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映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」を観て思うこと

マノロ・ブラニクの靴を初めて見たのは、いつの頃だったか。
もう、かなり前なのは確かだ。
ラグジュアリー・マガジンとして有名な25ansで特集されていて、そこで見た気がする。

踵が細く、特徴のあるカーブを描く、美しく、エレガントなマノロ・ブラニクの靴。
こんなに美しい靴があるのかと、思った記憶がある。

その後、海外ドラマ「SEX AND THE CITY」のキャリーを語る上で、重要アイテムとして
ドラマ内でマノロ・ブラニクの靴は使われていた。
キャリーと言えば、マノロ・ブラニクだった。

現にそれまで、セレブの為の靴といった位置付けだった靴が、このドラマで一気にブレイク
し、世界中の女性達が知るところとなり、そして、世界中の女性達の憧れになったような気が
する。

そのマノロ・ブラニクのドキュメンタリー映画が、現在公開中だったので、観に行ってきた。

「とっておきの靴を手に入れた女の子は、世界を征服できるのよ。」 -マリリン・モンロー

Give a girl the right shoes and she can conquer the world. – Marilyn Monroe

マリリン・モンローの名言から始まる、この映画にはマノロ・ブラニクの全てが詰まっていた。
社交的で、お喋りで、芸術家で、職人で、とてもお洒落で、魅力的な人。
世界中の女性達が、彼の靴に夢中になるのが判る。

華やかなデザイナーとしての顔、靴職人としての顔。
ヒールの綺麗なカーブの木型を、自ら削っていく、彼の顔には職人ならではの気高さがあった。

世界中の女達を熱狂させる靴、マノロ・ブラニクのお店は、静かな住宅地の中に、ひっそりとある。
それは、自分の大事な独りの時間を誰にも邪魔されたくない、マノロ・ブラニクそのもの。

マノロ・ブラニクは、イギリスのバースの瀟洒なマンションに、独りで暮らしている。
読書を愛し、エレガントなスーツを愛し、綺麗な花が咲く庭園を愛している。
彼のライフスタイルは、全て彼の作る靴に現れている。

独り暮らしなのに、そこには寂しさは少しもない。
とても楽しそうで、独りなのに華やかだ。
彼の靴を履くというのは、ただ単に靴を履く訳ではなく、彼のスタイルを履く事なのかもしれない。

SATCでキャリーが

「サンダルじゃないわ。マノロよ。」

と言う場面があるけど、まさしくそれだ。
靴を履くのではなく、マノロを履くのだ。

彼の靴しか履かないと言い切る、US VOGUEの有名編集長 アナ・ウインターも、靴ではなく、マノロを履く女だ。

「もう他の人の靴は履かない。見もしないわ。彼は義務だと思っている。靴を履いた女性を
美しく見せることを。それは、凄く感動的だわ。」

と、語っていた。

いつも静かにツンとすましている彼女が、はしゃいで、マノロの靴について語っていた。
少女のような彼女を初めて見た。
本当にマノロの靴が好きなのが、伝わってくる。
彼女のライフスタイルには、マノロの靴は欠かせないのだろう。

ソフィア・コッポラは映画「マリー・アントワネット」の衣装として、マノロ・ブラニクの靴を採用した際、

「きっと、マリー・アントワネットもマノロに頼むと思ったから。彼には遊び心があるわ。」

と語っていた。
確かに、あの時代にマノロ・ブラニクがいたら、マリー・アントワネットはきっと頼んでいたと思う。

靴が届いた時、出演女優達のテンションが上がって、撮影現場がとても良い雰囲気になったそう。
Manolo Blahnikと書かれた白い箱の中から、マカロン色のレースやリボンに彩られた美しい靴
が出てきて、テンションが上がらない女なんていない。
マノロ・ブラニクの靴は、そんな靴だ。

それだけ、女性にとって靴は、香水と同様、大事なアイテムなのだ。

まだまだお元気そうだったけれど、彼がいなくなった後、Manolo Blahnikと言うブランドは、
名前は残ると思うけれど、今の彼の靴が持つ香りは、無くなってしまうと思う。
でも、仕方ない。
それが、マノロ・ブラニクの靴を履くと言うことだから。

SATCシーズン6 エピソード9「A Woman's Right to Shoes」の中の

「シングルウーマンの道は平坦ではない。
だから歩くのが楽しくなる特別の靴が必要なのだ。」

は、名言中の名言。

#日記 #エッセイ #映画 #感想 #ファッション #ManoloBlahnik

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