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紫波町「ひづめゆ」整ってみたレポ

岩手県・紫波町の日詰(ひづめ)商店街、旧役場庁舎跡地に新しい温浴施設ができた。その名も「ひづめゆ」。

現・紫波町役場もある複合施設「オガール」ができてちょうど10年。そんな節目の年に、オガールから徒歩10分のところに、フィンランド式サウナと高濃度炭酸泉が楽しめる温浴施設、そしてレストラン。さらにはハードサイダー(りんごを原料とする発泡酒)の醸造所・タップルームとローソンも併設している。

私が移住を決めた頃には、「2022年に温浴施設ができる」ということは決まっていた。紫波町にはとってもいい温泉があって、そこもとても気に入っているのだけれど、今まで徒歩圏内に銭湯があった生活が時々恋しくなり、徒歩圏内でいける温浴施設の存在をとにかく心待ちにしていた。

そして2022年7月7日、待ってました!!ついに、オーーーープン!!!

「ひづめゆ」
〒028-3305 岩手県紫波郡紫波町日詰西裏23-13
*「紫波中央駅」より徒歩15分
*東北自動車道「紫波IC」より約10分

営業時間 10:00〜22:00(最終受付 21:30)
定休日 不定休
入浴料金(サウナ含む)
大人 700円 (税込) 子供 350円 (税込) 未就学児無料
*シャンプー、トリートメント、ボディソープ備え付けあり。
*タオル各種レンタルあり。

ひづめゆHP https://hizumeyu.jp/ より

岩手県・紫波町に誕生した新サウナ

というわけで開業の日、いてもたってもいられず、退勤後にまっすぐ向かいました。

館内の内装は木調をベースにしており、入って早々、ほんのり木の香りに包まれます。入り口で検温ののち、タッチパネルとセルフレジでお支払い。

*ここから、あくまで女湯でのレポになりますが、写真は男湯と混在している場合があります。ご了承ください。

脱衣カゴは、町内のどこかで見たことのある、
野菜や果実を収穫するためのコンテナ。ふぞろいがかわいい

洗い場は6つ、そしてお風呂は内風呂のみの「高濃度炭酸泉」。

炭酸泉は、ヨーロッパで「心臓の湯」と呼ばれており、心臓疾患の療養泉として古来より親しまれてきました。ひづめゆでは、医療機関で使用されているものと同等の高濃度炭酸泉生成装置を使用します。
高濃度炭酸泉に入浴することで、血流改善による高血圧・心疾患・肩こりの改善や予防効果、また保湿成分の増加による皮膚疾患の改善や美肌効果が高まります。

ひづめゆHPより

炭酸泉といえば、比較的低温で、じーっくり長時間浸かるためのお湯というイメージだったんのですが、ひづめゆの炭酸泉は比較的熱め。しばらく浸かっていたら…自分の地肌が見えづらくなるほどに密度の高いシュワシュワの炭酸の泡に包まれていた。こんな炭酸泉、はじめて…!

自分の体を指でなぞったら、文字が書けるくらい、
しっかりした泡を身にまとえる
壁画はヘラルボニーの小林覚さんによるもの

時計のないサウナ

浴室内には「ひづめゆ」オリジナルのサウナマット(タオル地)が置いてあり、一人一枚使えるのが嬉しい!
女性サウナの温度は70度のようですが、セルフロウリュなので、「少しぬるくなっているな?」と感じたら、サウナストーンにひしゃくいっぱいに水をかけてみましょう。あっという間に激アツ空間となり、「これがロウリュか!」となり、タオルであおいでみたりすると、一層熱くなりブワッ!!と汗が吹き出ます。


そして体験してみて驚いたのは、このサウナ、砂時計も含め、時計がない。今まで「○分は入ろう」といつも時計とにらめっこしている入り方をしていた私にはちょっとしたカルチャーショック。

どうして時計がないんですか?と気になったので支配人に聞いてみた。

「サウナに入っている時間は、デジタルデトックス、いやそれ以上の”自分と向き合うデトックス”になればいいと思っています。時計があるとどうしても我慢してしまうのですが、出たいときが出どきだと思っています」

1分話しただけでサウナ金言が飛び出す飛び出す。
随所までこだわりが詰まっているんだなとひしひし感じます。

もぐれる水風呂

ひづめゆの大きな特徴とも言える「もぐれる水風呂」。女湯は水深120cm、男湯は140cm。3段の階段状になっているので、あまり水風呂に慣れていないという方は一段ずつゆっくりと様子を見ながら入ると良いでしょう。身長151cmの私はどきどきしましたが、真っ直ぐに立って、ちょうど鎖骨が当たらないくらい、胸よりも少し上の水位でした。
個人的に、水風呂は冷たすぎない方が好みなので、水温は嬉しい18度!それでも体感はもう少し冷たく感じました。


体溶けちゃう外気浴スペース

炭酸泉→サウナ→水風呂を経て、外気浴スペースへ出ると、そこにはデッキチェアとベンチ、そして木の小屋の中にもイスがある。
外へ出て、「あれ、露天風呂ないの?」と思う人もいるかもしれない。でもね、ひづめゆはこの外気浴スペースが最高なんですよ。

