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【原チャリで行こうぜ!】 2001道北編 vol.6 〜通学用スクーターで北海道に向かってしまった件



5日目:2001年8月1日(水)

うって変わってのんびりした朝

6:30

起床。
朝の岩尾内湖、静かで爽やかである。
ゆっくり、歯を磨いて、飯の準備を開始。
まずはコッフェルにお湯を沸かして味噌汁、おかゆを頂く。
食後のコーヒーがゆったりした気分にさせてくれる。
「そう言えば、昨晩大変だったなぁ。でも、今朝はなんかのんびり気分、不思議だなぁ」

さて、撤収準備に取りかかる。
草の上にテントを張っていたので、テントは若干湿っている。
こういった時は、駐車場のアスファルトの上がベストである。
アスファルトに、テントを置いて掃除しつつ、乾燥させる。

良く考えたら、このキャンプ場はかなり広いので、もっともっと奥の静かな場所にテントを張れば良かった。
駐車場の近くにテントを張ったオレの選択が間違いのもとであったようだ。
まあ、これも学びの一つと思うことにした。

8:00すぎ

少々寒いが、太陽が顔を出してきた。
いよいよスタートである。
道道101号を愛別方面に向けて南下。
ほとんど車がいないのでのんびりと走ることができた。

やがて道道101号線は国道39号線と合流する。
国道39号線を旭川方面へ。
若干手慣れたものである。
というのも、昨年このルートを走ったことがある。
去年は旭川から岩尾内湖への逆ルートであったが。

9:41
ホクレン愛別給油所、上川郡愛別町、2.7リッター、リッター104円、295円。
スタンドのおじさんが、「どっからきたのー?すごいねー!」って話し掛けてくれた。
「いや、バイクが壊れかけて、パワがー出なくなってきて、大変でしたー」
すると、おじさんはホクレンのスタンプシートのスタンプをすごい勢いで、全部押してくれた。
こういうのがとってもうれしいんですね。
「じゃあ、頑張ってね!」と見送られて再スタート。
「頑張るぜ!!おっちゃん!」

スタンドのおじさんと話していて、実は昨日Dioが絶不調だったことを思い出した。
このDioのパワーが著しくダウンするという不調、昨日の後日談のところにも記載したが、マフラーがつまっていたことに起因する。
昨晩の走行の最後あたりで、マフラーにつまっていたカスが一時的に少しだけ外に飛んでいき、若干だけ排気性能が回復したのだろうか?
今朝のDioはすこぶる調子が良い。
「Dio、ありがとう、頑張ってくれて」

10:02
道の駅”当麻”、肉まん、100円。

ホームセンターやスーパーなどを7、8件覗いた。
というのも、例の違法?ストーブ探しである。
「売っていたのは、昨年までで、もう売っていないのかな?」
何しろ、消防法的にグレーな商品である。
さすがに、もう店頭には並んでいないのかもしれないと諦めることにした。

今年こそおいしいラーメンを!

国道39号線で旭川市に入った。
1年ぶりの旭川である。
なぜか懐かしい気分がした。

まずは、旭川駅に行った。
うれしくて、JR旭川駅前で写真をとった。

この旭川駅、実は1960年(昭和35年)に建てられた3代目の駅舎である。
昭和レトロな雰囲気が漂う感じの駅であったが、2010年10月10日(平成22年)に4代目の駅舎の利用開始とともに、残念ながら廃止となった。
旧駅舎は現在のモダンな4代目の駅舎の手前のローターリーの辺りに位置していた。

去年旭川で食べたラーメンは微妙だったので、今年こそおいしいのが食べたい感じである。
ただ、目当ての店も美味しい店の情報もなかった。
「さて、どうしたものか?」

駅周辺を歩いてみると、なんとなく交番が目に入った。
「おまわりさん、街のことは詳しいはず、うまいラーメン屋を知っているかも?」と漠然とした期待を持ちつつ、交番へ向かった。

「すいませんー」
「実は旭川駅、初めてでして、いきなりですいません、おいしいラーメン屋、ご存知ですか?」
と無茶振りをしてみた。

「あー、困ったなぁ、職業的に(笑)、オススメの店って紹介できないんだけど…。うーん」
沈黙が5秒。
「おれ、個人的には、”山頭火”が好きでよく行くかなぁ」
と優しく教えてくれた。

「本当、ありがとうございます。行ってみます!」
旭川駅の交番の親切なおまわりさんに感謝である。

交番とDioといった構図で一枚写真をとって、ラーメン屋さん”山頭火”へDioを走らせた。

11:00
山頭火の暖簾をくぐると、塩、しょうゆ、味噌ラーメンがあった。
素人のオレ的には、メニューの一番最初に書いてあるのが、お店のイチオシだろうということで、塩ラーメンをオーダーした。
白濁の豚骨スープ、心地よいコク、本当に、超うまかった。
「山頭火、たまらねぇ~」
そして、チャーシューも本当にうまかった。
「おまわりさん、やるぜぇ!」

