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おはなし

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作品公開/『瓶詰』

どうも。夏冬春秋です。今回は高校時分に書いたキモイ小説を張り付けにきました。

この作品は夢野久作『瓶詰地獄』のパロディとして執筆致しました。とはいえ自分のエッセンスで書いてるのでね!!!うん!!

ってことで、本編を前後編で分けて投稿致します。

『瓶詰』  一葉目

 拝呈、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、かねてよりご報告させて頂きました潮流研究資料をご送付いたしました。件の、日記の切れ端が詰められた麦酒瓶でございます。島民が発見したものを回収したのですが、様子を見るに二つほど判明したことがございます。併せてご報告させて頂きます。
 一つは、ここより数里離れたいくつかの島のいずれかより着いたものであるということ。
 もう一つは、瓶の様子から

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『瓶詰』  二葉目

 第二の瓶の内容

 どのようにしろ、こうして手紙を書くというのは初めてのことです。どうにも難しいものだと書き始めて気づきました。
 貴方の手に届く頃、それは何時なのか皆目見当も付きませんが、きっと届いているということには間違いないのだと思います。なので、恭しい挨拶もここでは省略させて頂きます。その方が堅苦しくないでしょう?

 さて、このようにして手紙を書いたのにはとある事情故でございます。その

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『学と信仰』

 そこは山奥であった。ただ見渡すばかりの緑が茫々と生えており、身動きさえとりにくいような場所だった。入山してよりしばらく経つ。もう空は私の澱のようによどんでいる。嗚呼、東西南北すらも分からない。
 背の高い草をかき分けかき分け、どうにか歩を進めるとむしろ殺風景とも言えるこの草原に、小さな寺がぽつんと建っていた。寺の周りは草が刈り取られている。
「どなたかいらっしゃるか」
 そう問うてみると、はい、

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作品公開/『学と信仰』

どうも。夏冬春秋です。

きのう公開された『学と信仰』という作品、もう読んでいただけましたでしょうか?またもやなんとも気色の悪い話を書いてしまいましたが、あくまで笑い話として読んでくださると嬉しいです。

1部の方はお気づきのことやもしれませんが、元ネタは宇治拾遺物語のお話から取材したものです。が、かなり違う内容になっていますので、読み終えた後にでも、元ネタの方も読んでいただきたいですね。

これ

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『カバさん』

 さて、眼前にカバさんがいる。目算、六メートルほどの距離に。それも登山道で。
 眼前にカバさんがいる。ついさっき、横の草むらからまるで野生ポケモンかのように飛び出して以来、そのつぶらな両の眼でずっと私を見つめている。
 完全にカバさんがいる。百人に聞けば百人がこれはカバさんだと言うようないっそあからさまなカバさんで、ベヒーモスでもなければポケモンでもないあのカバさんが、加波山で出た。シンパシー。

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作品公開/『カバさん』

どうも。夏冬春秋です。

またも作品を公開させて頂きました。こと今回の作品に関しては小説と呼ぶにはややおこがましいのですが、小説以外の呼び方が浅学ゆえにわっかんないので、そういうことにします。

テンポ良い朗読向けの作品として書きましたので、皆さんも声に出して読んでみてはどうでしょうか。

では。