見出し画像

ここまで来たら世界一周!? 南米・アジアも自転車旅でGO!

「アジアや南米は、自転車旅できるの?」
「自転車ツアーはある?」
この記事は、そんなあなたに向けて書いています。

今回は、最終回、アジアそして南米の大陸縦断・横断ツアーを紹介します。

自転車旅行は自由に個人でやりたいというかた。
外国だと、大荷物と一緒の旅は本当に大変です。
また、現地で経験豊富なガイドにアテがあるならともかく、そうでない場合は道に迷ったり、盗難、はたまた誘拐といった危険な目にあう可能性も。
でもツアーなら、比較的安全なコースの情報の共有、テントや寝袋みたいな重たい荷物は預かってくれて快適。

今回ご紹介するツアーは、アジアではシルクロードツアー、そして南米はアンデス山脈攻略ツアーの2種類です。
危険と冒険が隣り合わせの旅路。
ほかでは味わえない濃い思い出を持ち帰ってください。

壮大なロマン シルクロードツアー

画像1

出典元:https://tdaglobalcycling.com/silk-route


まずご紹介するツアーはこちら。
北京からイスタンブールまで、走行距離はなんと12,440キロのシルクロード自転車ツアーです。
ツアー名:SILK ROUTE
期間:5月半ばから10月初旬の144日間
通過国:中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イラン、トルコ の10か国
予算:現状未発表(おそらく日本円で200万ほど。飛行機代は含まれません)
公式サイト:https://tdaglobalcycling.com/silk-route

画像2

出典元:https://tdaglobalcycling.com/silk-route


春の北京を出発し、5月かけてトルコは初秋のイスタンブールをめざす、壮大なツアー。

SILK ROUTEは、前回記事で紹介したTour d'Afriqueと同じ会社のツアーだけあり、難易度は、もう天井知らずのインフレ状態。
私がTour d'Afriqueに参加した当時は、Tour d'Afriqueが最難関と言われていましたが、その翌年に新たに開催されたSILK ROUTEがすぐに難易度を上回ってしまいました。

実は、私はまだSILK ROUTEには挑戦していません。
Tour d'Afriqueでなんとか生還しましたが、なんだか運を使い果たしたような気がして、SILK ROUTEを無事に完走できる自信がなかったのです。
時間をもうすこしおいて資金も十分にためてから、生きているうちに挑戦予定です。

コースはほとんどオフロード おすすめはやっぱりMTB

画像3

出典元:こちら


冒頭の自転車の図は私が使っているのとほぼ同型のMTBです。
ご参考までに。

シルクロードのオフロードも、なかなかに荒れた路面です。
しかし都心部は舗装されており、そこは快適に走りたいですよね。
そうなると、やっぱり、Tour d'Afriqueの記事でもご紹介した通り、マウンテンバイクにロードタイプのタイヤを追加で持っていくか、またはデュアルバイクかになります。

デュアルバイクはマウンテンバイクほどタフではないんですが、舗装された道路ではMTBより快適に走れます。

画像4

出典元:こちら

SILK ROUTEでは、走行中、テントや寝袋やトランクなどの大物荷物は運んでくれます。
なので、いっそオフロード用、舗装路用と自転車を2台持っていくのもよいですね。

ただし、国際線の飛行機は、エコノミークラスで積み込める荷物に上限があり、20~23キロほどです。
自転車だけでも1台15キロ前後しますので、スペアタイヤ持ち込み、2台目持ち込みの場合は超過料金を覚悟しましょう。
超過料金は航空会社によりますが、日本円でだいたい、個数オーバーで1個当たり2万円。

重量オーバーは32キロまで1万円、それ以上は5万円くらいかかりますので、あとはお財布と相談しましょう。

あと、忘れちゃいけないのがスペアのタイヤ、チューブです。
ツアーにはメカニック担当がいるのでメンテナンスを頼めますが、部品交換が必要な修理は有料です。
メカニック担当を経由するより、始めから自分で買って持って行く方がやっぱり安く済みますので、ぜひ用意しておきましょう。
替えのタイヤは最低2つ、チューブは10本以上持っていくとよいです。