後で知ったことだが、この山頭火さん、旭川発祥のラーメン屋さんで、今や海外にも展開しているすごいラーメン屋さんとなっていた。

ちょっと観光客チックに、美瑛の丘でも…

飯を食って、腹もふくれたので、「そろそろラベンダーと丘?」なんて思いつつ走り出す。
「さあ、国道237号線を南下しよう!」

12:12
ホクレン、??SS、0.88リッター、リッター102円、94円。

実は、ツーリング中のレシートを大切に取っておくことにしている。
というのも、レシートには自分の足取りがきちんと記載されているからである。
店名、品名、さらに時間などが記載されている。
旅の足取りに関する情報が満載である。

しかし、”??SS”、おそらく、レシートの文字が薄れて判別不能であったのであろう。
ツーリングマップル北海道を見ると、おそらく、オレは西神楽にあるホクレンの給油所で給油したようだ。

おもむろに、国道452号線へ入っていった。
というのも、北海道っぽい丘を眺めたくなったからである。

実は、美瑛の丘、1997年に北海道を家族で旅行した際に、レンタカーを借りて走ったことがある。
なんとなくまた眺めたくなったのであった。

ここからは、美瑛の丘にある、素敵な木たちと丘のコラボレーションが始まる。
美しい丘をぼーっとのんびり走った。
”マイルドセブンの丘”、”セブンスターの木”、”ケンとメリーの木”、”親子の木”など、本当に素敵な風景である。
いろいろ個性的な名前がついているのは、昭和時代のさまざまなCMなどの撮影に利用されたからである。
「あー、北海道に来てよかったなぁ」って思う、まさに北海道を代表するようなランドスケープである。

駐車場で一休みを取ろうとしたところ、オレと同じようなのんびりライダーがいたので、しばし彼とだべってゆったりした。

13:54
ローソン、美瑛大町店、上川郡美瑛町、小倉マーガリンパン92円。

再度国道237号線へ戻る。

富良野というとラベンダーのような雰囲気であるが、まさにそのファーム富田を久々に訪れることにした。

前に来た時は9月だったので、ラベンダーもそろそろ終わりな雰囲気であったが、8月の青空のもとのラベンダーは本当にすごく美しい。
そして、北の国からにあるように、”雲がとってもきれい”であった。

しかし、少しずつ青空に雲が広がってきた。
8月の美しいラベンダー畑も拝むことできたし、「まあ、そろそろ行こうか」という感じである。

その時、ふと違和感を感じ始めた。
日本語でない早口の団体が現れ、大声ではしゃぎ始めた。
おれはラベンダー畑の写真を撮ろうとカメラを構えていたのだが、おれのカメラの前に立ちはだかり記念撮影を始めた。
あまりの豪快な振る舞いに言葉を失いつつ、国際友好のために諦めた。

急に雨が降り出してきた。
まだ、小雨だが空を見るとかなりやばそうな空色である。

ぱっと見怖そうな優しいお兄さんとの出会い

とりあえず、本日のキャンプ地として検討してあった、”日の出公園キャンプ場”を目指すことに。
途中、公園があったので、寄ってみることに。
その公園には、ライダーが一人いた。
オレがDioを停めると、ライダーはびっくりした顔をした。

「え?なんで、寒川ナンバー?」
オレのDioの”寒川ナンバー”に驚いて寄ってきた。

「いやー、来ちゃいましたよー」と盛り上がった。
彼も神奈川県民のようで、ナンバーに”寒川”と書いてあったので、びっくりしたようだ。
自分の住んでいる土地を少し離れて、同郷人と会うとやけに盛り上がるものである。
彼とは旅の話などをだべった。

日の出公園キャンプ場へ行く道はかなりの砂利道である。
無料と聞いてこのキャンプ場に来たのだが、なんと500円かかるようだ。
どうやら無料だったのは去年までらしい。
今回は宿泊費をゼロにするのがささやかな目標だったので、あきらめて駐車場に戻った。

駐車場でDioに跨ると遠くからの視線を感じた。
視線を感じた方を見てみた。
金髪に、いかついサングラス、むしろ”色付きメガネ”っていうのが正しいのでは?な、かなり恐そうな兄さんがオフ車にまたがって、こっちをじっと見ている。
「やばい、目をあわさねぇ方が…」と思っていたが、完璧ににらまれている状況であるので、逆に知らんぷりし辛い雰囲気である。

意を決して、同じライダーっていうことで、「ちわーっす!」と挨拶をしてみた。その怖そうなお兄さんは、いきなり超優しい笑顔で、「ちーっす!」と返事をしてくれた。
体のでかいオレが、小さな原チャリスクーターで旅をしているのを見て、不思議に思ってじっと見ていたようである。
見た目は怖かったのだが、このお兄さん、話してみると、かなり楽しく、かつ礼儀正しい人であった。

「キャンプ場、無料かと思って来たんですけど、今年から有料になったみたいですね」とオレはお兄さんに伝えた。

「そしたら、”中富良野森林公園キャンプ場”しかねぇなー」とお兄さんは返事をした。
「あ、マジですか?オレもそのキャンプ場かなって思っていたぐらいですよー」

「じゃ、一緒にそこ行くかねぇ?」
「あ、オレ、原付きなので超遅いっすよ!」
「あー、オレものんびりだから大丈夫。ゆっくり行こう」

見た目は怖かったのだが、超紳士的なお兄さんであった。
お兄さんの大きなバイクの後ろにオレが着いて、ゆっくりとゆっくりと、中富良野森林公園キャンプ場に向かうことにした。
いつのまにか”恐いお兄さん”と仲良くなっていた。

