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【自作曲】デリック・メイみたいな疾走系ダンサーが出来た(長文記事)

日曜日は結局1日冴えない天気だったので、↓の記事を書いた後、新しく購入したミキサーを使って、さっそく1曲作ってみた。

もっとも完全にゼロから作ったというわけではなく、前に別記事で書いたミニマルテクノのかけらを利用して1曲に仕上げていった感じ。もともと新しいミキサーが来たら曲として完成させようと思ってたんだよね。

これまで作ってきたテクノ系の曲はBPMだと120前後のものばかりだったけど今回は130。自分の中ではかなりアップテンポな曲だ。

最近はアニソンやボカロ界隈を中心にもっとテンポ速い曲も多いし、クラブミュージックの世界でもトランスやらガバやら音ゲー好き受けしそうなアップテンポな曲があったりもするけれど、個人的には四つ打ち系だとこれくらいの速度が気持ちよく聴ける限界の早さ。

BPM120〜130くらいってよくお酒を飲んだときの心拍数と同じくらいって言われる通り、これくらいの速度がカラダが自然に揺れるダンスミュージックとしてはもっとも心地よいいテンポなんだよね。

さて、前置きが長くなったけど作った曲を貼っておこう。

タイトルにも書いたけど、もうめちゃくちゃ分かりやすくデリック・メイ風のデトロイトテクノサウンド。実は前々からこういう曲も一つ作ってみたいと思ってたんだよね。リスペクトをこめたオマージュというかさ。

今回はこの曲について、どういう風に作ったかと言うようなことを書いていこうと思う。


新ミキサー用に機材を繋ぎ変えた今回の構成

最初はいつもの通り機材接続構成の紹介から。今回の構成はこんな感じだ。

MG12XUに出力をまとめたことでスッキリした構成

MG12XUを導入したことでチャネルに余裕ができ、前まで駆使してたガジェットシンセの外部入力を使わなくてよくなったのがやっぱりとても大きい。

今回の機材数だとホントはJ-6もMG12XUに直結できて、リズムマシン+シンセの合計6台でキレイに12チャネルを埋められるんだけど、11/12chは固定でサブミキサーのMG06Xに繋いでるから、今回はMG06X経由でMG12XUに接続することにした。

ちなみにMG06X側には4チャネル余ってるから、最大であと2台まで楽器を繋げることが可能。ただ機材(パート数)に関しては増やせば増やすほどいいってものでもないから、仮にこれ以上増やすとしてもSE的な感じで使うくらいかな。

実は今回も最初はもう一つTD-3を繋げるつもりだったんだけど、試しに繋いでみたら構成と展開的にとっ散らかりすぎるなと思って断念した。引き算大事。

多数の機材構成のうち、サウンド的に肝になってるのはベリンガー製ソリーナ。去年買って少し音を鳴らしたときから上手く使えばデリック・メイみたいなスタイルの曲を作れると思ってたんだけれど、想像以上にそれっぽい曲になって自分でもちょっとびっくりしてる。

本来の生ストリングスではまずやらない歯切れ良いリフがいかにもデトロイトテクノって感じだ。

シーケンサーとしてのLofi-12が優秀過ぎ

そして構成上でのポイントは今回もやっぱりLofi-12。これ、前にも記事で取り上げたけれどガジェットというか単体ハードシーケンサーとして優秀すぎる。

トラック1でソリーナにMIDIで自動演奏のシーケンスを送りながら、自身はピアノパートを担当するというのが今回の使い方。2、4、6、8の各裏小節に対して16ステップずつのシーケンスが入ってる。

表小節と合わせて合計8小節分の打ち込みになるから、1つのパターンとして打ち込もうとするとホントは128ステップ必要(Lofi-12は1パターン最大64ステップまで)なんだけど、リサンプリング機能でフレーズ単位で数秒のサンプルにまとめることで全体のステップ数を減らし、8小節分のシーケンスを1パターンに収めてある。

リサンプリングしたフレーズはそれぞれ別のサンプル音になるからフレーズごとにトラックを分ける必要があるけれど、今回の場合は2小節目と6小節目のシーケンスが同じだから、使うのはトラック2〜4の3トラックのみ。トラック1のソリーナシーケンスとパターン内共存可能なのが嬉しいところだ。

ちなみに別のやり方として、2つのパターンをチェイン再生させることでも同じことは実現できる。ただ、このマシンのチェイン再生はリアルタイムのパターン変更が難しい(なぜかやたら誤動作リスク高い)から、途中でパターン切り替えもしたい場合はリサンプリング機能を使った方がいい。

今回ピアノのパートは1パターンだけだけど、上に乗ってるソリーナのシーケンスが2パターンあって途中で切り替えてるから、こういう使い方をすることにしてみた。本来想定されてるマシンの使い方ではないと思うけれど、僕のスタイルにはがっちりハマるからそれでよしだ。

単に64ステップのシーケンスをMIDIで送るだけならS-1なんかでもできるけれど、このLofi-12は多チャンネル構成だから、外部機器に送るシーケンスと自機で鳴らすシーケンスを別のものにできるところが本当に便利だとつくづく思う。

いや、まぁそんなにステップ数にこだわるならおとなしくDAWで打ち込めって話なんだけどさ(笑)

