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企業再生メモランダム・第53回 会社のための「やる気」と「失敗」、それを支える「仕組み」

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの42枚目は7年前に作成した「会社のための『やる気』と『失敗』、それを支える『仕組み』」と題したメモです。

メモの背景

私も経営の仕事を15年近くしてきて思うのですが、赤字会社の大半は、失敗をしたから赤字会社になったのではなく、失敗をできなくなったから赤字会社になったのではないかと思います。

ターンアラウンドマネージャーの観点から言うと、明らかな失敗によって赤字になった会社の企業再生は簡単です。赤字になった因果関係が見えているのならば、その原因を取り除けば良いだけだからです。

しかし、特に目立った失敗をしたわけでもなく赤字に陥った会社は、ビジネスモデルそのものと組織そのものが弱くなっており、企業再生のハードルは高いのです。

健全な「普通の会社」ならば、マネジメントサイクル(PDCAサイクル)が回っています。そのため、日々何かしらのチャレンジもしていますし、そのチャレンジ回数の数だけ、成功も失敗もしています。

失敗がないという会社は挑戦をしていない会社で、それは組織の問題を抱えている会社になります。

失敗がないには理由があります。それはチャレンジそのものをしていない場合と失敗することができない場合の2つです。

会社が減点主義の組織だと、チャレンジそのものはしない、もしくは、チャレンジの回数を絞って勝てる戦いしかしないようになります。そのほうがスタッフにとっては合理的なのです。

こうなってくると、お客様の求めるものにサービスを改善していくという発想ではなく、「組織の論理」が優先となります。スタッフは、お客様を見て仕事をするのではなく、会社を見て仕事をするイメージです。

組織がこのような状態になれば、ビジネスモデルはあっという間に陳腐化します。

以前も記載をしましたが、対象会社において多くのスタッフは、仕事とは仕組みを作ることではなく、仕組みをまわすことであると考えていましたし、何より社内政治が横行していたため、何か新しいことにチャレンジするインセンティブはなかったものと思います。

ターンアラウンドマネージャーの私の感覚では、スタッフが全力で挑戦して、もし例え失敗をしたとしても、それが許される会社にならなければ、企業再生がされたとは言わないのです。

メモ「会社のための『やる気』と『失敗』、それを支える『仕組み』」の中身

1.会社のための「やる気」と「失敗」

会社のための「やる気」と「失敗」は大歓迎です。自分のためではなく自分たちの会社のために、スタッフ一人ひとりが「やる気」を出して、率先して仕事に取り組むことは素晴らしいことだと思います。

その結果が例え「失敗」に終わったとしても、諦めずにチャレンジし続ければ、いつか必ず「成功」すると思います。

2.「失敗」の先に「成功」は存在します。

「失敗」を恐れずに、「やる気」を出して、会社のためにどんどんチャレンジして欲しいと思います。

何度も話をしてきたとおり、過去を反省して、私たちは傍観者や評論家であることを辞めなければなりません。

私たちスタッフ一人ひとりが主役であり、私たちは自分たちの会社のために「やる気」を出して、仕事にチャレンジして、会社を良くしていかねばなりません。

3.「やる気」を支える「仕組み」

対象会社は、この数年で、「やる気」あるスタッフがチャレンジできる「仕組み」を整えてきました。

横断的プロジェクトチームの発足やインターネットの現場活用などがその例です。

代表的な事例として、インターネットの現場活用を取り上げます。

現場が素晴らしい取り組みをしても、どうしても広告やチラシだと、広告予算や紙面のスペースには限界があります。しかし、自分たちが最高の商品やサービスを提供しているならば、自分たちで積極的にインターネットを活用して宣伝すればよいのです。

その結果、売上高、顧客満足度が上がっていけば、会社としても、広告を行ったりチラシに掲載したりとなるでしょう。

インターネットの良いところは「無料」であることです。ITツールが苦手なスタッフからすればメンドクサイと思うかもしれませんが、それは「やる気」の問題と言えるでしょう。無料で、宣伝できるツールがあるのですから、全ての可能性は自分たちの「やる気」次第なのです。

4.「やる気」あるスタッフは、「仕組み」を活用して欲しい!!

自分たちの手で会社を良くしたい。自分たちが関わっている仕事を、社内の人に、お客様にもっと知って欲しいと思うスタッフは、どんどん「仕組み」を活用して欲しいと思います。

会社としても、「やる気」があるスタッフが、もっと活躍できるような「仕組み」をこれからも整備していきたいと思います。

会社を良くするために、失敗を恐れずに、やる気を出してチャレンジしていってもらいたいと思います。



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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