席を外しており、確認もできない。目の前の弟君は当たり前のように、ターンを返してきた。スナガガは戸惑いつつも目の前のザガーンの対処を試みる。幸い、《ブレイズクロー》盛々の速攻デッキだったスナガガはサガーンをスルーしてシールドに直接攻撃して勝つことができた。
   戻ってきた友人に確認すると、弟はあんまりカードを持ってないから唯一のレアカードである《暗黒の騎士ザガーン》をいつでも召喚してよいというように遊んでいたらしい。それならば事前に言ってくれと思いつつ、ちょっとした復讐をスナガガは思いついた。


   弟君には罪はない、しかし友人、お前はだめだ。スナガガはこっそりと弟君に使っていなかった《シビレアシダケ》四枚をあげた。1ターンでも早く《暗黒の騎士ザガーン》が場に出れば、準バニラのファッティーとは言え、友人を苦しめてくれるだろう。その後はその家族ルールがどうなったのかはスナガガには分からない。

最後に

  みなさんはどのような特殊ルールと遭遇したことがあるだろうか?この歴史に残らないルールたちはきっと書かなきゃこの世のどこからもなくなってしまうだろう。みなさんの記憶にあるうちに発信してみるのも面白いかもしれません。

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