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詩|浴室にて

世界が愛を歌っているとき、ぼくはまだ選択を知らず、音感だけの文字を綴っている。
汚されたいまで行けそうにないハイウェイ、24/7、砂漠のなれの果て、恋を抱いて駆け出したい空は、色の映らないスクリーン。
ゆめを見ていたかったんです、ただぼくは、血管がちぎれるみたいに心臓を動かす爽やかなゆめを。
だけど浴室が、精液が、ぼくを殺して、動かない呼吸器を装着させるから、きっとこのまま落下していくそんな排他的ロックンロール・ミュージック・ビデオ。
孤独味のガムを味のしなくなるまで噛んで、健康を害しても飲み込んでしまうように、未来を描く前に終末でまた会ってしまうよ。

愛ってなに、綺麗ってすてき、それらが首筋をなぞってしまう今夜を止めて。
愛はキモい、綺麗はキモい、そう言って今夜は踊らせて。
暗くて煩い森の外へ、早くぼくを連れ出して。
世界が愛を歌い終えるその前に、早くぼくを連れ出して。

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