見出し画像

異世界の島 第一章(第10話 意外な動き)

異世界の島も、10話になりました。(ストーリーが進むのが遅いって?言わないで…)次から多分第二章になると思います。4人が全員揃ったので、この5/2の地獄からやっと抜け出せますね。これまでは「異世界の島」にふさわしいような動きがありませんでしたが、今回はどうなんでしょうか。(そして、フェス2日目。)


私たちは暮れてゆく太陽を眺めながらお互いの話に耳を傾けた。
だが、特に大地の話は特徴的だった。
「僕は、いわゆる忍者のような家で育ったんだ。先祖代々剣術をやっていて、僕もそれを身につけなければいけなかった。そのうちに景色に溶け込む方法を覚えた。一回皆んな目を10秒位閉じてご覧。
僕が見えるかい?」

私たちは目を開けたが、まるで誰もいなかったような風景が広がっていた。だが、風花だけ空中を見ている。すると、スルスルと人の形が見えて来て、形が戻った。
「見えなかっただろう?」
「いえ、見えました。」
風花が即答した。大地は苦笑して、
「多分君だけだと思うよ。君には真実をみる目があるのかな。」
と答えた。確かに私には見えなかったし、烈もぽけ〜と大地を見ている。
「どうやっているんですか?」
「おっと、それは言っちゃいけないことになっているんだ。言ったらどこにいても術が発動して殺されちゃうからね。」
冗談を言っている顔ではない。私たちは頷いて、そのことについては何も言わないことにした。
いつのまにか陽が落ちて、西はあちらなんだと皆納得した。

夜はイチナムの実と、川で(大地が)捕まえた魚を食べ、木の影で寝た。
でもなかなか眠りつけなかったので、番を買って出てくれた火のそばに座っている大地のことをこっそり伺いみると。
「もしもし。はい、お母様。術で電波を送ることはできています。はい。い、いえ、ここでは…。はい。違いますよ!どうしても位置情報が確定できなくて。え、そうなんですか!?はい。今はどうしようもない、3人を助けながら生活しろと。はい。わかりました。それは気をつけます。あ、そうなんですか。まあ、聴かれても大丈夫でしょう。私ももう知ってましたし。では。」

手に小さい四角形のものを持った大地は電話みたいなものをきって、
「どうしました?秋月水穂さん。」
と私とは別の方向を向いているのに話しかけてきた。
「ばれているなら仕方ないですね。眠れないからここにきただけなんですけれど。それより、何しているんですか?」
「これはね、僕の家に先祖代々伝わる媒体なんだ。」
明らかに話を逸らしている。聴かれたくないのだろうか。
「そうなんですか。それで、何をやっていたんですか。」
「術を使っていたんだ。」
「で、何をやっていたんですか。」
意外な攻撃に大地は目を丸くする。そして笑みを作った。
「これはね、君たちには教えられないことなんだ。ごめんね。」
「そんなに秘密を抱えている人とは一緒に生きていけられるとは思いません。」
「いやいや、それこそ他の2人だって秘密は持っているだろうし、君だって持っているだろう?山ほど僕が知らないことを。それとも、術を使って君の秘密を喋らせようかい?」
「…わかりました。それじゃあ」
「まてまて。いつか教えてあげるよ。だから今は、ね?」

私は寝に行った。今度はすぐに寝てしまった。