見出し画像

「人が一生のうちに飲めるお酒の量は決まっているんだよ」と言われ、第3のビールを毎晩飲む習慣をやめて気づいたこと

ソムリエと名乗っておきながらとても恥ずかしい話をすると、缶ビールと発泡酒、第3のビールをブラインドテイスティングしても、はっきりと判別できる自信がない。

これはもうただ単に「舌があまりよくない」のはもちろんなのだけど、裏を返せばビール会社のたゆまぬ努力を重ねた結果、本物のビールと遜色ないクオリティの高い発泡酒や第3のビールが生まれたとも言える。

(ビールと発泡酒と第3のビールって何が違うの?と思っている人はグーグルで「ビール 発泡酒 第3のビール 違い」で検索しましょう)

さて、なんでこんな話を冒頭からはじめたかと言うと、ここ最近少し思うことがあったからだ。

我が家は今まで金麦やゴールドスター、プライムリッチなど、いわゆる「第3のビール」をケースで買って、それを毎晩飲むという習慣があった。

理由はやはり、第3のビールが一番安いから。そして、ビールとの違いは味がどうのこうのとうるさく分析しなくても、すでに美味しいと感じているから。

毎月1ケース(24缶)買っては毎月前倒しでなくなっていくので、買う頻度も多い。とはいえ1缶110円ほどなので別にいいやと思ってグビグビ飲んでいた。

***

ある日、ある人から「人が一生のうちに飲めるお酒の量は決まっているんだよ」と言われた。なんてこともない、日常会話の中からの一言だった。正直、初めて聞いたフレーズではない。何度も聞いていたけれど、今までは何もひっかからなかったのだと思う。

そうか、そうだよな〜人生は時間も有限だし、元気なうちに美味しいお酒を楽しまないといけないな〜。なんてことを考えていたら、「毎晩飲んでいる第3のビールはもしかして惰性で飲んでいるんじゃないか?」と思うようになった。

ぼくはもともとビールが大好きで、中でもIPA(インディアペールエール)と呼ばれるホップが多めに入った苦味の効いたビールが好きだ。IPAは1缶300〜600円ほどするので、第3のビールに比べると値段は3倍以上もする。買える値段ではあるけど、ちょっと躊躇する。

正直、第3のビールは大好きかと言われるとそうでもなくて、「安いし、のどごしが良ければいいし、プシュッと缶を開けるあの感じがいいんだよな」くらいにしか感じていない。だったら、本当に好きなIPAビールを楽しんだほうがいいんじゃないかと。

そこで、「毎晩第3のビールを飲むのをやめて、週末にIPAやベルジャンホワイト(妻が好きなビール)など各々が好きなビールを楽しむようにしてはいかがだろうか」と妻にお伺いを立てたところ、あっさり「いいよ」と言ってくれた。

そこからは、毎晩第3のビールで乾杯するのをやめて、ソーダストリームでつくった炭酸水やハイボールですまし、たまの週末に大好きなIPAを味わいながらいただくようにした。

冷蔵庫を開ければいつでも出会えた第3のビールはもうそこにはなく、一週間前から買っていたとっておきのIPAビールが鎮座している。冷蔵庫を開けるたび、「君は今週末に楽しむ予定なんだ、楽しみにしているよ」と声をかけて閉めている。(もちろん比喩表現)

ワインに関してもそうだ。

今までは1000円前後のカジュアルなワインを平日にもぽんっと開けてゴキュゴキュ飲んでいたけれど、もうちょっと背伸びしていいワインに触れる時間も作ろうと思うようになった。

同じ予算、例えば月に20000円お酒に使うなら、今までは1000円のワインを20本買うようなスタイルだったけれど、

・なにかテーマを決めて選んだ5000円のワインを4本買う。
・3000円のワインを3本と、気になっている10000円のワインを1本買う。

といった、量よりも質を重視するお酒ライフに切り替えていきたい。1000円前後のカジュアルなワインも美味しいし愛しているけれど、本当はもっと美味しいワインがあることは知っているし、毎度「まぁ、これでいいか」という思いで飲んでいるときもある。

***

思いの外、第3のビールを飲む習慣はあっさりとやめられた。ということはやっぱりそこまで好きではなかったのかもしれない。そしてワインをはじめとして、お酒以外でもいろんなことを見直すきっかけになった。

なんとなくこの服着てるけど、本当に好きで着ているのか?
毎朝コーヒー飲んでるけど、本当に飲みたくて飲んでいるのか?
なんとなくこの仕事しているけど、本当に好きでやっているんだっけ?

「なんとなく」の習慣は、日々の中に埋もれている。
定期的に俯瞰して、見直し&アップデートをすると、新しい発見があるかもしれない。

(※商品開発はじめ、第3のビールに関するお仕事をされている人には申し訳ありません、美味しいから愛用していましたし、ピクニックやアウトドアシーンなど、いろんな場面で今もお世話になっております)


この記事が参加している募集

スキしてみて

最近の学び

娘のオムツ代とバナナ代にさせていただきます。