TR-8は909と727の混合構成がカッコいい

リズムマシンのTR-8については以前も記事で書いたTR-909とTR-727の混合構成。キック・スネア・クラップ・ハイハットがTR-909の音でそれ以外がTR-727。タムのかわりにボンゴとコンガ、シンバルのかわりにキハーダとスターチャイムをキットに組み込んでる。

最終的にリムショット以外の10個のインストを全て鳴らすことになるからビートはかなりパーカッシブになるんだけど、それでもリズムがまったく破綻しないのがTR-REC方式の凄いところ。ボンゴとコンガなんて自動演奏中に適当に打ち込んだだけなのに、この謎の躍動感は一体なんだって感じ。

これ、ピアノロールでゼロから打ち込もうとしても、なかなかこういう風にはならないんだろうな。

4小節目と8小節目に入るキハーダとたまに16小節目裏拍に入るスターチャイムは要所で効かせるアクセント。この手の飛び道具的な音はまぁこういう使い方が正しいんだと思う。スターチャイムの音色は相変わらず大好きだ。

ちなみにブレイクを挟むごとに音色が増えてくるけれど、すべての音は録音前に事前に打ち込み済み。8小節目と16小節目に変化を付けるため、16小節全てを使って打ち込んでいて、あとは展開に合わせてフェーダーでボリュームを上げることで音追加に対応してる。今回MG12XUを入れたことでドラム部分を全部抜くタイプのブレイクが凄く作りやりやすくなった。

脇を支えるミニガジェットシンセの活用法

残りのVolca FM2、S-1、J-6はバンドサウンドで言うところのベース、リズムギター、キーボードの役割。どれも主役ではないから特に展開は作らず、同じパターンをシンプルに繰り返してるだけだ。

Volca FM2については前にも紹介したDX100のSolid Bass再現音色でベースラインを弾いている。

これまでチャネル数の関係から出力はTR-8の外部入力経由だったけれど、今回直接ミキサーに入れてあげるようにしたから音がクリアになったような気がする。チャネルが別れてドラムとベースでEQを別にいじれるようになったのが大きいのかな。

S-1も64ステップのシンプルなラインを延々繰り返してるだけ。たしかチェーン再生はなかったはずだから、これが1パターンで入れられる最大のステップ数。4小節目だけカウンターのフレーズを入れる手法はまぁ定番だよね。

J-6はバンド用語でいう白玉系っていうのかな。シンセパッドとして全音符のコードを8小節単位で繰り返してる。S-1と同じ4小節ではなく8小節ループで組んでることが意外と重要で、こうすると他の機材が4小節分しかループを組めなくても全体的に8小節単位で展開してるように聴こえてマシンライブ特有のミニマル感が薄まるんだよね。

僕はミニマルなループをツマミ使ってぐりぐりイジるようなタイプの曲は今のところ作ってないから、このJ-6での8小節パッド打ち込みは重宝してる。

実際の録音方法についての紹介

実際の録音は今回も一発録り…と言いたいところだけど、実は一箇所だけ後から修正してる。ブレイクの入りでわずかにキックの音が入っちゃった箇所があって、そこだけは後から直した。

気づいたのが録音翌日だったし、このためだけにフルコーラス録音はさすがに面倒だったからね。ちなみに修正方法としてはACIDのカットアンドペーストを使って、一瞬だけ別の部分で録音した音と差し替えることで誤魔化してる。

それ以外は一発録り。MG12XU側でのボリューム、EQ、エフェクト設定調整はあらかじめ行っておいて、あとはミキサーのオンオフ(=ミュート)機能を使って、事前に考えておいた展開通りに概ね16小節単位で音を抜き差しする感じだ。

今回の構成だと、実際にはTR-8の自動演奏スタートボタンを押した瞬間に全てのシンセが同期演奏をはじめてる。ミキサーで音がミュートされてるからメイン出力側に音は出てないけどね。だからミキサーのオンボタンをタイミング良く押せば音の抜き差しは簡単にできる。

前まではツマミ上げ下げで音の抜き差しに対応してたけど、ボタン操作で対応できるようになってかなり便利になった。

ただJ-6のパッド音だけはリバーブがかかっていて、ミキサーのオンボタンを押すだけだとうまく音追加ができない。

これはどう対応するかと言うと、ミュート状態のままJ-6本体で演奏を一旦ストップさせた後、ミキサーでミュートオフ(=音が鳴る状態)にした上で手動で演奏を再開させるという小技を使う。そのせいで入りがコンマ数秒遅れてるような気がしなくもないけど、まぁそのあたりは味ということでよしとしておく。

こんな感じに全て仕込んだ上で録音をしてるから、マシンライブの特徴である偶発的な面白さみたいなものは正直ない。ただ、僕がやっているのはライブパフォーマンスじゃなく曲作りだし、これはこれで一つのやり方なのかなと思ってる。

ガジェットいじり始めてまだ1年半くらいだし、技術的にあまり難しいことはしてないけれど、それなりにしっかり曲っぽいものが作れてると思うしね。


そんな感じで今回は前回書いた僕のDTM環境(笑)を使って実際に作ってみた曲の話を掘り下げてみた。

こういう記事にどれだけニーズがあるか分からないけど、自分なら読みたいと思うし、たぶん一定のニーズはあるはず。

イイネだったり曲の感想含めコメントもらえるとやる気になるので、よかったらそちらもよろしくお願いします。

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