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少女時代を支えてくれたアン

レンタルビデオ屋は家から自転車で5分の場所にあった。
家から一番近かった、個人経営だったであろうその店舗のレンタルカードは向日葵のような黄色で確かZOOMだかズームインと黒で印字されていたように思う。

もう30年も昔の話になる。

映画好きの母は、こどもの頃よく映画館に連れて行ってくれた。その影響か、なんの予定もない休みの日には一人でレンタルビデオ屋に行くようになる。10代前半の頃だったろうか。店に入ると何にしようか長時間ウロウロするのだが、結局最後に選ぶのは決まって【赤毛のアン】だった。

今思えば、そのお店に行くのには理由があったのだろう。思春期特有の釈然としない気持ち、沈んだ気持ちを吹き飛ばしたくて映画を観てただただハッピーになりたかったのかもしれない。

見終えた後、必ず清々しい気分にしてくれたのが赤毛のアンだった。あの美しい風景、アンの成長、新しい家族との間にうまれた絆。アンの物語は、いつでも私を幸せにした。

彼女が初めて島を訪れるシーンは何度みてもわくわくする。舞台となっているカナダのプリンスエドワード島は、生涯で一度は訪れたい場所の一つとなった。

これを書いている、まさに今、久しぶりにアンに会いたくなった。最後に観たのがいつだったのか、もはや思い出せない。

VHSを再生できる機械は持っていないし、
30年の間いろんな経験をし、
いろんなコト、いろんな気持ちを知った。

今、あの音楽と情景に触れた時、私はあの頃の私に戻れるのだろうか。


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