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不登校初期と家庭内暴力の対応マニュアル

本日は以下の論文を参考にしながらのnoteです。

竹中哲夫, and タケナカテツオ. "不登校・ひきこもりの理解と回復への援助―健康心理学 (ポジティブ心理学) 的アプローチ―." 日本福祉大学社会福祉論集 112 (2005): 47-84.

https://nfu.repo.nii.ac.jp/record/1904/files/syafuku112-04takenaka.pdf

こちらは2005年の論文ですが、いまだに色褪せない内容で全体をうまく網羅した論文だなと思います。

うちでは子の不登校初期状態にこの論文に巡り会え、本当にラッキーでした。

特に3章の2の「不登校の援助」は不登校初期にはとても大切なことが書かれています。

いろいろな情報を見聞きしますが、不登校に対する対応ってこの頃からほとんど変わっていません。

新しい対応方法と銘打って、契約を急がせる方もいるようですがどうなんでしょうね。


不登校の援助

この論文の3章の2を要約すると、、

  1. 原因探しに固執しない: 不登校の原因は複雑で分かりにくいことが多いため、原因探しに多くのエネルギーを費やさない。原因がわかっても対処が重要。

  2. 家族との関わり: (支援者は)不登校の本人と接触が難しいことが多いので、家族との関わりが中心となる。家族支援(エンパワメント)を通じて、家族の自己回復力や問題解決力を高める。(援助要求力をつけよう)

  3. 症状の理解: 不登校に伴う身体的・精神的な症状を認識し、「苦しい」状態を理解し、ゆっくり休ませることを推奨。

  4. 積極的な評価: 現在できていることを積極的に評価し、小さな進歩を見つける。子どもが悲観的なときには、現実的な助言を行う。

  5. 登校刺激の慎重な取り扱い: 登校刺激を強くしすぎると逆効果になる場合があるため、慎重に対応する。

  6. 長期不登校への対応: 不登校が長期化した場合でも、有意義な日常生活を送ることが重要。昼夜逆転の生活も焦らずに改善を目指す。

  7. 外部支援の利用: 家族だけで解決しようとせず、親の会や相談機関を利用することが推奨される。良い相談機関とは、気長に付き合い、疑問に答え、多面的に考えてくれるところ。

このようなアプローチで、不登校の本人および家族の支援を進めていくことが重要である、と書かれています。

メンタルフレンド

そして3章の4ではメンタルフレンド活動についても言及されています。

メンタルフレンドとは、不登校の家庭などに心理を学ぶ大学生などが出向き、交流をはかりながら恢復を目指すというもので、岡山県中央児童相談所が1989年から開始した不登校対策の活動「ふれあいこころの友派遣事業」に端を発しているようです。

立ち位置としてはメンタルフレンド東海の説明では、親や先生といった縦の関係ではなく、友達といった横の関係でもなく、その中間のナナメの関係で見守りながら遊びを通じて対等に関わる関係だそうです。

大原榮子, et al. "不登校が懸念される児童に対する予防的支援‐メンタルフレンド活動の 3 年間からの知見‐." 名古屋学芸大学短期大学部研究紀要 14 (2017): 5-17.

私は教員なのでどうあがいても「先生臭」が残ってしまいます。振る舞い、話し方、思考、声の大きさ、声の出し方など。
つまり、不登校対応に向いていないグループに属しています。

メンタルフレンドは、こうした先生臭が無く心理を学んでいて、強いことは言わなさそうなお兄さんやお姉さんです。
こうした立場の方の介入は一定程度効果があるようです。

また、3章の5では、家庭内暴力への対処も書かれており、恥ずかしいかもしれないけれど外部支援を入れる事を推奨しています。


まとめ

この論文の締めくくりにはこうした一文があります。

不登校・ひきこもりの援助においては, あまり高い目標を掲げて当事者も援助者も悪戦苦闘し神経をすり減らすよりも, 小さな進歩を発見できる目, 小さな進歩を尊重できる心, 小さな進歩を支え, 手助けをする姿勢が大切である.

まずは、小さなことからこつこつと。

ワンチャンってまずないです。

この支援を受けると急激に回復なんてないでしょう。

治験では2週間から数ヶ月はプラセボ効果があるとして、調整やデータ自体を採用しない事があります。

一見効いたように見せかけることで収益を図るモデルは山のようにあります。

気をつけてほしいのは、ワンチャンで恢復(かいふく)した場合またすぐに折れるかもしれません。

急な恢復ではなく、ゆっくりと足下を固めながら着実にすすめたいですね。



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