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誰でも「うつ病」になる現代。パートナーが体調を崩したときにも、愛し合い続けるには

「健やかなるときも、病めるときも、愛し合うと誓いますか?」

結婚式で神父さんが言う常套句。その真意を本気で考えるようになったのは、自身がうつ病になってからでした。

一日中しんどい、なにもしたくない、死にたい。そんな日々のなかで、パートナーと衝突してしまうのは当たり前。実際、別れ話になったこともあります。

幸い乗り越えることはできた。けれど、うまくいかない時期を経たことで、「大切な人が病んでしまったとき、愛し合い続けるにはどうしたらいいんだろう」という疑問が頭を占めるようになりました。

そこで開催されたのが「パートナーが精神疾患になったときの乗り越え方」と銘打った勉強会です。

うつ病は身近な病気。決して他人事ではない

今回の勉強会は、精神疾患のなかの「うつ病」に焦点を当てて進んでいきました。

うつ病とは気分障害の一種で、身体には異常はないけれど、気分が自分でコントロールできないくらい沈んでしまうもの。

勉強会で強調されたのは、うつ病はだれでも罹る可能性があること。大切なパートナーが罹るかもしれないし、自身が罹るかもしれない。

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特に注意したいのは、まじめ・几帳面・仕事熱心・責任感が強いとされる人。この人たちは、うつ病になりやすい性格と言われています。

また、うつ病のきっかけになるのが大きな環境変化。これは悪いことはもちろん、結婚や昇進などの良い出来事にも当てはまるとのこと。

以上のことから、うつ病は決して他人事ではないことが分かります。

では、うつ病になってしまったときはどうするのか。基本的な対処法は「休養」「服薬」です。

まずはしっかりと休むこと。病気になってしまった当初は、休むこと自体に罪悪感を覚えがちですが、心と体を休めることが改善の近道。焦らずに休養をとるようにしましょう。

そして、処方された薬を服薬する。精神科の薬は副作用が辛く、効果が出るまでの時間がかかるそう。そのため、途中で止めてしまう人が多いそうですが、それだと良くはならない。医師と相談しつつ、指示通りに服薬することが治療の第一歩になります。

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病気になったパートナーを理解しようとする“姿勢”が大切

話題は、うつ病の症状へ。どのような症状が出るのかを知っておくだけで、関わり方は変わってくるはず。

まず、うつ病になると、なにもしたくなくなるとのこと。ただただしんどく、寝るしかできない。たしかに、僕も発症当初は一日中寝てるだけでした……。

はたから見ると、怠けているようにしか見えないこの症状。ずっと寝ているパートナーに対して、つい厳しいことを言いたくなりますが、それは病気がそうさせているだけ。見守ってそっとしておくことが大切です。

さらに理解すべきなのは、うつ病は長期化しやすいということ。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ回復していくのがうつ病です。

少し良くなったからといって、「そろそろ復職できるんじゃない?」などと声かけをしてしまうと逆効果になってしまう。焦らずに、じっくりと病気に向き合うことが大切になります。

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その他、生活リズムが乱れやすいことや、以前のように無理をすると再発しやすい、など気をつけるべき点がシェアされました。

けれど、パートナーを支えるにおいて何よりも大切なことは、うつ病になったパートナーを理解しようとする“姿勢”なんだそう。「理解すること」ではなく「理解しようとする姿勢」です。

パートナーを支えようとして、自分も潰れてしまう例があるそうです。けれど、そんなに難しく考えすぎなくてもいい。そもそも、うつ病自体が人によって症状も異なってくる病気。すべてを理解しなくてもいいんです。

寄り添おうとしてくれているなと、実感できるだけで、当人にとっては大きな救いになる。パートナーから感じる“思いやりの心”が、一番の支えになるはずです。

“絶対的な味方がいる”安心感が、大きな力になる

では、パートナーが病気になったとき、具体的にどのように接すれば良いのでしょうか。

あるメンバーは、自身が体調不良になったとき、パートナーの行動に救われたと言います。

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私が働けないってなったとき、夫はその症状を理解してくれて。私が働かなくても生活が成り立つように、地方へのUターンと転職を決断してくれたんです。それに加えて、私が主治医と相談して決めた治療方針には一切口を出さず、見守ってくれていました。私を尊重してくれているのを感じて、とても嬉しかったです。

自分の病気のことを考えた選択をとってくれて、さらに何も言わずに温かく見守ってくれる。パートナーさんの行動から、愛情が伝わってきます。

僕もひとりの経験者として、体験談をシェアさせてもらいました。

精神疾患×パートナーシップ_あくつ

僕が反省しているのは、悩みやしんどさをパートナーに伝えず、ひとりで抱え込んでしまったこと。ひとりで抱え込んでしまうと、パートナーも腫れ物に触る感じになってしまい、互いにギクシャクしてしまいますよね。

悩みごとやしんどくなったことを共有するだけで、パートナーは余計な心配を抱かずに済むはず。病気になる前から、自分の弱さを吐き出せる関係性を築くことが大切なんだと、痛感しました。

さらに、僕がパートナーから言われて救われた言葉も紹介。

「悩んでしんどくなることは、悪いことじゃないからね」
「支えることは難しいかもだけど、一緒に歩くことはできるから」

ただでさえ自己否定しがちな状態のとき、自分を認めてくれるこの言葉に、どれだけ救われたか。

ふたつの例からも分かるよう、“絶対的な味方”がいてくれる安心感がとても大きな力になるんです。

ただ側にいるだけでもいい。それが救いになることを、知っていただけたらと思います。

勉強会の終盤、メンバーからこんな声が。

支える側がうまく支えられなくても、それはイコール愛がないということではないんですよね。支える側も、支える側の事情があることは忘れないでいたいです

大切なパートナーが体調不良になってしまったら、自分がなんとかしなきゃ…… と気負ってしまいがち。けれど、それでふたりとも潰れてしまうと、元も子もありません。

いまは、カウンセリングなどの第三者サービスもあります。第三者に適度に頼りつつ、ふたりで一歩一歩進むことが大切なはずです。

「精神疾患患者」としてではなく、「大切なパートナー」として向き合い、そばにいてあげる。ただそれだけで救いになる。

このレポートが、大切な人を愛し続ける力になれば幸いです。

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執筆:安久都智史(@as_milanista

「ふたりの教室」は、パートナーと人生を歩むにあたり抱える不安や悩みを一緒に解決していきたいと思っています。サポートは記事制作費用に使わせていただきます!https://community.camp-fire.jp/projects/view/224147