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新規事業で外部人材は活用すべき?アウトソーシング導入のヒント

11月27日に、渋谷の新しい働き方LABにて、スマート経営コミュニティのイベントが開催されました!

「スマート経営」とは、効率的かつ自社の強みに集中した事業運営を行う経営スタイルのこと。社員だけではなくフリーランスやパラレルワーカーを活用し、外部人材を含めたチームを指します。

(スマート経営コミュニティは、毎回「スマート経営」をすでに実施されている企業に登壇いただき、参加企業同士でノウハウを交換し、学び合うコミュニティです)

今回は、企業の新規事業開発で外部人材活用を積極的に取り入れてきた、株式会社Growth Hack Studio代表取締役兼共同経者・広岡 一実さんと、いち早くスマート経営を実践してきた、フリーランスのミタユキエさんに登壇していただきました。

外部リソース導入前に意識したい2つのこと【ミタユキエさん】

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まず登壇いただいたのは、フリーランスでご活躍する、ミタユキエさん。

フリーランスとして働きつつも、会社に所属して業務をアウトソーシングするやり方を積極的に取り入れてきました。今回はその経験をふまえて、外部リソースの活用について伺いました!

外部リソースを導入する前にやったこと

ミタさんが外部リソースを導入する前にやっていたことは大きく2つ。

①依頼業務の目的、ゴールの明文化
②数字で分解(工数、コスト)

外部人材を活用する以前は、知り合いのフリーランスに発注することが多かったんだそう。しかし、その場合だと家族経営のようになってしまい、言いたいことが言いづらく、人間関係で悩んでしまうことがあったと言います。

そこで、モヤモヤをなくすためにも、外部に発注する前に、全ての業務を棚卸ししました。仕事内容がクリアになると、発注できそうなもの・避けたほうがいいものが分かります。

なので、「仕事がたくさんあるけれど、どんな依頼をしたらいいのか分からない…!」という人こそ、業務の棚卸しをおすすめされていましたよ。

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項目や属性、種別、目標など、各部署ごとに分けて、3カ月かけて棚卸ししました。

その結果、事務作業が開発チームや営業チームにもあった場合、「今までは営業チームでやっていたけれど、まるっと事務チームで引き継げるよね」というような、業務間トレードができるようになったそうです。

さらに、webサイトのパトロールなど、人がしなくてもいい業務はRPAというロボットを導入したと言います。

外部リソースに発注したい仕事のポイント

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ミタさんは、アウトソーシングしたい仕事のポイントを大きく3つ掲げています。

①業務の期待水準値が明確であること
②コストを算出する
③「人」にしかできない

とくに①は発注してもらう側からすると安心ですよね。業務を棚卸しして、その仕事はどんな仕事でどこがゴールかまで、最初のうちに明確にしておくとスムーズに進みます。ここが不明瞭だと受注側も「これでいいのかな…?」とふわっと終わってしまいますもんね…!

期待水準値がふわっとしていると、受けた側の質問の量がめちゃくちゃ多く、「言った」「言わない」が発生してしまうので注意が必要とのこと。せっかくアウトソーシングしたのに、コミュニケーションコストがかかっては本末転倒ですよね。

また、「この案件は〇〇円です」とはっきりした値段が言えることも大切です。コストが明確だと、ひとつひとつの仕事にどんな意味があるのかをきちんと伝えられるそうです。

「外部リソースを上手に使うことで、よりレベルアップした業務に取りかかれる」とミタさんは言います。

外部リソースの導入を検討している企業は、ぜひ業務の棚卸しから始めてみてくださいね!

新規事業は外部人材の活用が必須!【Growth Hack Studio・広岡一実さん】

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続いては、企業の新規事業開発で外部人材活用を積極的に取り入れてきた、株式会社Growth Hack Studio代表取締役兼共同経者・広岡 一実さんが登壇。

広岡さんは、「新規事業は、外部人材を活用せざるを得ない。しないと死ぬ!」とバッサリ(笑)新規事業の側面から外部リソースについて説明していただきました。

Growth Hack Studioさんは創業5期目で、なんと社員8名から2名になったんだそう…!

