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自身が心地良い働き方を選択し続けてきた結果が、サロンの立ち上げへとつながった

―― ヘアメイクサロンの代表に聞く、独立にいたるまで



インタビュイー Misaki Hatto
ヘアメイク着付けサロンHATTO代表
インタビュー実施日:2024/7/16

末広町に構えるヘアメイク着付けサロンHATTOの代表は、もともと幼稚園教諭として都内の幼稚園で働いていたそうだが、28歳の時、ヘアメイクの世界へと突如転職を決意する。

28歳―。彼女にとって人生の転換期であり、いろいろ模索していた時期でもあったそう。「これからどうしていきたいか」自身と向き合った時に、頭に浮かんで消えなかったのが大好きなヘアメイクだった。友人に相談した際には反対され、両親からもほかの道を提案されたそうだが、それらをはねのけ、最終的に自分の心に素直に従うことにする。

それからおよそ8年後の2018年5月、ヘアメイク着付けサロンHATTOが本格オープンする。

技術習得のためにヘアメイクに明け暮れる日々

最初は単位制の学校で基本を学びながら、技術は現場で習得していったHATTO代表。

全国展開しているヘアメイクサロンで、短時間でいかに顧客の満足度が得られるサービスを提供できるか、スピードとそれに伴う技術を身につけていく。その後、美容師免許を取得し、銀座の美容室で夜働く女性たちのヘアメイクを担当してきたという。洋髪・和髪を問わず、美しく仕上げられるのはこの時の経験が多分に活かされている。

当時、昼間はブライダル、午後は銀座、そして土日はブライダルと忙しい日々を送っていたそうだが、そのおかげで、幅広い技術の取得が叶った。

HATTO代表の同期や先輩含め、現在独立している人は少ないらしい。「東日本大震災やコロナ禍を経験して、業界は大きく揺れ動きました。社会情勢による変動が大きいため、デメリットを考え独立する人が少ないのが現状です。組織のなかで、講師や役員として活躍している人が多い印象ですね。あえて不安定な環境には挑まない人が多数なのかもしれません」

そんななか、なぜ独立を選んだのか?

独立のきっかけは友人の何気ない一言

「性格的に会社に属して、人の下で働くことが苦手なんです」そう話すHATTO代表は、しばらくフリーランスのヘアメイクアーティストとして活動を続けてきた。

そんな折、たまたま自宅に遊びにきた友人に「ここ、美容所登録できるから、するだけしてみたら?」と言われる。友人のこの一言からHATTO氏の独立の道が急に開きはじめる。

アクティブな彼女は、すぐに美容所登録をし、先輩にサロンのHPの作成を依頼。大規模な改装などはせず、住まいを可能な範囲でサロンに整えていった。すると、HPをみた美容系サロンの検索・予約サイトの担当者より連絡が入る。

「たまたまこのエリアにヘアメイクサロンがなかったので、需要があるからサイトに掲載しませんか?という電話でした。払える掲載料だったので、思い切って掲載を決めましたね。夏前でちょうど浴衣のシーズンだったこともあり、どうせなら大胆なサービスを売りにしようと、 "都内最安値の浴衣の着付け+ヘアメイク” を打ち出しました。それがスタートとして良い結果をもたらしてくれました」

サロンオープンから6年

あれよ、あれよという間に個人サロンを持ち、最高のスタートを切ったHATTO代表は、そこから半年後に自宅サロンではなく、現在の場所にサロンを構え直す。「私の場合、自宅だと仕事の切れ目がなく、プライベートと分けるのが難しくなってしまったんですね。駅から遠かったこともあり、駅チカできちんとサロンを運営したいという気持ちにいたりました」

現在、サロンをオープンさせて6年が経過する。

「全部ひとりで決めなくてはなりませんが、当時と比べれば今の方が全然楽です。以前、ある経営コンサルタントに初めてお会いした際、会ってすぐに君はいつか独立する人だね、と言われたことがあります。きっと、なにか滲み出てたのかもしれません(笑)」

自分が雇う側になり、難しいと感じることは、ここはこうして欲しいといった要望をスタッフに伝える時だという。「自分が言われたくないタイプだったからこそかもしれませんが、どう伝えたらいいのか、悩むときがあります。でも、自分が良く知る信頼できるスタッフと共にしているためストレスは少ないです」

フリーランスor独立!?

フリーランスで働くのと店を持つの、どちらがいいかという相談をよく受けるそうだが、それに対する明確な回答はなく、向き不向きではないかと話すHATTO代表。「その人の性格もあるし、安定を求めるなら独立は耐えられないと思います。自ら仕事を取りにいくことや、経営に波があるのことをストレスに感じず楽しいと思えるか。そこがポイントになるのではないかと個人的には思っています」

厳しい時は営業し、フリーランスの仕事をしてここまで乗り切ってきた。

「これからも変わらずに虎視眈々とやっていければいいですね。ホームランは打たずにヒットを打ち続ける。大きいサロンにいた時は、短時間にいかに多くの方を対応するかになる。これは致し方ない点でもありますが、その時からもっと1人のお客様に時間をかけて丁寧にやりたいと思っていました」そんな考えも独立への背中を押してくれた。
「今は、どんな風になりたいのか、なにがしたいのか、というお客様の要望をしっかり聞きつつ、一緒に考えていきましょうといつスタンスを取っています」

美容サロンは純粋にやりたい

ヘアメイクや着付けに加え、アイブロウやまつ毛パーマに特化しているヘアメイクサロンHATTO。「メイクを時短したい方、韓国女優さんのようになりたい方。また、優しく見せたい、部下に軽視されたくない、旅行前に整えたい、など、お客様の願望は様々です。地まゆをきれいに、が最近のトレンド。もともとのまゆを最大限に活かす施術を心掛けています」

店舗展開したいと思っていた時期もあったそうだが、無理なく細く長くやっていく方向にシフトし、2020年には法人化した。現在は、美容業界以外の仕事にも尽力しているそうだ。その理由は自身の好きな美容業界で利益を得るためにドライになりきれないことだという。美容サロンを自身のペースで続けながら、ほかの収入源で利益をカバーするスタイルだ。

「リピーターさんや、ブログ読んでます!の声はやっぱり嬉しいです。また、コロナの時、休業の通知メールを送ったのですが、予想外に励ましのメールをたくさんいただいたことも有難く、心に残っています」

見栄を張らずに、流れに身を任せ、柔軟に対応できることがHATTO代表の強みなのかもしれない。

ヘアメイク着付けサロンHATTO


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