sizukuoka『チトハナ 血と華の吸血鬼譚 上』感想

あらすじ(BOOTH商品紹介ページより引用)

人の社会に紛れて、吸血鬼はひっそりと存在していた。
ファミリーを急襲された吸血鬼のソレッラは、頭領の娘・ヴァニアを連れ北へ逃れる。
やがて対峙した追手は…――再録漫画『山茶花』
ファミリーの内部抗争を終結させたソレッラは、ヴァニアとともに新しいファミリーの形を模索していた。
人を救うことができない吸血鬼にとっての「正義」とは?――続編小説『ネリネ』
義理に生きる吸血鬼×盲目の少女が織り成す、運命に抗うバトル百合物語。

バトル百合物語に相応しく、手に汗握るバトルと主従百合が見事に融合した作品。
百合と吸血鬼の親和性の高さは昨今の吸血鬼百合物の豊富さからも容易に知れるが、本作では吸血行為だけでなく、それぞれの吸血鬼が持つ特殊能力がバトル物としての面白さをもより深めている。さらにただ特殊能力の強さ比べでなく、機関銃や地雷などの武器の使用や周囲の状況の利用など、様々な要素を混ぜ合わせたバトル展開がとにかく熱い!
また、人間との「契約」によってしか魂を受け継いでいくことができないという人間を超越した存在でありながら人間に頼らざるを得ないという吸血鬼と、マフィアの首領でありながら盲目の少女という、主従であり、また同時に互いが互いに依存し合っているという関係性が、ただの吸血鬼百合とは異なるテイストを呈していて新鮮でした。

百合は他ジャンルと組み合わせがしやすいけれど、本作もその好例だと思います。

また本作はさゆとさんの小説だけでなく、ぽいぽいさんのイラストと漫画をも楽しめるという大変豪華な仕様。特に表紙では血と吸血鬼ソレッラの瞳の赤と、百合と少女ヴァニアの服の白が対比的で、一瞬で目を惹き付けられるだけでなく主人公二人の関係性がよく表されていて素晴らしい一枚です。

ところでカバー折り返しのボフミラさんがめちゃくちゃかわいくて見つけた時にあまりのキュートさにめまいがしたのですが、それが大げさでないことをぜひ実物を手に取ってご確認ください。

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