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2020年に読んで良かった本ベスト6+1

今さらながら、2020年に読んだ52冊の中から良かった本を6つ紹介します!

ジャンルさまざまで順不同に挙げていきます。

サピエンス全史



人類の歴史を紀元前まで遡って読み解き、数ある動植物の中でなぜホモサピエンスが繁栄したのかを探っていく一冊。

人類史って人類の起源まで遡るから膨大かつ複雑だし、色んな切り口で語ることができるゆえに主張に一本筋を通してまとめるのが難しい分野だと思う。その中で本書はわかりやすい文章で網羅的にまとめられていて、さすがベストセラーなだけあった。

ホモサピエンスは神話・貨幣やヒエラルキーなどの共通の「虚構」を信じることで社会共同体を築くことができたという本書を通しての主張は納得のいくものだったし、そうまとめるか!と唸った。

読んでいて気持ち良かったのが、頭の中に浮かんだ疑問が数ページ後にはちゃんと解消される点だ。つまり著者は、読者がどういう疑問を持つかを予測しながら書いている。もしくはその疑問を持つように導かれているのかもしれない。文章構成力がすごい。


自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義



パーソナリティ心理学の知見を通して、自己理解と他者への理解を深める一冊。

著者のブライアン・リトル教授はパーソナリティ心理学の第一人者であり、本書の中でも科学的根拠に基づいたセルフモニタリングテストがいくつか用意されている。

タイトルが中身の薄い自己啓発書っぽくてあんまり期待していなかったが、良い意味で予想を裏切られた。何が好きでどういうことをしたいのかと悩んでいたときに読んで、自己分析の役に立った。

自分が過去に苦しくなった状態が的確に言葉にされていて、もっと早くこの本に出会いたかった・・・となった。自分のなかの「こうあるべき」という価値観の核から自分自身が外れ、自己肯定感が保てずに苦しくなった経験がある人はぜひ読んでみてほしい。

著者は「人は心理テストで描写されるよりもっと繊細で自由な存在だ」と述べていて、本書からは他人を切り捨てない優しさが感じられる。


マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法 



やりたいことがたくさんあって困っている人に、ひとつに絞る必要はないと教えてくれる一冊。

「マルチ・ポテンシャライト」という言葉は著者エミリー・ワプニックの造語で、さまざまな分野の趣味・仕事・学問に興味を持って探求する人を指している。

本書ではマルチ・ポテンシャライトを4つのタイプに分け、タイプごとに特徴や向いている人、実在のケースが提示される。

いままでひとつのことを極めるのが立派である風潮を感じていて、自分はやりたいことをひとつに絞れないし途中で飽きちゃうしで中途半端な人間だなあと思っていた。しかし本書で紹介される、分野を飛び移りながら活動する人たちに勇気をもらえたし、そういう生き方でも良いんだと思えた。

重要なのは、紹介されるマルチ・ポテンシャライトの人たちがめちゃくちゃすごい超人ばかりではないことだ。

この人だからできるんだよこの生き方・・・みたいなのだと現実味がないが、そうではないので自分事として考えられた。


82年生まれ、キム・ジヨン



数年前に話題になった本だが今まで読んでおらず、映画化するタイミングで手にとった。

普通の女性が現代社会で生きていくうえで感じる、等身大で普遍的な地獄が描かれていた。

キム・ジヨンを担当する精神科医がヒアリングをして書き出したカルテのかたちをとっているので、淡々とキム・ジヨンの生きづらさを追体験することになる。読んでいて苦しかったが、必要な苦しさだった。

本作がきっかけとなって韓国にフェミニズムのムーブメントが押し寄せたことを知り、社会を変えていくためには、不平等を不平等だと認識して訴えるのがとても大切なのだと再認識した。


一九八四年 



全体主義国家が分割統治する世界を描いたディストピア古典小説。

個人的に、コロナの恐怖感や先の見えなさが一番大きかった5月くらいに読んで印象に残っている。暗い気分のときはさらに暗い創作物を摂取するタイプの人間。

5月時点では世界的にポピュリストや独裁的な政権が力を発揮していて、本作の世界観がなんとなく地続きに感じられて身につまされた。

しかし最近ではコロナ対策の不十分さでの混乱やアメリカ大統領選のゴタゴタを経て、ポピュリズムはやっぱり良くないよねって流れになっている気がするので、一九八四年の世界はフィクションの外側には出てこなさそうだ。ゴタゴタへの代償の大きさを考えると安易に良かったとはいえないが・・・。

 

カラマーゾフの兄弟



今年は自分の中で古典ブームが来ていた。現代まで読み継がれている古典には、読み継がれているだけの理由があることを実感した一作。

人間の根源的なテーマ、作者個人の経験、哲学を織り合わせてみごとなタペストリーを完成させていた。

いつ読んでも、どんな状況で読んでも必ず何かしら共感できるところや思うところが生まれる作品だと思う。

第二部が難しすぎて脱落しそうになったけれど、読み切って良かった。20%も理解できていない気がするが、それでも自分にとって大切な一作になった。


番外漫画:女の園の星・カラオケ行こ!



和山やまさんの漫画が大好きで、いまだに商業デビューしてコンスタントに供給があるのが信じられず本当に現実なのか疑っている。和山やまさんはもちろんのこと、色んな方面に感謝しかない。

登場人物の間に流れる、温度が低めの独特の空気が唯一無二だ。どの作品も日常のしょーもないやり取りを描いていて大きな事件は起きないのに、いつのまにか引き込まれている。目が死に気味の人物絵や、ペンで描いたような線画がどストライク。
温度低めのギャグが好きな人はぜひ一度読んでみてほしい。


おわりに


2019年までは、読書といえばもっぱら現代国内小説だった。しかし2019年末に読んだ「FACTFULLNESS」がきっかけとなって、2020年にはノンフィクションもよく読むようになった。

映画好きなので、ノンフィクションを読んで世界情勢に敏感になると映画で描かれている風刺が分かるようになり、分かると面白くてさらに詳しい本が読みたくなる・・・・という映画と本の無限ループにおちいって楽しかった。映画と本のループでためこんだ感想を吐き出したいというのがブログを始めるきっかけにもなったし。

2021年はもうちょい読むスピード上げる&時間増やして年70冊くらい読めるといいな〜。

 

 


 

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