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【社会資源】精神科デイケア(通所先)


0.精神科デイケアとは

精神科デイケアは、日本ではまだ精神障害のある方に対して活用できる社会資源が乏しかった時代から病院に併設されたリハビリテーションの施設です。

診療報酬上に登場したのは1974年です。デイケアは、外来通院をしている患者さんに対して処方される治療の一つです。

処方というと、お薬のイメージがあるかもしれませんが、身体リハビリテーションについても主治医から治療上必要だから指示するための指示箋があって初めて理学療法士さんや作業療法士さんがリハビリメニューを考え患者さんに必要な支援を行なっていきます。

それと同じで、精神科領域におけるリハビリテーションが必要だと認められる患者さんに対し、主治医が指示を出した場合に利用できる社会資源です。

また、外来通院している人を対象としているので、参加者は地域で自分なりの暮らしの場を持っている方となる。そういうメンバーが集う場所という点では、医療の場であり、地域生活の場としての側面も含まれたハイブリット意味合いがある施設とも言えます。

通所先として病院やクリニックからはファーストチョイスで提案されやすい施設。

1.対象

  • 精神科に外来通院している方(治療に参加している)

  • 主治医からデイケア利用に関して指示がある方

  • 自力で通所が見込める方

  • 服薬管理が多少の支援があれば概ね自立できる方

2.利用費

  • デイケア 1日(6時間)利用で約800円※

  • ショートステイ1日(3時間)利用で約400円※

  • ナイトケア利用で約400円※

  • デイナイトケア(デイケアとナイトケアの時間を合算)利用で約1100円※

※保険証(医療費は原則3割自己負担)適応+自立支援医療証(指定機関での医療費が1割自己負担に減免される)での金額。
自立支援医療の上限額の設定を受けている場合、当月の外来診察、薬、訪問看護、デイケア全てが上限額までの自己負担となる。
中には、通院している病院にデイケアがなく、通院先はどのまま、他院のデイケアを利用する場合がある。その場合は、自立支援医療の指定医療機関にデイケアのある医療機関を追加してもらう手続きをしないと3割負担になってしまうので注意。

3.やっていること

  • 主に、多数ジャンルに関するプログラム(活動)の機会を提供し、病気によって麻痺してしまった、あるいは鈍麻している感情や行動の回路に刺激を与える

  • 集団による相互作用を活用した複数のプログラム(グループワーク)

  • 個別性を重視して参加できるプログラム

  • 日中の活動場所としての機能、通うことで適度な疲労感や通所のために必然と生活リズムをつくっていくためのきっかけとして

  • 担当者と面談を行い、目標設定を実施しながら治療的な効果測定を行う

4.プログラムの内容(多岐にわたる。デイケアによっても色がある)

プログラムは生活上の作業を通じてリハビリテーションを図る系とグループワークなどの枠を活用したトレーニング系のものがある。その方にあった刺激を与えられるように、かつ選択ができるように複数のプログラムが常時選べるよう沢山用意されている。

  • 運動系

  • コミュニケーション系

  • 病気の勉強、再発予防の考え

  • 認知行動療法系

  • SST(ソーシャルスキルズトレーニング)系

  • 料理系

  • 趣味、創作活動系

  • 就労支援系

5.職員(多職種)

受け入れ可能な人数によって大規模、小規模というカテゴリーがあり、職員の配置基準は異なる。概ね、以下の職種により編成される。

  • 医師

  • 看護師

  • 精神保健福祉士

  • 作業療法士

  • 臨床心理士

  • 外部講師

6.職員だったことから見えるデイケアの特徴

メンバー(デイケアでは患者さんではなく、メンバーと呼ぶ)の変化や利用の価値、デイケアの特色

  • 通う体力がついてくる(初めは朝起きる、来るとこまでで精一杯という人もいます)

  • 他メンバーとの交流を通じて、社会的な対人関係の作り方に変化がある、学ぶ場にしている(社会の縮図的な体験の場)

  • 人の意見を受け入れる力が育まれていく

  • 生活上の課題を解消するために、自身の困り事を開示できるようになっていく

  • その人の色々な側面に周囲が気づくことができ、長所や健康的な部分を発見しやすい

  • メンバー同士が互いの生活を支え合っているような存在ができると新しいチャレンジの後押しになる

  • 「物足りない」という気持ちに気づくことができ、新しい通所先や就労意欲へ発展する

  • 通い続けるために自ずと生活の管理、薬の管理、体調の管理が身についていく

  • 医師や看護師とも連携が取れる中で、負荷をかけることができる

7.選ぶ上でのポイント

  • 通いやすさ(暫く通う場所になるので、アクセスのしやすさ、移動にかかる時間など)

  • 雰囲気(集団の場になるので、デイケアによってメンバー層、職員、風土、プログラムも異なる)

  • 少しでも興味の出そうな活動があるか(提案された時点では病気の症状によって意欲が低下していることも多い。興味が出るものはないけど、強いて言うならば…位でも良いのです)

8.情報へのアクセス

  • 直接電話で問い合わせる

  • 病院のホームページを見てみる

  • 区役所など、お住まいの地域の保健所の障害担当窓口へ相談する

  • 通っている知り合い

  • 見学、体験をする

最後に…

精神科デイケアについて、少しまとめてみました。
ナイトケアに関しては、日中仕事やデイケア以外の通所先があり、そうした活動を維持していくためのセルフケア的な目的で利用する人が多いです。
ナイトケアはやっていないデイケア施設もあるので、将来希望がある場合は確認が必要です。

今、自宅以外に過ごす場所がなく、何か復帰に向けてとっかかりが欲しいと思っている人は近くにこう言った場所がないかどうか、探してみてください。ご自身では今気力的に難しい人もいると思います。まずは誰かに思いを口にしてみるところからでも。

デイケアごとに特色は千差万別で、こうした文字による表現では同じように見えたりしますが、それは平面情報です。実際に見てみたり、触れてみたりして立体的な情報を踏まえて検討されると良いと思っています。

ご本人の周りにいる方が勧めてくれることもあると思います。
気持ちが乗らない、不調感が強いという状況にいる方も多いと思いますが、行ってみて少し気持ちの面や体の感覚として拓くこともあると思います。

活動面だけではなく、一つ、外部に相談できる窓口ができるという面にも目を向けてもらうのも良いと思います。そして、職員とは単なる面談という場だけではなく共にプログラムなど同じ空間で活動をする時間を通じながら互いに人となりを知れる環境もあります。

多くのデイケアでは、休憩所を設けていたり、通所してプログラムするかは調子を見ながら選択できる環境を整えていると思います。
自分ができそうなところからの参加を勧めてくれるはずです。

お詫び

わたしが勤めていたのももう10年くらい前になります。現状のデイケアと説明に相違のあることもあるかもしれません。どうぞ、ご容赦ください。

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