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【10】環境さえあれば子ども達は自然と成長する。大人にできるのはその環境を用意すること(不登校からのキャリアデザイン⑩)

※この記事は2019年8月18日に京都市で開催した、イベント「不登校からのキャリアデザイン〜「行かない」の先を、生きやすく。〜」における講演・パネルディスカッションの書き起こし原稿になります。登壇者・主催者のプロフィールはこちら


先生が「頑張ってますね」と驚きととも言われます。そうすると、お父さんお母さんも嬉しいんです

中:学校嫌い、先生嫌いの子どももたくさんいます。ただ、学校の評価を得られることで、子どもが安心して自宅で学べるというケースもたくさん見てきました。クラスジャパンでは学習成果のレポートを、親御さんに学校の先生に持って行ってもらっているんです。 嫌がられることもありますが。あえて、親御さんにお願いしています。

だいたい、不登校の子の保護者が学校に行く時には、学校の先生からあんまりいい話を聞かないことが多いんです。 「どうですか、そろそろ来れないですか?勉強されていますか?」とかね。プレッシャーになったり、時に残念な言葉をかけられることの方が多いから、保護者も学校に行きたくないんですね。

でも家で頑張ってやったレポートをもっていくと、それを先生が見て何て言うかというと、「頑張ってますね」と驚きとともに言われることが多いです。そうすると、お父さんお母さんも嬉しいんですよ。で、家に帰ってから、「学校の先生、頑張ってるねって褒めてたよ」 ってなるんですね。嫌いな学校、先生であっても、子どもにとっては社会との接点の一つです。

在籍している、自分の所属しているのは学校なんだから。学校に認められる、褒められるってやっぱり嬉しいんですね。それで安心して、自宅で頑張れる。そこで初めて、お父さん お母さんは「頑張って勉強しよう」って言っていいんです。闇雲に「勉強しよう」と言っても、子どもは何で勉強するのか、何のためにするのかと言うでしょう。でも、学校が認めてくれる、成績、出席になるよ、だから頑張ろうと言ったら、子どもはそうかなと納得がいく。その評価が大きいのかなと僕は思います。

子どもたちは、環境さえあれば自分の能力を発揮しだすと信じています。我々の役割はその環境を与えてあげること。

中:1 年間、クラスジャパンでやってきました。100 人足らずで、今、150 人くらいいますが、 馴染めなかった子もやっぱりいます。でも自宅にいながら、自らを正しく評価されるということ。それによって子どもが成長して輝くことができているなという実感があります。

N 高校は高等学校なので、存在自体が認められている。小中学校は通信制は認められていない。ただし制度がある。その制度を使って子どもを評価してあげる。子どもは自然と成長していくということを実感しています。何のために学ぶんだといったとき、明日の自分のために学ぶんだよと。明日の自分を探すのは、やっぱり楽しいんですね。昨日のことを考えるよりも、明日の自分を考えることをご家庭で楽しむ。

我々ネットの担任が、子どもと明日のことを楽しむんですね。やっぱり進路ですよね。曽和さんが言われた、将来的な話とのつながりはそこにあると思います。今、安心していいよではなく、次の話をちょっとしたいなと。

子どもたちは、自分の能力を発揮しだすと信じています。我々ができるのはその環境を与えてあげること。環境さえあれば子どもたちは本当に自分の力を発揮できると思います。正解はわからないですけれど、子どもたちの変化、成長が見え隠れしてきて、実感がもてるようになってきました。なので、社会、企業側との関わりを増やすことで、さらに新しい学び方を考えられるかなと思います。

学校と自宅の間の「のりしろ」のような選択肢

門:中島さんありがとうございました。私も見学や在校生インタビューをさせてもらったんですが、N高校って本当に自由度が高いんです。高校と名前がつきながら、高校の枠に囚われず、幅広い取り組み、チャレンジができます。

それが許される大きな要因の一つは、「高校は義務教育ではない」から。

逆に言うと、本当に義務教育年代の制度の壁は厚いし高い。12 年前に文科省から家庭での学習でも出席認定が可能であるという通知がなされていても有名無実になってしまっている。そんな現状の中で、一つのあり方としてクラスジャパンは選択肢を示されたわけです。

私はクラスジャパンが 絶対に正解だと言うつもりは全くないです。先ほど中島さんもおっしゃったように、合わない子ども、家庭もあります。

ただ、学校を否定せず、しかし自宅での学びを保証する一つの選択肢として、とても意義深いと思っています。不登校の問題は究極的に選択肢の問題とも言いましたが、学校に行くか行かないかの選択の中に、「のりしろ」のような選択肢があることで救われる人もいるのではないかと。

フリースクールが合う子もいれば、学校や行政が用意している場でうまくいく子もいれば、完全にお休みをする時期が必要な子もいる。6 年間ずっとクラスジャパンかというとそうでもなく、時期によって選んでいけばいいとも思います。

子どもによって、性格、発達段階によって適切なものが変わっていくことも考えられます。選択肢を増やすことは、多様な子どもを受け止められる場所があるということだと思っています。

※曽和さん、中島さんの講演パートはここまでです。次回からは「不登校からのキャリアデザイン#パネルディスカッション編」となります。

【連載:不登校からのキャリアデザイン】

https://note.com/sunaba_corpo/m/m2f2850979f50

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