ほかのおすすめ装備は、いままでの記事でも取り上げてきましたように、レンタルWifi、ソーラー充電器といったところです。

画像5

出典元:こちら

レンタルWiFi参考サイト 

全行程の半分近くがありがたいホテル泊 でもテントと寝袋もお忘れなく

画像7

SILK ROUTEでは、全日程の半分近くがありがたいことにホテル泊です。
200万円(JPY)以上するのはホテル泊が多いからなんです。
野宿するには厳しすぎる自然環境、そして山賊が出るなどセキュリティの事情のためと考えられます。

Tour d'Afriqueもかなりキツかったんですが、SILK ROUTEはその5倍の厳しさとも言われ、ホテル泊でもして翌日の走行に備えなさいというのもあるでしょう。
ただしホテルのレベルはそんなに期待しないこと。
シャワーからは水しか出ない、wifiがないのが当たり前です。
それでもAC電源はだいたいありますので、スマホなど電子機器が充電できるのはありがたいですよね。


見どころ その1 モンゴルのゴビ砂漠と大草原

画像8

次に、SILK ROUTEの見どころを見ていきましょう。
北京を出発し、まずはモンゴルに広がるゴビ砂漠へ。
「ゴビ」とは「乾燥した、がれき、草原」というニュアンスがあるモンゴル語で、写真のような小石ゴロゴロのエリアと、モンゴルの代名詞、大草原からなっています。

私のスーダンでのゴロゴロ砂漠の走行体験からいうと、まず、パンクの心配はそれほどでもないです。
が、どにかくひどいガタガタ走行。
振動の連続で手首にすぐけんしょう炎のような痛みがくるし、手のひらはマメだらけになるのでそれなりに覚悟していきましょう。

走りにくいのはがれきのような小石たちのせいなんですが、実は、ゴビ砂漠では恐竜の化石がよく発見されることでも有名なのです。
“もしや”と気になる小石があったら、記念に持って帰って調べてみましょう。

また、草原地帯では遊牧民の集落を見かけるチャンスもあります。

画像9

見どころ その2 世界の屋根 平均標高4,600mのパミール高原をゆく

画像10

全長は約320キロのパミール高原をつらぬくパミールハイウェイ。
SILK ROUTE最大の難関は、平均標高なんと4,600mのパミールハイウェイ走行です。

パミール高原は、中国国境からタジキスタン、アフガニスタンにまたがる広大な高原。
パミールとは、そのものズバリ、「世界の屋根」という意味なのです。

ツアーは夏に計画されていますが、標高が高いところの走行なので、相当な寒さとの戦いとなります。
実際に参加した知人いわく、
「高原では、真夏なのに雪がちらつく強風の中、オフロードを1日中走行させられてつらかった」
とのこと。
上着やグローブを持参するなど、きちっと防寒対策してのぞみましょう。

画像11

出典元:こちら

画像12

出典元:こちら

しかし絶景に次ぐ絶景。
何気ない景色ですら見逃せないフォト・スポット。
頑張りぬく甲斐があるチャレンジコースでもあるのです。

画像13

見どころ その3 ボスポラス海峡を望む美しいイスタンブールへ

画像14

ヨーロッパへの玄関口、イスタンブール。
まるでイスラムとヨーロッパとに分断するように横たわる細長いボスポラス海峡が、双方の文化が同居する町の特徴をよく表しています。

画像15

出典元:Google Map

海辺にはオスマントルコ帝国時代の貴族の館や宮殿が立ち並び、クルーズ船での観光が人気です。
イスタンブールはもうゴールですので、延泊してでも思いっきり観光しましょう。

画像16

南アメリカ大陸縦断! アンデス山脈攻略ツアー!

画像17

南アフリカ自転車ツアーでご紹介したいツアーは2つ。
まずはこちら。
コロンビアのカルタヘナからチリ最南端のウシュアイアまで、走行距離はなんとびっくり、13,495キロの最長自転車ツアーです。

ツアー名:SOUTH AMERICAN EPIC
期間:7月上旬から12月半ばまでの168日間
通過国: コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリの6か国
予算:約273万円(JPY) (飛行機代は含まれません)
公式サイト:https://tdaglobalcycling.com/south-american-epic

画像18

出典元:https://tdaglobalcycling.com/south-american-epic

お値段にもびっくり、まさかの300万弱です。
SOUTH AMERICAN EPICも全行程の半分近くがホテル泊なのが、高額設定になってる理由。
ところで7月といえば、南半球は冬。
コロンビアを出発し、半年ちかくかけ、いわば夏を求めて大陸の最南端をめざす旅と言えますね。

