未亡人美人熟女になる前に…。

今年に入ってから礼服が必要になることが二度もあった。旦那の遠い親戚が亡くなったのだ。

最初は春頃。もともと用意していた礼服代わりのスーツを断捨離ついでに手放したばかりで、新しいのを買わないとなーと思いながら数年と経っていた時に必要となった。

こういったことはいつも突然必要になる。分かっていたことなのに、いざその時になると焦る。
一日だけ猶予があり、急いで車を飛ばしてその一日の間に数件の服屋を回った。
礼服用のカバンと靴はかろうじて残していたので、とりあえず今回は礼服だけ。
スーツの〇〇に行くと礼服用のワンピースとジャケットのセットが売られていた。３万〜４万円だったか。普通に高い。
それに気にいるデザインのものもなければ、着心地も悪い。そういうものなんだと理解は出来るが、3万円も出すんだから気に入ったものが欲しいというわがままが私の中で生まれてしまう。

GUで上下セット5000円程度で満足できる自分には少しビクつく金額だ。
その次に行ったのが婦人服売り場のあるスーパーだった。そこは２万ちょっとで売られていた。
こういうところをケチるのは違うと分かっているのに、毎日着られるわけでもない洋服に万単位のお札が飛んでいくのは正直、躊躇してしまう。
先日、デジタルでお絵描きするためにiPadとiペンシルを10万近く出して買ったは良いが、２週間で飽きて放置している女のセリフとは思えないとは思うが。
欲しいという熱意が違うのだ。欲しくはないが必要なものと、必要ではないがめちゃくちゃ欲しいものの差というのは財布の紐の緩め方が全然違う。

そうだ！し○むらだ！！安いで有名な天下のファッションセンターがあるじゃないか！！
急いでしま○らに向かうと１万円でワンピースとジャケットのセットが売られていた。しかも洗濯機で洗えるウォッシャブルタイプだ！！

すごい！さっきまでの３万や２万のワンピースよりも安っぽく見えるし、中のほつれも気になる！着心地も悪いし！着た時の着太り感もひどい！！それに普通に１万円ってのはやっぱり高い！！普通に高い！！気軽に出したい金額ではない！！
だが先ほどまでの２万や４万の服と比べて、私には完璧なワンピースに見えてならなかった。
ついでにテロテロの黒ストッキングも買った。私の買い物はその日のうちに間に合ったのだった。

何人もの人から「喪服は持っていて困るものではないのでセール時期に見かけたら試着をして買っておくべき」だと聞いていた。
だが分かっていても面倒臭さが勝ってしまい、頭の片隅では思い出しても行動にはなかなか起こせなかった。

結局、完璧に気に入るわけではないけど安さと無難さで購入に至れた１万円の礼服ワンピース。
こんなことを言うと不謹慎なのかもしれないが、今回のお相手が私と直接的な関わりのある人でなくてよかったと私は思った。
冷静に店を回るだけの心の余裕があったから。
これがもっと関わりの強い人だったり、両親や、妹や、親友や、旦那だったとしたら。。。

こういういったことはいつも突然必要となる。その時、自分が冷静でいられるかはわからない。
もし自分の大切にしたい人がそうなった時、私はこのファッションセンターのワンピースで送り出したいと思うのだろうか。たぶん、そんな気持ちにはなれないだろう。

せっかく買ったが礼服用のワンピースは時期を見て、改めて買い直そうと思う。
ちなみに今は持っている礼服用の靴がサイズが大きくてカポカポするのでそれも新しく買い替えたいなと思っている。
もちろん冷静でいられるうちに。 #未来のためにできること