滑走不全がもたらす影響
身体の組織には「筋膜・皮下脂肪・骨膜・皮下組織・滑液包など」の軟部組織間が存在します。
そのなかにある*¹疎結合組織(*¹コラーゲン繊維などが比較的少ないもの)というものが存在しており、これらは身体内で組織同士の位置関係を守りつつ、身体の運動に必要な組織と組織の滑走性を維持してくれています。
しかし、この疎結合組織は圧力(圧迫)や炎症、外傷などちょっとした身体への影響で簡単に滑走性を失ってしまうとても脆い組織なのです。
この滑走性にマイナスな影響があると、筋肉と筋肉の間(筋間)だけでなく、疎結合組織をもつ組織同士も滑走不全が起こってしまいます。
その為、筋間・組織間に滑走不全による可動性に制限が起きると、それに関与する軟部組織の緊張をより高めてしまうと言われています。
~滑走不全で影響する身体への影響~
ここからは組織の滑走不全によって影響が出る部位をご紹介いたします。
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〇足背・・・横アーチが落ちる
〇踵立方関節外側・・・ショパール関節外転拘縮(偏平足・外反母趾の誘発)
〇足関節内果周辺~アキレス腱上・・・距腿関節内側の背屈制限
〇腓骨筋・腓腹筋外側頭周辺・・・膝関節伸展位の腓骨前方移動(下腿内旋)の制限
〇大腿・下腿外側・・・膝関節下腿外旋、膝蓋骨外方偏位
〇”両側”大腿外側・中殿筋・TFL・ITB・・・腸骨開大(仙腸関節上部の開大)
〇鼠径部・TFL・大転子周辺・・・股関節の伸展制限、滑走不全が起こっている側の寛骨の前傾(後傾制限)
〇大殿筋停止部・大転子周囲・・・股関節屈曲制限、滑走不全が起こっている側の寛骨の後傾(前傾制限)
〇大殿筋周囲・・・大殿筋収縮時の大殿筋繊維の短縮を妨げ、仙骨を介して対側側の胸腰筋膜への過緊張
〇上腹部・・・下位胸郭拡張不全
〇鎖骨・僧帽筋上部繊維・・・鎖骨後退制限、肩関節外旋制限、肩関節外旋に伴う肩甲骨内転・後傾制限
〇三角筋後部繊維・・・肩関節水平内転制限、上腕骨頭の前方偏位・前上方偏位
〇肘関節外側・腕橈骨筋周囲・・・腕橈骨筋伸展制限、肘関節外反位
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これらの悪影響を改善させるためにはいわゆる「指圧などのマッサージ」や「運動療法」ではなくまず「組織間リリース」を行うことが重要。
~組織間リリースとは~
組織同士をゆるく結合している疎結合組織をリリースすることを目的にした徒手療法。
指先で皮下脂肪や筋間をリリースすることであらゆる軟部組織を対象とし、組織間の癒着を軽減させ、滑らかに活動が出来るようにする手法です。
様々な運動療法やコンディショニングでクライアントのエラーを改善できない場合、組織間の癒着が原因を引き起こしている場合がありますので原因となる組織に目を向けてみるのはいいかもしれません。
助川
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