あくまで感覚だけれど、水風呂から出て外に出たときの体は、サウナで暖まった体の芯に、体の表面が水風呂の冷たさで膜が張っているような状態。外に出ると、少しだけ肌寒いかな?と感じながら、外気浴スペースのデッキチェアに腰掛ける。
そこで、鼻から、口から、何度か深呼吸をしてみる。すると、体外側の冷気が、喉や鼻から体の中まで、徐々にめぐっていく。サウナで集めた熱と水風呂の冷気が体の中でひとつになる。

7月の夕涼みのそよ風が、寝転んでいる私の頬を撫でていく。
深呼吸の狭間で、「ふわぁぁ〜〜〜〜」と思わず小さく呟きながら、先ほど腰掛けた状態よりももっと深く、私の体はもうイスと溶け合ってしまったのか?と錯覚するくらい、もう二度と立ち上がれないかと思った。
これが「ととのい」というやつか。

気づけば、サウナ→水風呂→外気浴を合計3セット。出る頃には魂が抜けておりました。

脱衣所にもホスピタリティ

グレーを基調とした内装に古道具の鏡が不ぞろいで並んでいる。なかなか他で見たことのない雰囲気の脱衣所。真新しい設備の中に、人の手を感じるやわらかな雰囲気がある。
ドライヤーが使えるのはもちろんのことだけれど…驚いたのは、ヘアアイロンがあること!しかも無料で貸出しているところはなかなか見たことがない。これからお出かけ、という方の身支度にもやさしいのです。

Green Neighbors Hard Cider

ひづめゆの受付のお隣には、「Green Neighbors Hard Cider」の醸造所とタップルームが併設している。ハードサイダーとは、りんごを原料として作られる発泡性の果実酒のこと。12のタップから醸造中のタンクを眺めつつ、すぐそこで造られているハードサイダーを飲むことができる。

醸造家へのインタビューを読みながら飲む贅沢
(Photo by:Yuki Ide)
(Photo by:Yuki Ide)
(Photo by:Yuki Ide)

Green Neighbors Hard Cider Taproom
平日(火水木金) 16:00-22:00 (L.O. 21:30) *月曜平日定休
土日祝 11:00-22:00 (L.O. 21:30)
2022年9月醸造開始。オンラインストアにて缶やグラウラー、Tシャツなどのグッズも販売中。

「ととのい」にあらがえない

この日は仕事帰りの夕方頃にサウナ3セット、からのカレーとハードサイダーを満喫。あまりの贅沢コースを満喫してしまったせいなのか、サウナで深く整ったからか、家に帰ってからもふわりとした恍惚感に包まれ続けた。そして気づけば歯を磨いてふとんに誘い込まれ、いつもより2時間ほど早く眠りにつき、翌朝までぐっすりと寝てしまった。これがととのいの魔力。

お酒もいいけれど、ノンアル派の湯上がりの選択肢は、濃度ばつぐんの「菊池牧場」の牛乳と、フォルムが可愛らしいソフトクリームも!

ちなみに私は、リラクゼーションドリンク「CHILL OUT」も大好きで。ノンアルで行きたい日はこちらをお風呂やサウナ帰りに飲むとさらに完璧に整ってしまいますよ。ローソンさん、どうぞ常設してくださいお願いします!

湯上がりは日詰商店街散歩へ

立地が国道沿いなので一見わかりにくいが、ひづめゆは日詰(ひづめ)商店街の中にある。小腹が空いたり、時間を持て余したら、日詰商店街のお散歩もおすすめ。Google Mapで近隣の飲食店をまとめてみたので、ご参考にどうぞ。
(「拡大地図を表示」をクリックすると全体がみやすいです)

コーヒーやラテ、クラフトコーラなどを気軽に飲めるコーヒースタンド「YOKOSAWA CAMPUS」が特におすすめです。
(営業日はinstagramでチェックしてください)

おとなりの建物の正体

「ひづめゆ」のお隣にたたずむ趣のある建物。これは一体なんなのだろう…?と思った方もいらっしゃるでしょう。

こちらは、令和3年4月9日付けで岩手県指定有形文化財に指定された
「旧紫波郡役所庁舎」。
1898年3月に完成したといわれ、1955年の町村合併により紫波町が誕生してからは、町役場庁舎として使用され、町政や地域経済の重要な拠点の一つとして長年使われてきた希少な建築物。
現在館内の見学はできませんが、こちらのサイトで中の様子がわかります。

現在の紫波町役場は、紫波中央駅前の複合施設「オガール」にありますが、2015年までは、現在のこの「ひづめゆ」の敷地にありました。町政の拠点であったこの場所が、地域をつなぐ新しい温浴施設に生まれ変わったのです。

「街をかまし、紫波をわかす。」

ひづめゆが掲げる理念。東北弁の「かます」には、「かきまぜる」という意味があるそう。

サウナ・お風呂によって、お酒によって、ほんのり頬を赤らめながら、ご近所さん同士で挨拶したり、一人で来た人もそれぞれ自分の時間を楽しんでいたりする。町の人たちが「お風呂」という共通の目的によって、ランダムに行き交うような、かき混ぜられているような感覚の場所が、日詰商店街に生まれたんだ。そんな実感にさらに頬を赤らめながら、初夏の気持ちいい夜風にあたり、帰路についた。

Photo: ひづめゆ、Green Neighbors Hard Cider、Yui Ito
Illustration: あまのさくや

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