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採用動画のシナリオ作成法

採用動画を活用する会社が増えている

近年、雇用の流動化が起きていることから採用活動に動画を活用する企業が増えています。1分間の映像には、文字情報に換算して180万文字分の情報量があると言われており、動画を使うことで、企業の雰囲気や職場環境、働くスタッフの生の声をリアル、かつ詳細に伝えることができます。また、動画はSNSやウェブサイトなどでも簡単に共有でき、求職者同士での情報交換にも利用されています。その結果、企業の認知度が向上し、採用活動の効果もより高まることでしょう。
しかし、すべての映像制作において同じことが言えますが、プランとシナリオ無しに作成していくと情報の質が散漫になり、効果は薄れます。また、好調な業績や力強いメッセージばかりを誇張して発信すると「ブラック企業」のような印象を与え、採用にとって逆効果になりかねません。まずはプランとシナリオをしっかりと固め、誰にどんなメッセージを伝えたいかを整理することから始めましょう。

採用動画もマーケティングが重要

商品PRをする際にマーケティングの手法を取り入れるケースは増えてきました。同じく、採用動画を作成する際にも、闇雲に企業情報を伝えるだけでなく、マーケティングの手法を応用してブランディングすることが重要です。具体的には以下の点などに配慮しましょう。

ターゲット設定:

求職者が誰なのかを明確にし、そのターゲットに合ったメッセージを伝える

ストーリーテリング:

企業のストーリーやビジョンを伝えることで、求職者に共感を呼び起こす

コンテンツの魅力:

ターゲットが見たい内容や視覚的に視聴しやすい動画を作成する

リアルな情報:

実際の職場やスタッフのインタビューを取り入れることで、求職者に信頼感を与える

これらの手法を用いることで、求職者は企業の価値観やビジョンに共感し、「ここで働きたい」という気持ちを強く抱くことができます。私の印象ではこうしたマーケティングの基本を抑えて映像制作をする映像制作プロダクションはまだまだ少ないように感じています。動画制作を始める前に、人材採用の専門家や企業の採用動画を多く手掛けるシナリオライターに相談し、いくつかの案を提案してもらうのも良いでしょう。

シナリオを書く手順

1 .目的とターゲットの明確化

シナリオを書く際には、まず目的とターゲットを明確にすることが重要です。採用動画の目的は、企業の魅力を伝え、求職者に「この企業で働きたい」と思ってもらうことです。そのために、どのようなメッセージを伝えるべきかを考え、ターゲットとなる求職者像を具体的に設定します。その際、社員への匿名アンケートや第三者によるインタビューなどで、入社にあたりどのような点を気にしていたか、現状の会社の良い面・悪い面などを事前にヒアリングすることも大切です。

2. メッセージのターゲットへの到達と内容の適合

次に、制作しようと考えているコンテンツがターゲットに届くメッセージになっているかどうかを確認します。動画の場合、「求職者が求めている情報や魅力を理解し、それに応える内容がシナリオに反映できているか」「見てみたい、と思える魅力的なコンテンツになっているか」などのチェックが必要です。以下のポイントを考慮しながら動画の基本コンセプトを作成しましょう。

企業の価値観やビジョン:
ターゲットが共感できる企業の理念や未来像を伝える
職場環境や働き方:
具体的な職場の雰囲気や働き方を紹介し、求職者が実際に働くイメージを持てるようにする
社員の声:
実際に働いている社員のインタビューを通じて、リアルな体験や感想を伝える
キャリアパスや成長機会:
企業でのキャリアパスや成長機会を明確に示し、求職者にとってのメリットを強調する
福利厚生や社内文化:
企業の福利厚生や社内文化を紹介し、働く上での魅力をアピールする

このように、ターゲットが見たい内容を常に意識しながら、シナリオを作成することで、採用効果の高い動画が作成できます。その際、注意点として1つの動画にメッセージを詰め込み過ぎないことが大切です。メッセージを盛り込み過ぎると内容が散漫になり、視聴機会減少や離脱の原因となります。複数のメッセージを伝えたい場合は動画を分けたり、チャネルや媒体を変えることを検討しましょう。

3. 視覚的な演出を考える

動画には視覚的な演出も重要です。特に20‐30代前半がターゲットとなることが多い採用動画では堅苦しい演出では視聴すらしてくれない場合もあります。時に若者が見たくなるアイキャッチを冒頭に示しつつ、視聴したくなる内容にすることも採用動画の手法の一つです。
また、映像の中でどのようなシーンを撮影するか、どのようなカットを使うかも重要。例えば、オフィスの様子や働く社員の姿、チームミーティングの様子などを撮影することで、企業のリアルな雰囲気を伝えることが可能です。また、社員自身が出演することで、「この人と一緒に働きたい」というモチベーションが生まれることも。
こうした映像の演出は映像制作経験の少ない方には難しいかもしれません。事前に社内でヒアリングを実施し、ターゲットの知りたい情報を明確にしておくと、シナリオライターや映像制作者が具体的な案として提供してくれます。

4. リアルなインタビューを取り入れる

最後に、社員や経営者のインタビューを取り入れることも検討します。求職者のニーズに応えるには実際に働いている人々の声を通じて、企業の魅力や職場の雰囲気を伝えることが非常に有効です。インタビューでは、具体的なエピソードや成功体験はもちろん、時には失敗談や入社後のギャップなど、マイナス情報に思える内容も取り入れて求職者にリアルな情報を提供します。こうした誠実な情報発信が求職者の信頼感を高めるとともに入社後のミスマッチや早期離職を防ぐことに繋がります。

まとめ

採用動画のシナリオ作成には、マーケティングの手法を応用した採用ブランディングが重要です。目的とターゲットを明確にし、ターゲットに届くメッセージを作成しましょう。適正な候補者に、正しい情報を、興味深く届けることで、採用効率の向上や採用後のミスマッチ防止につながります。ぜひ、皆さんの会社で人材を募集中の場合は採用動画の作成をご検討ください。


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