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共感のはずが反感を呼ぶ!?炎上の原因となるものは。

みなさん、こんにちは。SUMMERです。

最近、「エモい」や「あるある」といった【共感】を生むようなプロモーションや、広告が注目されておりますね!

一方で、「性差別だ」「勝手な理想像を押し付けるな」といった、人々の反感を買い炎上につながってしまったプロモーションも存在します。

そこで今回は、【共感】を生むはずが【反感】をかっていまい【炎上】してしまった!という事例を紹介したいと思います。


1.「配慮に欠けていた」共感ではなく反感をかってしまった炎上事例

以下の記事は、ワコールによる男性用下着のプロモーションに関する記事です。

引用元:( https://www.huffingtonpost.jp/2018/05/17/wacoal-comment_a_23436689/

「東北美人に後ろから抱かれているような感じ」

「すごいモチ肌の女性に抱かれているような感じ」

といった表現で、商品の履き心地、触り心地を訴求したプロモーションでしたが、世の女性たちからは「男性の購買意欲を高めるための『もの』として『女性』を使おう、使っても良いという発想だ。」「東北以外の女性に失礼。」といった声があがりました。

そしてこの一件に関し、ネット上では様々な討論がなされており「『男性に後ろから抱かれているようなシャツ』は男性差別になるのか?」「女性差別よりも前に、地域差別なのではないか?」といった声もあがっています。

ワコールはこの事態に「読者の不快感に対する配慮を欠いたものでした」と謝罪文を公開しました。しかし、なぜ【ワコール】という世の女性たちを支えてきた歴史的ブランドがこのような事態を招いてしまったのでしょうか?



2.共感が偏見へ変わる。【ステレオタイプ】 とは?

みなさん【Stereotype (ステレオタイプ)】をご存知でしょうか?

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると、【ステレオタイプ】とは

一定の社会的現象について,ある集団内で共通に受入れられている単純化された固定的な概念やイメージを表わすものとして用いられる。通常それは好悪とか善悪の感情を伴った「できあい」の概念,あるいは「紋切り型」の態度というふうに訳される。ステレオタイプは,複雑な事象を簡単に説明するには役立つが,多くの場合,極度の単純化や歪曲化の危険を伴い,偏見や差別に連なることになる。

引用元:(https://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97-84269)

なんとなくわかったような・・・そうでもないような・・・といった感じですよね?

ちなみに【ステレオタイプ】は【偏見】と直訳されることもありますが、この2つはすこし違うニュアンスを含むので、その違いとともにもう少しわかりやすく説明できればとおもいます。

こちらにかんたんな図も用意しましたので、こちらも参考にしていただければと思います。

たとえば・・・

「大阪の人はノリがいい/面白い」

この固定的な概念、イメージはみなさんもなんとなく理解できるかと思います。これが【ステレオタイプ】です。日本国内であれば大半の人が理解できる、共通認識されているイメージです。

一方でわたしがこんなことを言ったとしましょう。

「かわいい子って大概性格悪いから、ともだちにはならないようにしてるんだ〜」

これは【偏見】です。なぜなら、集団内で共通認識されているイメージではなく、わたしの経験や、偏った考え方から形成されたイメージだからです。(あくまでもたとえばなしなので、わたしのともだちは実際かわいい子ばかりです♡)

では、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説中にある「ステレオタイプは,複雑な事象を簡単に説明するには役立つが偏見や差別に連なることもある」とはどういうことなのか。

これが、先ほど紹介したワコールの炎上事例により説明できると考えられます。

恐らく、この男性用下着のプロモーションを考えるにあたり「どのように商品を説明すれば、より多くのターゲット(男性)に共感してもらえるのか」という切り口から出てきたのが「女性の柔らかくしなやかな肌」と「東北出身の人は肌が綺麗」という2つの【イメージ】が掛け合わさった「東北美女に後ろから抱かれているような感じ」という表現であったと考えられます。

この【イメージ】こそが、『ある集団内で共通に受入れられている単純化された固定的な概念やイメージ』=【ステレオタイプ】であったといえる かと思います。

ある受け手からすれば 「あーなるほど」 と共感を得られる表現であったのかもしれません。しかし、ほかの受け手に「差別的な発言/表現」として受け取られてしまった以上、この【ステレオタイプ】はだれかの心を傷つけてしまう【偏見】に変わってしまうのです。


3.アイデンティティとステレオタイプ

ステレオタイプはアイデンティティと密接な関係があります。

そのためアイデンティティが多種多様であるように、ステレオタイプも数多く存在します。

こどもの頃、「将来の夢」についてともだちと話すなかで、こんな会話をきいた/した経験がみなさんあるかと思います。

「わたしは女の子だから、おはなやさんになる!」

「ぼくはかっこよくなりたいから、ウルトラマンになる!」

「○○くん、看護師さんは女の子しかなれないよ!」

これらはすべて、【性】というアイデンティティに関わるステレオタイプです。

このほかにも

「A型の人は几帳面で、B型の人はマイペース」

「沖縄出身の人は時間にルーズ」

「ゆとり世代は諦めがち」

こういった、性別、年齢、出身、血液型、といったアイデンティティに関するステレオタイプは、意外にも身近に存在しています。


4. ステレオタイプとマーケティング

アイデンティティが慎重に語られるトピックであるように、ステレオタイプもセンシティブな話題でなければいけません。

『ステレオタイプは複雑な事象を簡単に説明するのに役立つ』ことから、キャッチコピーに活用されたり、実際に統計学上間違いではないステレオタイプも存在するため、マーケティングに活用されることもしばしばあります。

しかし、受け取り手が「偏見だ」と感じるようなアウトプットをしていまうと、炎上につながる可能性があるのです。

「偏見のつもりはなかった」「みんなに共感してもらえると思った」と言っても、受け取り手にとって「負」の要素が含まれていれば、いくら発言者に悪気はなくとも偏見的な発言をしたと捉えられてしまいます。

したがって、家事や育児に関わる商材に「頑張るママの味方」というようなキャッチコピーがつけられることがありますが、この「頑張るママの味方」というキャッチコピーも、「家事をするのは女性」というステレオタイプに関係するがために「なんでママだけが家事/育児を頑張らなければいけないんだ!」といわれてしまえば、偏見的なメッセージとして世に伝わってしまうのです。

SNSにより誰もが公の場で意見、批判できるようになったいま、すてきな商品 、サービスがたったひとつのキャンペーンやキャッチコピーにより台無しになってしまう時代です。

ただ、だれかの心を傷つけないためにも、【ステレオタイプ】には細心の注意を払っていきたいですね。



いかがでしたでしょうか。

本当は海外事例も紹介したかったのですが、多様性豊かな海外は日本よりもたくさんのステレオタイプで溢れているぶん、炎上事例もたくさんあるので今回組み込みきれませんでした。なので続きは次回にお話ししたいと思います。

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