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企業再生メモランダム・第61回 会社の外に目を向けよう

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの49枚目は6年前に作成した「会社の外に目を向けよう」と題したメモです。

メモの背景

私の拙い人生経験によると、人であったり発言であったりを評価して、ネガティブ・ポジティブの2つに大きく分類することは、案外、大事だと考えています。

その人がネガティブな発言していると、周辺にもネガティブな人が集まり、現状の問題点も解決へ動くのではなく、愚痴っぽくなり、それがやがて湿っぽくなって、後ろ向きな話ばかりになってしまいます。

逆に、ポジティブな発言をしていると、周囲にはポジティブな人が集まり、現状に問題点があったとしても、それをどう乗り越えるのか、乗り越えた先に次は何ができるのかと、前向きな広がりを見せるのです。

新入社員の時は誰しも夢や希望を持って会社に入社するわけですが、内向きな組織にいると、夢は萎み、希望もなくなり、視野も狭くなり、視座も低くなるのです。

まさにネガティブが、ネガティブを引き寄せるような状態です。

ポジティブになれば、夢や希望が、内外問わず人を惹きつけ、視野も広くなり視座も高くなるわけです。

今までの対象会社はまさにネガティブで内向きな組織でした。

目の前のお客様のことを見ずに、会社の社内政治の「空気」を読み、明らかに正しいことを間違っているとさえ言うような組織でした。

このような状況を脱していくためには、スタッフ一人ひとりが会社の外に目を向けて、客観性を獲得し、社内の異常を知る必要があると考えました。

そして、新入社員として入社した時のように、社外には夢や希望を持って楽しく働くスタッフがたくさんいることも知ってもらいたいと考えました。

リーダーシップの考え方によれば、夢や希望の下では全ての人は対等で、会社の組織も地位も何も関係ないのです。

本来は、私たちが社外に向けてリーダーシップを発揮すれば、社外の人を動かして、お金であったり協力者であったり新たな経営資源の獲得もすることもできるのです。そこには、社内で決められたルールもなければ社内の予算も関係ありません。

新しい経営陣は、対象会社のスタッフには、新しい経営陣への盲目的な追従を望んでいませんでした。私たちは、対等な関係を望み、スタッフが自立して、自分の足で立つことを望んでいました。

そのためには、スタッフには会社の外を見てもらいたいと考えたのです。

メモ「会社の外に目を向けよう」の内容

1.前提の説明

(1)経営理念やビジョンとは?

会社は、会社自らが策定した経営理念やビジョンを実現することで、お客様、社員、株主、地域社会など全てのステークホルダーを幸せにします。そのため経営理念やビジョンの実現に向かって、経営陣・スタッフ全員が努力していかねばなりません。

(2)経営資源とは?

経営資源の代表例は、ヒト・モノ・カネです。会社は、経営資源を使って、経営理念やビジョンの実現をします。

ヒトは社員数、モノは工場や施設の保有状況、カネは財政状況など、社内にある経営資源には限りがあります。私たちは、知らず知らずに、経営資源の限界を意識しながら、日々仕事をしているはずです。

2.なぜ経営資源の限界を意識してしまうのか?

なぜ経営資源の限界を意識してしまうのでしょうか?理由は簡単です。

自分たちの会社を知れば知るほど、手元にある社内の経営資源が、目の前の現実=経営資源の全てだと思ってしまうのです。

特に対象会社は、過去に経営陣と労働組合の社内政治が激しかったため、社内で働く多くのスタッフの目は、どうしても社内に向けられていたと思います。

これを変えなければなりません。

経営資源は、社内だけにあるわけではありません。社外にもあるのです。

3.経営資源は社外にもある。

経営資源は、社内だけでなく社外にもあります。ヒトもモノもカネも社外にもあるのです。

ヒトならば、取引先、新規採用、中途採用、ボランティアなど社外から調達可能です。

モノならば、他人が持っているモノを借りたり買ったりすれば社外から調達可能です。

カネならば、金融機関から融資を受けたり投資家から投資を受けたりすれば社外から調達可能です。

私たちの会社の経営理念やビジョンは、社内外のありとあらゆる経営資源を活かして実現するのです。

私たちは、社内のことばかり考えて、小さくまとまってはいけません。もっと会社の外に目を向けましょう!



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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