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映画 「経験」1969年アメリカ


お気に入りの女優は何人かいますが、映画を見始めた頃から、常にベストスリーから落ちることのなかったのはジャクリーン・ビセットです。
女優に入れ込むようになりますと、作品のクゥオリティには関係なく、出演作品は全て見ておきたいと思うのがファンの性。
彼女も、僕にとってはそんな「特別枠」の女優の一人です。
日本で公開されたものや、衛星放送でオンエアされた有名どころは、最近のものでない限り、ほぼ見ていると思います。
しかし、日本未公開作品やソフト化もされていない作品もあり、見逃しているものもまだあります。
本作もそんな作品のうちの一本でした。
この作品の存在は、情報としては知っていましたので、長年アンテナは張っていたのですが、今回見つけたのは、なんとYouTubeでした。
最近のYouTubeが、映画をまるまる配信していることは知っていましたが、対象作品は、すでにパブリック・ドメインが切れているようなクラシック作品。
もしくは、最近の話題作であれば、有料視聴になっているという認識でしたので、1969年製作の本作が無料で普通に視聴出来たのはちょっとビックリでした。
残念ながら字幕なしの動画でしたが、こちらはとしては、ジャクリーン・ビセットを鑑賞できればいいので、環境ビデオくらいのつもりで鑑賞いたしました。
言葉は意味不明でも、物語は、童貞高校生三人組のボーイ・ミーツ・ガール系で、ほぼ展開は読める内容。
彼女以外のキャストで、知っている顔は皆無でした。
主演は一応彼女なのですが、その彼女が登場するのが、映画開始からなんと43分後。
90分の映画ですから、彼女の出番はほぼ後半だけということになります。
本作公開当時、彼女は25歳。
まあそれでも、一番美しい頃の彼女を鑑賞できただけでもよしといたしましょう。


大人になりかけの少年が、年上の魅力的な女性に恋の手ほどきを受けるという、いわゆる「筆下ろし」系の作品は、70年代以降、盛んに作られましたね。
当時は、マセガキでしたから、自分と重ね合わせながら、それ系の作品は、片っ端から追いかけた記憶です。
その筆頭として、映画作品として、今でも一番クゥオリティが高かったと思っているのは1970年公開の「おもいでの夏」。
主演のジェニファー・オニールは、これ一本で永遠に記憶に刻まれる女優になりました。
「青い体験」「続・青い体験」のラウラ・アントネッリも忘れられません。
その強烈なセックス・アピールに完全にノックアウトされましたね。
ナタリー・ドロンが、青春スターのルノー・ベルレーを虜にした「個人教授」も、あのフランシス・レイの流麗な音楽と共に忘れられない一本。
1980年公開になりますが「プライベート・レッスン」では、シルビア・クリステルが、少年を惑わせていました。
個人的には、「エマニエル夫人」の彼女よりも、こちらの方がグッとエロティックでした。
ハリウッド女優のキャロル・ベイカーが、イタリアに渡って主演した「課外授業」なんていう作品も、きちんと押さえております。
この系譜に、我が麗しのジャクリーン・ビセットも、ちゃんとその名を連ねているのであれば、ファンとしては、なんとしても見ておかずにはいられない一本ということになります。
こちらはすでに還暦越えの身。いまさら感はありますが、これも長年のファンとしての義務と心得ております。
さて本作の製作が、1969年度ということになりますと、一連の「筆おろし」作品の原点となったのが本作であった可能性は大です。
「筆おろし」がメインとなった作品が、果たして60年代以前にあったかどうか。
この手の作品を追いかけ続けてきた映画マニアの記憶には、ちょっと引っかかってきません。
この件に関して、知っている方がいたら是非教えてください。

ジャクリーン・ビセットというと意外に代表作が浮かんでこない人も多いのではないでしょうか。
ノーブラのTシャツ姿が色っぽかった「ザ・ディープ」や「料理長殿、ご用心」あたりが代表的主演作と言うことになりそうですが、個人的にお気に入りの作品は、フランソワ・トリフォー監督の「アメリカの夜」。
この映画の彼女は、魅力的だったなあ。
映画雑誌「ロードショー」の付録だった、この作品の時の彼女のポスターは、当時の自分の部屋の壁に長い間貼ってありましたね。
不思議なモノで、彼女の作品は、主演作品よりも、チョイ役や、オールスターキャストの映画の出演の方に、印象に残る作品が案外多いんですね。
007の番外編「カジノロワイヤル」(1967年度版)は、イロッぽいチョイ役でしたが、他のシーンは忘れていてもそのシーンだけはハッキリ覚えています。
同じ年の「いつも二人で」は、オードリー・ヘップバーンの後期の代表作ですが、彼女の出演はわずか10分足らずながら、そのシーンでは、その美しさで完全に主演のオードリーを食っていましたね。
「ブリット」では、スティーブ・マックイーン、「刑事」では、大御所フランク・シナトラの相手役を務めましたが、それよりも、パニック映画ブームの火付け役にもなった「大空港」でのCA(当時はスチュアーデス)役の方が印象的でしたね。
オールスターキャストの映画の中でも、しっかりと存在感を出していました。
オールスター・キャストといえば、「オリエント急行殺人事件」にも、彼女は出演していました。
もちろん、彼女の出演シーンは覚えていますが、どうもこの辺りになると、単なるファンの依怙贔屓であったかもしれません。
実は彼女は、本作「経験」の二年後に、「シークレット」という作品に出演していて、なんとそこで全裸ベッドシーンを披露しています。
しかしながら、映画としては、それだけのために撮られたような、あきらかなB級作品。
これは、ずっと後になって公開された作品でしたが、ファンにとっては衝撃的でした。嬉しいような・・辛いような・・
美人だというだけで、常に映画の中では、添え物的扱いをされてきた彼女の、せめてもの抵抗だったのでしょう。
しかし、どんな作品であっても、キャリアの中で、一番美しかった時期に、その美しい裸体をフィルムに残す決断をしたのは果敢であったかもしれません。
そのジャクリーン・ビセットも、すでに78歳。
Wiki を見る限り、2018年以降は映画出演もないようです。
彼女の作品としては、日本人男優加藤雅也と共演した「クライムブローカー/仮面の誘惑」というテレビ映画を見ていますが、50歳になった彼女を見るのは、ファンとしてはちと辛かったなあ。
以後も彼女は、精力的に映画やドラマに出演していますが、そのあたりからはあえて見ていません。これでは、ファンを名乗るものとしては失格かもしれません。

ちなみに、前述したように、今回は字幕なしの状態で、iPad鑑賞したのですが、ちょっと引っかかったシーンでは、iPhone の「Google翻訳」を活用。
多少、音楽などのノイズが入っていても、ほぼ完璧に聞き取るので感心いたしました。
もちろん、字幕に出るような「こなれた」訳ではなく、ガチガチの直訳でしたが、映画のストーリーを追う分には大いに役立ちました。
これが、中学生の時に可能であれば、英語の成績ももう少し良かったろうなあ。

こちらも、いい「経験」をいたしました。





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