実はSOUTH AMERICAN EPIC ツアーも、SILK ROUTEと同じ会社。
彼ら曰く、難易度はSILK ROUTEと同じとのこと。
しかしながらほぼ全般がアンデス山脈地帯で、全行程の7割以上がオフロード、非常にタフな行程です。
おすすめの自転車や装備については、前章のSILK ROUTEの項を参考にしてください。

見どころ その1 神秘のマチュピチュ

画像19

アンデス山脈に行くなら、見逃せないのがインカ文明名所のマチュピチュ。
SOUTH AMERICAN EPICではしっかりコースに入ってますのでご安心を。

しかしマチュピチュまでは、山岳鉄道でも3時間かかります。
標高はなんと2,430m。
ふもとから見上げてもまったく見えないことから、“空中都市”ともよばれています。
けわしい山道を自転車で行くわけですから、精神的にも肉体的にも大冒険となることまちがいなし、帰りの下り坂も十分気をつけて。

画像20

出典元:https://www.travelbook.co.jp/topic/7065

見どころ その2 ボリビアの絶景 ウユニ塩湖

画像21

ボリビアといえば、ウユニ塩湖ですね。
ウユニ塩湖もSOUTH AMERICAN EPICのコースに入っています。
しかし標高は、まさかの富士山と同じ3,700m。
塩湖自体の面積も、おどろきの東京都の5倍です。

「で、写真撮る以外にウユニ塩湖でなにをすればいいの」
と思われたかたにぜひおすすめしたいのが、プラヤブランカミュージアム。
テレビで見たことがあるかたもいるでしょう。


ベッドやテーブルなど、塩であらゆるものが作られた展示物で有名なミュージアムです。

画像22

出典元:こちら

実は、以前はホテルだったのです。
が、ゴミ問題などで閉鎖となり、現在観光スポットとして残されたのが、プラヤブランカミュージアムというわけです。

基本情報 
住所 ウユニ ボリビア
参考サイト https://www.tripadvisor.jp/Hotel_Review-g317033-d2549925-Reviews-Hotel_Playa_Blanca-Uyuni_Potosi_Department.html#/media/2549925/?albumid=101&type=0&category=101
トイレを借りることができます。
ミュージアム前には世界中の国旗が掲げられていて、目立つのですぐわかります。

画像23

見どころ その3 チリ パタゴニアの氷河

画像24

チリも南端になってくると、アラスカやアルプスをほうふつとさせる氷河の景色に圧倒されます。
パタゴニアは、チリ最大の湖、ヘネラル・カレーラ湖でも有名です。
なんとも神秘的な奇岩とエメラルドグリーンの水。
コース上屈指の見どころですね。

画像25

また、パタゴニアには氷河を見るためのツアーもありますので、別料金ですがぜひ参加してみましょう。
そして外せないのがペンギン。
最南端までくると、海辺を営巣地にしているかわいいペンギンたちに出会えます。

画像26

お値段半額! もう1つのアンデス山脈攻略ツアー!

画像27

さて、ここまで2つの自転車ツアーをご紹介してきました。
「でも200万とか300万とか、高すぎだしムリ」
たしかに。
そこで最後にもう1つ、お手頃価格の南米ツアーをご紹介しましょう。

ツアー名:The Andes Trail
期間:7月末から12月初旬までの143日間
通過国: エクアドル、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリの5か国
予算:約165万円(JPY) (飛行機代は含まれません)
公式サイト:https://www.bike-dreams.com/AN/EN/01_Intro.php

画像28

出典元:こちら

ルートはSOUTH AMERICAN EPICとほぼ同じですが、コロンビアではなく隣国エクアドルのキトからのスタート。
そのため旅程がちょっと短く11,000キロです。
それでも全行程の1/3がホテル泊。
それでいてお値段がSOUTH AMERICAN EPICのほぼ半額なので断然お得。

南米は、個人で行くにはまだまだ危険がいっぱいです。
ツアーをかしこく利用して、ステキな旅にしてください。

高山病に注意! 予防と対策

画像29

今回ご紹介したツアーはどれも、3~4,000m級の高地を走ります。
したがって心配なのが高山病
私自身は、以前ご紹介したヨーロッパアルプス攻略ツアーでは特に高山病を発症することはありませんでした。

