Sui彩の景色 -近景- #06 -半吉-
バス停の前に立ち、大通りのカーブの向こう側から帰省する為に予約した高速バスが見えるのを、今か今かと震えながら待っていた。
予定の時刻から数分遅れてバスが到着すると、僕はすぐさまスマートフォンの画面に映る乗車券を見せバスに乗り込んだ。
暖かな車内とエンジンの振動が心地よく感じられ、ウトウトしているうちにバスは首都高を駆け抜け、最初の休憩地点となるサービスエリアに止まった。
トイレを済ませ、軽食と水と缶コーヒーを買って車内に戻ると程なくしてバスは動き出した。
辺りは見渡す限りの山