ゆっくりと国道237号線を南下して、キャンプ場にたどり着いた。
キャンプ場についてから、2人でどこに張ろうかと、入念に見回った。
各自、各々のテントを張り始めた。
テント張って落ち着いたところで、オレは急に「風呂入りてぇ!」と思った。
「温泉行きますか?」
「いや、ありがとう、オレ、一眠りするわー」
お兄さん、若干疲労しているようであった。

1人で、温泉を目指して走り始めた。
再度、国道237線を北上して、道道291号線へ入った。

17:21
ホクレン、ふらの農業共同組合、3.01リッター、リッター102円、322円。

実はこの温泉までの道道291号線、すごい坂道で大変だった。
はじめは緩やかな坂だったのだが、どんどんきつくなる。
緩やかな坂も今のDioにはつらいのであるが、きつい坂はもっとつらい。
「こりゃぁ、無理かな?」
「Dioちゃん、マジわりぃ、頑張ってくれ!」と念じつつ登り続けた。

18:00
命からがら、吹上露天の湯に到着すると駐車場があった。
そこから山道を5分ぐらい下ると、温泉があった。
一応、布で仕切った脱衣所がある。

おじさんが7、8人、おばちゃんが3人ぐらい、ライダーがオレ1人。
途中でアベックが登場したが、残念ながらお姉さんは水着であった。
というのもここは混浴露天風呂であったりする。
タオル一枚で入浴しているおれたちの方が、決定的にはずかしい状況であった。

帰り際、体拭いているとおじさんが話し掛けてきた。
富良野の人で、この温泉は常連のようだ。
今日はゴルフの帰りに立ち寄ったようである。
「今日は、なかなかおもしろい風呂に入ることができました」などおじさんと話して、温泉を後にした。

19:02
スーパーチェーンふじ上富良野店、石焼ビビンバ、レトルト五目ごはん、蒲焼の缶詰、ビール(クラシック)、ジュース、味噌汁、チューハイ、豆、1218円。
今夜の食料と”こころの燃料”をかなり豊富に買いこんだ。
「お腹が空いた、はやく戻って飯くらいてぇ」

19:30
無事にキャンプ場到着。

「飯、一緒に食いましょう!」と聞いたところ、残念ながらお兄さんひと足早く夕食を済ましたところであった。
オレは飯を食いつつ”こころの燃料(ビール)”を頂き、兄さんはお茶とおかしを食べた。
オレの今夜の夕食は、白米2合とビビンバである。

テントを並べ、その前に各々座りこんで、色々とだべった。
火を囲んで二人で熱く語った。

「やっぱり、バイク旅はいいぜー」
「いつ、どこでも、勝手に眠れるしー、一人のバイク旅は」
お兄さんはバイク旅の楽しさを熱く語る。

「あ、オレも去年から北海道ツーリング始めたんですが、バイク旅、本当最高です」
オレもツーリング、ハマってしまったようだ。

こんな話をしつつ、お兄さんがお湯を沸かそうと、おもむろにストーブを取り出した。
ゴソゴソとストーブに何かを接続し、カセットガスを取り付けた。
例のあの違法?ストーブの登場である。
某オークションでゲットしたらしい。
「おれもいつかゲットします!」

兄さんは、1〜2ヶ月ほどの休みを取って北海道をツーリングしているようだ。

林間サイトは、すごく冷え込んできた。
「本当に夏か?」と思うぐらいの寒さである。
今年の北海道は冷夏らしい。

兄さんは、腹の調子が悪いみたいで何度もトイレに行った。
トイレは水洗のようだ。

いいかげん寒くなってきたので、寝ることにした。
優しい兄さんとの、楽しいだべりもそろそろお開きである。

ふと、オレはさみしい心持ちになった。
実は、今夜が最後の野宿?野営?である。

明日は、北海道大学に通うナオフミが住んでいる賃貸マンションの一室が宿泊場所である。
つまり、明日は寒くて震える必要のなく、温かい快適な部屋で眠ることができる訳である。

「快適でない外で眠るキャンプ生活も、意外と爽快なのかもしれない」

旅の終わりがそこまで来ているのを、強く感じた夜であった。
もう少し、キャンプツーリングをしていたいなという気分を持ちつつ、心地よい疲れの中、寝袋に入り込んだ。

22:30
就寝。

※ このストーリーは、ほぼノンフィクションです。一部走行に関する描写に関して、物語展開上のフィクションを含む場合があります。実際の道路状況に合わせて、交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。また、現代と時代背景が異なるため、一部現代の感覚など異なる箇所があるかもしれません。ご了承いただけると幸いです。
※トップの写真は、ツーリングマップル北海道2001に掲載された写真です。カメラマンの小原さんから特別な許可を得て使用しております。


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