しかし当時の標高は高くても2,400m。
SILK ROUTEやSOUTH AMERICAN EPICで登場する山々の標高と比べると、最低1,000mは違うので、対策をしていったほうがよいでしょう。

適度な水分補給と鼻呼吸で予防

画像30

高山病を起こすかどうかは、実は個人差があります。
高山病の原因は、酸素がうすくなってきた環境に体がうまく対応できなかったときにおこります。
症状は様々で、おもに頭痛や吐き気。
人によっては不眠を引き起こすこともあります。

そうならないために、予防策を5つ、ご紹介。
1.水分を多めにとる
脱水は高山病を促進します。
むしろいつもより多めに水分を取るよう、こころがけましょう。

2.かぜや睡眠不足に気をつけ、体調不良の時は挑戦しない
特に鼻かぜを引いていると、高山病になりやすいので気をつけましょう。

3.「高山病になるかもしれない」と、予防のつもりで症状が出る前に薬を摂取、はダメ
事前に服用すると、薬が切れたタイミングで強烈な頭痛におそわれ、一気に重症化するおそれがあります。
薬は症状が出てから飲むようにしましょう。

4.防寒対策をしっかりする
寒さは体力をうばい、高山病を促進しますのでしっかり対策しましょう。

5.鼻から吸って口から吐く呼吸をこころがける
標高が上がると耳抜き(気圧調整)が重要になってきます。
耳抜きがうまくいかないと耳の痛みをおこすことがありますので、鼻呼吸をつねに意識しましょう。
参考サイト:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=738

高山病になってしまったら、薬をのんで休む

画像31

高山病の治療薬として代表的なのは、ダイアモックス。

画像32

出典元:https://www.qlife.jp/meds/rx10885.html

処方箋での購入になりますので、必ず医師に相談しましょう。
高地にいる日数分処方してもらうのが一般的です。

ダイアモックスは時に予防薬として紹介され、事前に飲むことをすすめる記事もありますが、高山病の症状が出てから服用するようにしましょう。
事前に飲む必要があるのは、ヘリコプターなどで一気に3,000メートルまで上がる、というような場面です。
また、万能薬ではありませんので、症状がおさまらない場合はすみやかに下山についてツアーのサポートに相談しましょう。

まとめ

今回は、アジアと南米にフォーカスした自転車ツアーを紹介しました。

まずは、北京からイスタンブールまで、5か月の旅、SILK ROUTEツアー。
オフロードばかりのコースですので、スペアタイヤなど、交換部品はひととおり揃えていきましょう。
●壮大なロマン シルクロードツアー
・コースはほとんどオフロード おすすめはやっぱりMTB
・全行程の半分近くがありがたいホテル泊 でもテントと寝袋もお忘れなく
・見どころ その1 モンゴルのゴビ砂漠と大草原
・見どころ その2 世界の屋根 平均標高4,600mのパミール高原をゆく
・見どころ その3 ボスポラス海峡を経て、美しいイスタンブールへ

続いて、南米大陸縦断ツアーを2つご紹介しました。
まずはSOUTH AMERICAN EPICツアー。
●南アメリカ大陸縦断! アンデス山脈攻略ツアー!
・見どころ その1 神秘のマチュピチュ
・見どころ その2 ボリビアの絶景 ウユニ塩湖
・見どころ その3 チリ パタゴニアの氷河

続いて、SOUTH AMERICAN EPICツアーは高すぎるというかたに、The Andes Trailツアーもご紹介しました。
・お値段半額! もう1つのアンデス山脈攻略ツアー!

最後に、どのツアーも標高3~4,000m級の高地を行く自転車旅なので、心配される高山病について予防と対策をお伝えしました。
●高山病に注意! 予防と対策
・適度な水分補給と大きく深呼吸で予防
・高山病になってしまったら、薬をのんで休む

特急や飛行機、バスなど、あらゆる交通手段を選べる海外旅行。
でも、同じところを何度も訪れる、というのはよっぽど縁がない限りありません。
自転車なら、高速移動だとパッと流れて見落としそうな景色すら、じっくり味わい記憶に焼き付けることができます。
私はそんな自転車旅が大好きです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
では、また、いつか。


いいなと思ったら応援しよう!