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【13】リモートでコミュニケーションを取れるスキルの方が重要視されつつある(不登校からのキャリアデザイン パネルディカッション編③)

※この記事は2019年8月18日に京都市で開催した、イベント「不登校からのキャリアデザイン〜「行かない」の先を、生きやすく。〜」における講演・パネルディスカッションの書き起こし原稿になります。登壇者・主催者のプロフィールはこちら


不登校って企業でいうとリモートワークっていう呼び方

中:不登校の定義っていうのが文科省にあって、30 日以上欠席だと不登校といっています が、企業側がいっそのこと不登校経験を優遇するくらいの勢いでやってくれたらね。

曽: (笑) そうですよね。不登校って企業でいうとリモートワークっていう呼び方なんですよね。それってどちらかというと働き方改革で、最先端の流れではあるんですよ。 IT関係の会社で、具体的に 2 社思い浮かんでいるところがあるんですけど、そこでのトップの社員っていうのは、不登校ならぬ不出社なんです(笑)

AI の会社で AI のエンジニアをやられている方と。もう一人は絵を描く人。その人たちは会社に行けないんです。ですけど、家でのパフォーマンスが高いからもう十分で、それを認めてくれるからこそ、その会社に在籍してくれているわけです。

もっと言うと、AI のエンジニアとかって今、すごい市場価値が高いんですよね。富士通さんが 4000 万出してるとかそういう話もありましたけど、その会社はその人にそこまで出していない。ただ、家で仕事をするという働き方を許すことでまぁまぁの給料でその会社にいてくれてる。そうやってWin―Win になっているみたいですね。

どんな企業が勝つかって言うと、必要もないのにエンジニアに出社しないとダメだよっていうのを、「別に出社しなくていいじゃん」って言える企業がいい人材を確保できるようになってきていると思います。それで成果が出てくるとだいぶ変わると思いますね。

門:なるほど。多様性を受け入れられる素地を持っている、作ろうという姿勢がある会社が残っていけるということですかね。

曽:ですね。多様性って男女とか LGBT とか外国人とか、色々あると思いますけど、もうちょっと近いところで、実は進みつつあるのがそういうところだと思いますね。

中:リモートワーカーってさっき言われたように、まさに不登校、不出社。学校に行っていないっていうのはリモートスチューデントですからね。先に進んでいるんですよね。そのお話が学校の現場や学校に来ていない子どもたちに伝われば、「学校に来なさいよ」と慌てるのではなく、自宅にいながらでも「自分の得意なことを伸ばしなさい」という指導ができるはずなんですよ。

コミュニケーションをとる能力の多様化

曽:もっと言うと、リモートで人とコミュニケーションがとれるというのはひとつのスキルになりつつあります。私も先輩でずっとバリ島で生活している人がいるんですけど、そうやって遠隔でもコミュニケーションが取れるっていうのはひとつの能力ですよ。

門:確かに。オンライン上で人と関係を構築する能力は、仕事の種類によっては今や必須スキルですね。

曽:逆に言うと、「人と直接会わないと、ちゃんとものが伝えられない人っていうのはダメ」みたいな感じになりつつありますね。そこについては近年だいぶ地殻変動が起こっている気がします。

中:働き方はリモートワーカーとして社会に認められる時代が間近に迫っている。人と接するのが少し苦手だったりという特性をもっていても活躍できる。じゃあ、今度はそのとき、どういう能力があれば企業側がリモートワーカーとして優遇し、採用するのかという点はどうですか?

曽:ちょっと今すぐは思い浮かばないんですけど、最近すごく言われているのは文章力ですね。テキスト、文章でちゃんと書けるって話をするのとは別物ですよね、実は。逆に言うと、何でも会って話そうとする人っていうのは、段々うざがられていて、メールやチャットで書いて送っといてくれよと。

電話もみんな嫌がられてますよね、強制的に人の時間を奪いますから。ビジネスの世界で電話してくるっていうのは、むしろ非礼だというような状況にもうなっていたりするので。そうすると結局、文章ですよね。

リクルーティングにしても、スカウト採用というのが増えてきていて、採用データベースに自分のキャリア載せるわけですね。それに対して採用側がラブレターを送るんです。そのスカウトメールで刺さる文章を書けるかというのが、採用担当者の特徴だったりするんです。スカウトメールばかり打っている人もいますから。文章力というのは、重要なリテラシーかなと思います。

門:先ほどおっしゃった「文章力」っていうと、学校では読書感想文とか作文とかを指しますが。それとはまた違ったニュアンスですかね。

曽:そうですね。チャットとかでの文章力って、さっきの絵文字を使うこともですし、特殊ですよね。

門:短文で会話のようにね。

曽:会ったらめちゃくちゃいい人が、メールだとそっけなくて怒りを買ってしまうような人いますけど、それはもうダメなわけですよね。ある種のコミュニケーション能力が足りていないわけです。そういう風に社会におけるコミュニケーションの質やツールが多様化して変わってきています。

先ほどのクラスジャパンの生徒とネット担任のやり取りのように、リモートで色々コミュニケーションをとっている。ある種の制約がある中でコミュニケーションをとったりできるというのは、それ自体が一つの能力になってきていると感じます。

【連載:不登校からのキャリアデザイン】

https://note.com/sunaba_corpo/m/m2f2850979f50

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