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2020年に読んでおもしろかった本を紹介する[小説編]

こんにちは、うすいです。2020年ももうすぐ終わってしまいますね、今年はより短く感じたな…!
最近学生時代によく読んでいた本をよく見返していて、改めて今年読んでおもしろいなと思った本をいくつか紹介しようかなと思います。

①スキヤキ/いとうせいこう

ある夜、その言葉が頭の中に鳴り響いた。「スキヤキだ。それなしでは生きていけない」スキヤキを食べながらカフカ的思考を重ねるスキヤキストSの冒険。かつて、これほどスキヤキを哲学した書があったか。(あらすじから抜粋)

筆者のS(いとうせいこうさん)がスキヤキをこよなく愛する存在=「スキヤキスト」となり、仲間と共に古今東西に実在するスキヤキ店を食べ歩き、スキヤキを追求し哲学していく本です。時には東西で味付けの違いを楽しみ、時にはしゃぶしゃぶと戦い(?)… ただのグルメ本に収まっていないところに筆者の想像力の凄さを感じます。
肉を食べた時の表現がとにかく素晴らしく、スキヤキへの愛が伝わってきて
文章だけで自分の中のスキヤキ食べたい欲をゴリゴリに刺激してきます。
今もなお実在する有名店の「和田金」なども紹介されていて、読むたびに
この本に載っているお店のスキヤキをめちゃくちゃ食べてみたいなあとなります…これは何回でも読み返したくなる飯テロ本です。

②朝日のようにさわやかに/恩田陸

こちらの本は恩田陸さんの短編集です。恩田陸さんといえば、「夜のピクニック」のような爽やかな文章を書かれる方だと思っていたのですがこの短編集を読んで
ホラーやSF味の強いお話も書かれるんだと、良い意味で印象が変わりました。 
どの話も面白く夢中になって読んでいたのですが、中でも「あなたと夜と音楽と」「冷凍みかん」「一千一秒殺人事件」というお話が好きでした。
内容としては14個の物語が収録されており、SFチックだったりじわじわくる怖い物語だったり、ほっこり心が暖かくなるものだったりと、夢中になって読み進めてしまうものばかりでした。

③村上春樹いじり/ドリー

昨今の村上バブルで、「あーあたし、なんか取り残されちゃってるわ。村上春樹なんかちっともわかんない。なにが面白いのあれ」と思っている方。もしそういう方がこの文章を今読んでいるのなら、この本をぜひ読んでもらいたい。なぜならボク自身がそういう人間だったからです。(前書きから抜粋)

この本は「風の歌を聴け」や「ノルウェイの森」など、村上春樹の長編13作品を
独自の視点で本音でレビューするというものです。
本のタイトルにあるように、筆者は村上文学へのアレルギーを持っており村上春樹の本に出てくる登場人物に対し「めんどくさすぎます」「こんなやつ身近にいたら絶対イヤですよ…」と、結構ばっさりといじったりしています。
そんな方が村上春樹の本に1つずつ突っ込みをいれながらレビューしていくのがとても面白くて(少し歪んだ視点かもしれませんが)夢中になって読んでました。
そして本文に出てきたレビューで大好きなくだりがあるのでご紹介します。(面白いので是非この前後も読んでほしい)

「ビヨン・ボルグが激しく打ち返してるんだ。スマッシュ!」
もうこのくだりを見た瞬間に、僕が春樹文学に目ざとく反応してきた何かが臨界点に達した、と思いました。〜〜〜僕が求めているのは、こういう直視できない「快感」なのです。もうこのつらさを体感することが春樹文学の上質な喜びなんだ、ということが今あらためて、わかりました。(本文から抜粋)

自分自身この本を読むまで、村上春樹の本はなんか好かん…という理由で読んだことがありませんでした。(おそらく意識高い系に対するこうなれないという僻みや嫌悪感に近い感情で)
村上春樹の本を純粋に楽しむことが恐らくできない私はこの「村上春樹いじり」のようにツッコミを入れながら村上春樹の本を読む、ということをしてみたのですがとても面白かったです。(純粋に好きな方はすみません)
本に対して食わず嫌いはよくないというか、また違った視点から見ていくと
めちゃくちゃ面白いんだな〜と思わせてくれた本です。

④コンビニ人間/村田沙耶香

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
これまで彼氏なし。仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、
完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。(あらすじから抜粋)

この本に出てくる女性はマニュアル化されたコンビニの店員であることに自分らしさを見いだして、世界の歯車になることに価値を見出している人です。
そんな女性を結婚や正社員になることを主人公に期待する周囲とのギャップを通して、 「普通」を強要する社会の風潮を独特のユーモアを交えて描いています。

読んでいるときは主人公に共感や同情する気持ちから、どんどん恐怖心というか あれ、
この人の考えていることはおかしいのかな…?と心を揺さぶられたり、何が普通で何が異常であるのか、正しさとはなんなのか、そんなことを考えてしまいました。
読んだ後は、じわじわ迫ってくるような恐怖心と気持ち悪さが残って若干胸糞みたいな気持ちにはなったのですが、この小説のことを私は忘れられないだろうなと思いました。内容にそれぐらい衝撃がありました…
正直好き嫌いははっきりと分かれそうな作品だと思いましたが興味があればぜひ!

以上が今年読んでおもしろかった本でした!
本って読むたびに読み終わったときの気持ちが変化したり、あのときは主人公の
行動にもやもやしたけど今となってはこれしちゃう気持ちわかるなあ…とか、
そこが面白いなあって改めて思いました。
お気に入りの本を捨てれずに本棚が埋まっていく感じとか、内容分かってるのに読み返しちゃう感じがひたすら愛しいな〜〜と…!

余談ですが伊坂幸太郎が書く小説も学生時代からものすごく好きだったので、また伊坂幸太郎の本だけ集めて紹介できたらいいなあ…読みやすいのもあるんですけどなんか面白いんですよね…重力ピエロとか映画も小説も大好き…
次は読んで面白かった漫画とかも紹介できたらいいな〜と思っております。

今回はこんな感じで、また次の投稿でお会いしましょう。メリークリスマスイブ!

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