その背景としては…もともとGrowth Hack Studioさんは、新規事業の立ち上げをサポートし、事業が進捗しない会社の課題を解決することを目的としていました。

また、ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達していたこともあり、急成長できるようなスタートアップを目指していました。そのため、プロダクト中心の会社にしたかったという希望があったのだそう。

しかし、課題の構造を理解していくうちに、プロダクトだけじゃこの問題は解決できないと理解し、自分たちの能力が足りないことに気がついたそうです。つまり、解決したい課題に対して、方向転換をしなければなりませんでした。

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「自分たちがこうしたい!と思って組織化しても、お客さんがその通りに動くとは限りません。顧客の課題が特定されているのか?解決できるアイデアがあるのか?実現できるのかはしっかりと検証しファクト化させないといけません。じゃないとただの妄想で終わります」と広岡さんは言います。

課題を何で、どうして課題と言えるのか?

ソリューションが課題を解決しているか?それは計測し証明できているか?

まずはこれらの答えを見つける為の探索が重要です。収益の話はその後です。

「どういうモデルをぐるぐる回していけば、投資回収ができるか徹底的に仮説検証しましょう。(スライドの)赤枠の中を発見するまでの間に組織化してしまうと、失敗してしまいます!」と警鐘を鳴らしていただきました。

新規事業がカオスになる理由

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「新規事業がなぜこんなにも難しいのか?」という内容に対して、広岡さんはクネビン(カネヴィン)のフレームワークを紹介。

物事は大きく4つの構造に区別されると言います。

①単純=誰もができる、すごく単純なこと

②煩雑=専門家ならできること(例:車の修理)

③複雑=プロから見ても絞り込むのが難しいこと(例:経営、株価)

④カオス=何が起こるのか全くわからない状態なこと(例:シン・ゴジラ これからなにが起きるのか誰も想像ができない、経験したことがないからわからない)

このフレームワークによると、新規事業は複雑やカオスの領域なんだそう。だから難しいんですよね…!

「極端なことを言うと、できる人にはできる世界。新規事業は誰かが正解を教えてはくれないよ、というのを理解しないといけない」と広岡さん。

顧客の現実を正しく認識するまでは、的の外れたプロダクトアウトが発生し続けてしまいます。売り上げも上がらなければ、メンバーを雇っている費用はひたすら膨れていくばかり。良い赤字で潜れているかを理解するところがポイントなんだそう。

この先どうなっていくかも分からない状態なため、むやみに人を雇用するのではなく、新規事業こそ、自分たちが行いたい実験単位でアウトソーシングするのがおすすめと言います。

1ヶ月単位のレベルで調整できるようにしておけば、万が一事業が方向転換したときも、雇用契約が重しになることはないんですって。

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広岡さんの話のなかで印象に残っているのが、絶対に外注できない3つのこと。

①目標設定
②仮説構築
③意思決定

とくに仮説は、今の自分の脳内にある情報から組み立てていくので、誰かに立ててもらうのはNGなんだそう。その人のバックグラウンドから引き継がないとなぜそのような仮説になったのかが理解できないと言います。

アウトソーシングに慣れてしまうと、つい事業の軸になる部分まで考えてもらう機会が増えてくると思いますが、上記の3つの手綱は離さないようにしたいものですね!



お2人からざっくばらんにお話をいただき、アウトソーシングの考え方がより深まった今回のイベント。

アウトソーシングは「コスト削減」と言われがちですが、本質は「自分たちよりうまい人にお願いする」「その分、自分たちの仕事に集中しよう」というものなんですよね。

新規事業に悩んでいる方、業務を細分化したいという方、ぜひスマート経営を取り入れてみませんか?