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イジメ・始まり編「お前は友達じゃない」

小夏は4年生になりました。
小夏の通う小学校は人数が少ない単学級で、入学から卒業までクラス替えというものがないのでメンバーはほとんど変わらず進級していきます。
3年生の秋に感じた私の中の小さなモヤモヤは、段々と大きなものに変わっていきました。
小夏が仲良しグループの女子たちから振り回されているなと思うことがやはり多々あったのです。
例えば、小夏はグループの中でも一番好きな穂乃果ちゃんと2人でYouTubeチャンネルを開設したいと話がもりあがって、お互いの親にも許可を取り着々と準備を始めていました。
するとそれを聞きつけた沙羅ちゃんと絢音ちゃんが
「2人でYouTubeをやるなんて絶対に許せない!」
と激怒してしまい、小夏のLINEに1日に100通以上も
「YouTubeやめろ」「ふざけんな」などの言葉や怒っている表情のスタンプを連打して送ってくるようになったのです。
結局小夏と穂乃果ちゃんのYouTubeの企画は計画だけで頓挫しました。
その他にも小夏が穂乃果ちゃん・絢音ちゃん・芹香ちゃんと一緒に下校した際、絢音ちゃんから
「ウチの友達は、穂乃果と芹香だけだからね。ウチは穂乃果と芹香以外、友達と思ってないから」
と言われたこともありました。
これは穂乃果ちゃんが帰宅した後、母親にこのことを告げて後から発覚したことでした。
そんなことがあったのか小夏に聞くと
「あー、そんなことあったっけ? 別に気にしてない」
と言って平気な顔をしていました。
YouTubeを邪魔されたときもそうですが、とにかく小夏は怒らない子でした。
よく言えば温和、悪く言えば鈍感…。
今にして思うと「友達を悪く思いたくない」というか、友達を盲目的に好意的に解釈してしまうような歪んだ執着心のようなものがあったのかもしれません。



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