1/9~20公開『Life work of Akira Kurosawa黒澤明のライフワーク』 監督:河村光彦 高円寺シアターバッカス
上映スケジュール 13時 15時 17時 20時
全回 河村監督の舞台挨拶と上映後のトークショー有り。
高円寺駅北口 純情商店街突き当り手前右側レインボービル3F
所在地: 〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2丁目21−6 レインボービル 3F
電話: 03-5364-9785
ご予約は
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黒澤明監督の最高傑作『乱』をご覧になった方も、未だご覧になってない方も楽しめるドキュメンタリー映画が撮影から38年越しで遂に完成した。
『乱』の撮影現場を1年間独占取材したアマチュアのビデオチームが150時間収録したビデオ素材が行方不明になったのが1985年6月。それが1998年9月、黒澤明監督がお亡くなりになった際に奇跡的に発見された。ところが時代が変わって収録した映像は既に再生できなくなっていた。3/4インチU-matic方式で収録された貴重な映像は、再生機の製造中止でプロの編集室から姿を消していたのだ。
事の真相は新潮新書『黒澤明に聞いたこと』(川村蘭太著)に克明に記されている。
黒澤エンタープライズの川村社長が「編集権はうちにある」と、『乱』クランクアップ後も上京し、東宝のフィルム編集室やダビング風景を撮影していたカメラマン谷口裕幸と録音担当河村光彦の前から全素材を奪い去ったのだった。
黒澤エンタープライズは『メイキングオブ乱』を完成し、その権利をヘラルド・エースに買い取らせた後も撮影素材を著作者に返さず、地上波の特番『黒澤明 映画がすべて』を製作し1986年8月にテレビ朝日で放送している。TVCMにも使用した。
その後何を間違えたか、ビデオテープ素材をヘラルド・エースに移動して倉庫に眠らせたのだった。「黒澤監督 お別れの会」で再会した井関惺プロデューサーに河村が「あのビデオどうなりましたか?」と聞いて所在を知った時には、プロの編集室はU-maticビデオに代ってβカムが主流となっていた。
だから編集して作品化しようと思うと、150時間分のβカム用ビデオテープを買ってコピーし直さないといけないことが分かった。デジタル化しても高価なD1テープにコピーするしかなく、1億円必要だった。そんな費用があるわけもなく、途方に暮れた。
資金援助を求めて井関と河村で黒澤プロダクションを尋ねたら「そのビデオに興味はない。邪魔しないので、ご自由にどうぞ」と言われ追い返された。黒澤プロダクションにとってこの素材は、使い古されたNG動画集でしかなかったのだ。
仕方なく中古のU-maticビデオ再生機を井関さんに買ってもらって、河村が自宅でS-VHSにコピーすることにした。これで作品化に必要なOK出し、仮編が出来ると考えたのだ。コピーを始めて分かったのは、ビデオテープの数が450本にはほど遠く、200本強しかないという事だった。時間にして約70時間分、残りのビデオは見つからないままだった。
時は流れてDVDの時代がやって来た。黒澤監督作品も全作品が東宝から発売された。そしてその中に『黒澤明・創造の軌跡』として、VHS版としては早々に廃盤となった『メイキングオブ乱』が復刻販売された。
御殿場の三の城オープンセットで1か月だけ撮影されたフランス側メイキング映画『AK』(監督:クリス・マイケル)も同パッケージに収録された。
2020年黒澤明監督ご生誕110年の年にコロナが猛威を振るい世界中が自宅に引き籠る事態となった。
河村は考えた。「このままではこの貴重なビデオ記録はゴミになってしまう。何とか1本の映画にして世界の人に観てほしい。まずは短編のドキュメンタリー映画にして国際映画祭にオンラインで出品しよう。そうすれば映画人の目に触れる。運よく賞が取れれば日本でも公開できるかもしれない。私はもう一度70時間を見直して構想を練った。
映画監督になりたかったらシナリオを書きなさい。これが黒澤監督の口癖だった。
1文字1文字書いていくその退屈な作業に耐える忍耐力がないと映画監督にはなれないと言うのだ。太陽が雲の隙間から顔を出すのを待つ天気待ちに始まって、風を待ち、霧が晴れるのを待ち、俳優の演技が出来上がるのを待つ。ガミガミ怒鳴ったところで、何の解決にもならない。『Life work of Akira Kurosawa』では、その優しく穏やかな演技指導にスポットを当てた。
私にとって黒澤明監督は神に召命された救世主だった。彼が作る映画には何が善で何が悪かという明確な基準が示されていた。黒澤映画の主人公は愛の実践者として、百姓を野武士から救い、捨てられた赤ん坊を引き取って育てると決意する。
黒澤映画は、正に私の人生のバイブルだった。
特に『乱』では彼の宗教観が明確に語られる。
“神も仏も、地上で悲しみ、苦しむ人間を救いたくても救えないのだ。
人間の業のぶつかり合いで生じる戦争は、人間自身の努力で無くすしかないのだ”と。
そんな黒澤映画が如何に作られたのか。撮影現場での黒澤明監督の立ち居振る舞いは善人そのものだった。
是非それを見て頂きたい。
真のリーダーはこの様に生きて、人々に生きる希望を与えるべきだと思う。そのお手本が、何事にも情熱的で、知的で、寛容な黒澤監督だとご理解いただけるに違いない。」
1984年から1985年に掛けて撮影した『乱』撮影現場記録ビデオ素材を使って、38年越しで製作したこの映画のTVOD配信が2022年11月1日から始まった。
・Google Play/YouTube(有料配信)・Amazonプライム・ビデオ・U-NEXT
・J:COMオンデマンド・ひかりTV・VIDEX.jp・MOVIE Full +・ビデオマーケット
・GYAOストア・RakutenTV/楽天ShowTime・dTV
AmazonではDVDも販売されている。
『Life work of Akira Kurosawa』40分版の国際映画祭受賞歴 http://tokyowebtv.jp/ 東京ショーツ(日本)でドキュメンタリー短編映画賞 T.I.F.A. – ティエテ国際映画賞(ブラジル)でドキュメンタリー短編映画・アンフマ銀賞 ニューヨーク映画祭(アメリカ)でドキュメンタリー短編映画・特別賞 ミラノゴールドアワード(イタリア)でドキュメンタリー短編映画・特別賞 スタンレーフィルムアワード(イギリス)で最優秀ドキュメンタリー短編映画賞 ブルーズドルフィンズ毎月オンライン国際短編映画祭本選(インド)で最優秀監督賞 ニューヨークネオリアリズム映画賞(イタリア)で ベストドキュメンタリー映画賞 オニコフィルムアワード(ウクライナ)で ベストドキュメンタリー映画賞 ロンドン国際月例映画祭(イギリス)で 特別名誉賞https://tokyowebtv.jp/
ありがとうございます。https://tokyowebtv.jp/