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企業再生メモランダム・第10回 若手スタッフへの話 前編

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの8枚目は10年前に作成した「若手スタッフへの話」と題したメモです。

2020年現在、アラフォーの私からすれば、当時の私も年齢だけ考えれば十分に若手スタッフではあるのですが、同じような世代のスタッフに対して、このようなタイトルのメモを残しておりました。

メモの背景

私が考える企業再生とは、赤字会社を、「お客様のため」や「売上・利益の拡大のため」という仕事・ビジネスの本質が当たり前に実行されている「普通の会社」にすることです。

「普通の会社」には、スーパー営業マンがいるわけでもスーパー経営企画マンがいるわけでもなく、多くの「普通のサラリーマン」が働いています。

そして、経営者の仕事とは、「普通のサラリーマン」が、普通に働いて、普通に利益が出るビジネスモデルを創ることだと思います。

私は、企業再生では、赤字会社の価値観から「普通の会社」の価値観へ、変われる人・変わりやすい人から変われば良いという考えを持っています。

「普通の会社」の価値観とは、先ほどの「お客様のため」や「売上・利益の拡大のため」の他に、会社のために頑張る、会社のルールは守る、上司の指示に従う、社会性も大事にする、そして、時と場合でこれらに正しく優先順位を付けられるなど、日本の社会人として当たり前の共通理解のことです。

私が見てきた赤字会社の幹部社員もスタッフは、みな薄々、自分たちの赤字会社の価値観が間違っていること、これが長期間に渡っては続かないことに気が付いていました。

そのため、私のような「普通の会社」の価値観を持った経営者から、世間ズレしていることを指摘されると、多くの人は最初は否定や困惑するのですが、しばらく時間が経つと、ほとんどの方がその世間ズレを認めたように思います。

前回、赤字会社の多くでは、社内政治やセクショナリズムが蔓延し、パワハラなど弱者に対するハラスメントが横行してしまうと記載しましたが、このような状況下で、青臭い正義感を押し殺し、抑圧されているのが、若手スタッフです。

若手スタッフは、赤字会社の価値観に染まり過ぎていないため、しっかりとしたコミュニケーションをすることで、「普通の会社」の価値観に戻すことができます。これに対して、幹部社員やベテラン・スタッフは、例え頭で理解できていたとしても、なかなか変化に対応することが難しいものです。

特に赤字会社の幹部社員で旗振りまでしていた人は、それこそ、自分が間違った旗振りをしていたことから認めなければなりません。これが年齢を重ねるとプライドもあり、世間体などの体裁もあって、なかなか引っ込みがつかないわけです。

企業再生をする際に、若手スタッフは簡単に変われるのに対して、幹部社員が自分の今までの非を認められずに、結果として、会社を去ってしまうのをたくさん目の当たりにしてきたように思います。

気軽に「遊びの仲間に入れて」と言えない子どもと同じように、ちょっとの勇気があれば、簡単に問題解決するのですが、このちょっとが本当に難しいと思います。

長くなりましたが、このような背景から、私は企業再生を行う際には、若手スタッフとのコミュニケーションは大事なことだと考えています。

たとえ若手スタッフだとしても、組織の中において、企業文化の担い手の一人なのです。そのため、一人ずつ口説き落としていかなければなりません。

まずは若手スタッフから「普通のサラリーマン」へ正常化させなければならないと思います。



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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