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詩|セブンスロマンス(7th romance)

静けさと煩い蝉の声、プールサイドで眺める塩素の匂い、夕方の青とピンクが混ざったところを綺麗と思う気持ちが、存在していたんだよ。本当はね。だから、もう二度とそこへは行けないって今更になって教えないでよ。歪む音が脳内で駆けるモーションも今すぐ出来たら、簡単に命を捨てて天才と呼ばれて見せるのに。僕と言ったら運命の虜で、きっとこの街の終わりまで見てしまうんだ。
君に付けられた傷跡が消えかかる度、瘡蓋を無理に剥がして血が滲む。汗でへばりついた黒髪が染められる事、朝の光を救いと呼ぶ事、かつては致死量の健全を服用する可笑しさを、学生服姿の自分が笑っている。そんなありったけのノスタルジーは今も蠢いていて、願えば願うほど期待外れの朝日を見せた。
嗚呼、僕は見栄っ張りだ。世界が美しいから、瘡蓋を剥がしては嘔吐する馬鹿者だ。
永遠に一人きりが怖いくせに、本当は、伝えたい言葉などひとつも無いんだよ。笑ってくれよこんな僕を。すべて残らず笑ってくれよ。
血が滲んで痛かった。悔しくて黙った。情け無くて涙が出た。ただ僕は、もう二度とその場所へ戻れない悲しみが、綺麗に鳴らないDM7が、純潔を惑わせてしまう真夜中に、君に手を繋いで引き留めて欲しかったんです。
それだけ、なんです。
ごめんなさい。

(君に付けられた傷跡が、消えかかったから、青い春はもう来ない。)

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