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流れに乗る秘訣はゆるっと委ねることだった。タンゴもそして人生も。

タンゴは二人の踊りである。パートナーとのアブラッソ(抱擁)が踊りの基本。これ、パーソナル空間が広めの日本人にはなかなかハードルが高い。まさにわたしのタンゴ人生の最初のハードルはこれだった。タンゴは男性のリードによって動いていくものなのだけれども、こちらがガチガチに緊張していると全然踊りにならない。習いたての頃は、頭で正しいステップとか、正しいポジションとかを一生懸命意識していたし、お相手に寄りかかっちゃいけないとか、間違えちゃ悪いとか、上手で良い子でいることに集中していたので、全然だめだめだった。

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そういうことじゃないんだよねー。と思えるようになったのは、ブエノスアイレスで踊るようになってから。年季の入ったミロンゲーロのおじいちゃん達に踊ってもらうときというのは、「若輩者ですが、よろしくお願いします。お任せしますんで、良きようにしてください。」みたいな挑み方なのだ。真剣におじいちゃん達が聴くタンゴを、おじいちゃん達を通して聞かせていただくという心持ちもさることながら、ガシッと羽交い締めにされるので、体の力を抜かざるを得ないという状態にもなる。ここで踏ん張ってしまうと、まるで二人で柔道をやっているみたいな感じになっちゃうので、逆に超恥ずかしい結末になる。

身も心も委ねてみると、意外と楽に踊れてしまうものなので驚き! 実際、基本をしっかり習ってきているので、思いのほかちゃんと動けているものなのだ。力を抜いて相手に寄り添っても、ぶら下がるようなことにはならない立つ基本があるし、反復練習のおかげで、不意のリードにも足が勝手に反応する。
素敵に踊れるようになりたい、素敵な相手に誘われるようになりたいと願いつつ、ずっとそこに立ち塞がっていた壁は、『委ねる』ことだけだったというのは、ある意味、がっかりのような、大発見のような・・・。

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そして、実は人生も『委ねる』がキーワードだったのだと最近よく思う。30代40代はよく働き、よく頑張ってきたように思うけど、なんだかずっと力が入っていたよなぁ。特にこの一年、ゆるっと力を抜いて周りに耳をすましていると、何となくうまく行っているではないか。周りというのは人だったり、見えないものだったりするけれど、力が入っていたうちは目にも耳にも何も入ってきていなかっただろうな、と思う。

例えばこの隔離政策下、そろそろ仕事始めた方がいいかな、いつから始めたらいいのかなぁと思いを巡らしながら過ごしていると、クライアントから依頼が入ったり、何かの決断に躊躇していたりすると、空に日輪が現れたりする。これは仕事のスタートサインだし、決断のOKサインだ。
どうしようかと先延ばしにしていた課題があれば、友達から知らなかった情報がもたらされたり、程よいノウハウものがオススメYouTubeとして画面に表示されたりする。こういう事柄は、洪水の日の助け舟とも言えないかな?

今のわたしはそう解釈する。

そのように解釈をすることを自分に許可出来るかどうかが、委ね力なんじゃないかと思う。多分昔ならば、色々と情報を集めて念には念を重ねて、他人の顔色と世間体を最優先して、結局決めきれずタイミングを逃すというパターン。やることやったならば、あとはいい具合に進むようによろしくお願いしますと、大きな流れに委ねてしまって、抵抗しない。そんな風に過ごしていると、ああ、なんだかゆるっと穏やかで、幸せな心地。いいタンゴを踊っている感じだなぁ。

いや、リアルで踊りたいなぁ.....。

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今日でなんと199日目の隔離政策が続くアルゼンチンでは、今やタンゴの情熱も風前の灯。応援しているミロンガエイドの活動の一環として立ち上がったYouTubeチャンネルを添付します。ミロンガの魅力を伝えるインタビュー動画配信。

一回目のゲストは新聞記者から独立してタンゴ雑誌を立ち上げた女性編集長。なぜ世界中の人々が、タンゴ音楽、ダンス、そしてミロンガに魅了されてしまうのか、その一端を感じて頂けるはず。自然体の優れた日本語訳付きですが、ブエノスアイレス特有のカステジャーノと呼ばれるリズム感のよいスペイン語もお楽しみください。

これをきっかけにミロンガ支援にご協力頂けましたら最上の喜びですが、動画をご覧くださること、チャンネル登録、動画拡散も大大大歓迎です。ぜひ💕




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