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【創作者向け】キャラとストーリーの創作ができるゲームを考えてみた

この記事の概要とお知らせ

この記事は「漫画を制作したい!」と思いつつもストーリー作りが全くできなかった私が自分の創作を助けるゲームの冊子を作るまでの話です。創作者なら誰もが遊べるゲームになりましたのでもし興味を持っていただけたら創作者向け世界観共有ゲームの記事を購入して一緒に遊んで欲しいです。


創作はしたいけど私には問題がある

少しだけ私の自己紹介をさせてください。
私は創作が好きです。
特に漫画を描くのが好きです。
素敵なキャラクターを生み出し、そのキャラクターたちの物語を漫画で表現したいと思ってきました。漫画雑誌での連載漫画家を目指していた時期もあります。

ただし、私には漫画を描くには重大で致命的な問題がありました。
ストーリーを考えるのが苦手なのです。
漫画を描こうと思ったとき、「何が起きたら面白いんだろう」なんて考え出すとドツボにはまって何も考えられなくなります。

もちろん漫画家になるために勉強はしてみました。ストーリーの盛り上がりはこうとか、どんでん返しはこのへんで起こすといいとか、魅力ある悪役づくりとかライバルは主人公の真逆の性格にとか、創作の基本で学ぶテクニックに基づいて色々と考えてストーリーを練っても私の漫画は全く面白くなりません。

今までやってきた他のどんな勉強と比較して、相当な時間を費やした段階までいっても、漫画に関してのコツはつかめませんでした。それこそ異常なほどに漫画のストーリーの作り方について一切何も理解できなかったのです。こんなにわからないことあるのかというくらいストーリー作りについてどうすればいいのかがわかりませんでした。

基礎の学びを何年も続けた経験は私を頭でっかちにしましたが、知識をいくら学んでも結局面白いストーリー漫画が描けるようになる気配はありませんでした。かといって実践を怠っていたわけではなく、学びをアウトプットしなくてはと半ば強引に毎月のように読み切り作品を漫画賞に出し続けていました。それでも上達する気配は一切ありませんでした。

私はもともと知らないことについて勉強するのは好きなほうですが、私の「漫画を描きたい」という望みと、「こうすれば面白い漫画が描けるようになる」という学びとはものすごく相性が悪かったように思います。

(あくまで私が講座や技法を学んでどうにかなるようなレベルに居ないのがよくなく、漫画やシナリオについての学びはもちろん創作を志す人にとって大いに役に立つと思います。私はもっと前の段階から学ぶ必要があった上、別の考え方を模索すべきだったということです。)

私はついには漫画を描いている時に感じていた楽しさすらどこかに吹っ飛んでしまいました。面白いストーリーを作ろうとするあまり変に計算してこねくり回すようになってしまい、起伏のあるストーリーを描きたいはずなのにそう願えば願うほどなぜか解決したい問題など何もない何の事件も起こらない真っ平の物語を生み出してしまいます。主人公にはとってつけたような目的しかなく、しまいには作者である自分自身も何がしたいのかわからなくなり何とか形にしても全然納得できないものが完成していました。

それでも私は漫画を描くのが好きなのです。表現がしたいという欲だけは有り余るほどあるんです。そしてそれを表現する方法は漫画がいいと(こんなに描けなくても)思うのです。どうすれば漫画が描けるようになるのか私はずっと考えてきました。

そしてある時漫画のストーリーが描けないということは実は裏を返せば私には表現したいものが特に無いという可能性があるということに気がつきました。私には主人公が渇望してどうしてもこれを手に入れたいと思うような欲を持たせられないのです。だから主人公が動かないしストーリーにも起伏が無くなります。
そうか、私には漫画を通して表現したいものがないのか。そう思い至った時、最初はそんなまさかと思いました。だってじゃあなんでそもそも私は漫画を描きたいなんて思いついたんだろう。伝えたいことがあったから漫画を描くという手段を選んだんじゃないのだろうか。

しかし考えれば考えるほど「漫画が描きたい」「表現したい」が先行して肝心の「伝えたいこと」が無いということがわかってきました。

もしかしたら私は自分が一番初めに触れた漫画という表現方法に憧れがあっただけで、ただその憧れの対象を自分でも生み出せるようになりたい、なれるはずと身の丈に合わない望みを持ってしまっただけなのかもしれません。
表現したいものなど自分の頭の中に何も無いにも関わらずです。
しかしながらそのことに気づいてしまってもどうしても漫画が描けるようになりたいという気持ちは消えませんでした。

そのため私は漫画を描くために新しい手段を考え出す必要がありました。別の考え方、作り方をすることで、伝えたいこと見せたいものから作るための方法を考えるのです。
名作を生み出してきた数々の漫画家は「キャラクターが自分で動く」と言います。私もその状態にしたいのです。そのための自分に合った方法があるはずだと思いました。主人公が自分で動くようになることを目標に私は挑戦を開始しました。

私にも漫画が描けていた時がある

そうは言っても実は私にも楽しく漫画をかけていたタイミングが2回ありました。それは、①二次創作作品を描いていた時②世界観共有企画に参加していた時です。

世間一般に言う面白い漫画が描けていたかは関係ありません。
重要なのはその時の私は漫画を楽しく描けていたということです。
その時はキャラクターが自分で動いてくれて、作品を作るごとにキャラクターの解像度が上がっていく実感がありました。
それは私にとってとても楽しい経験でした。だからキャラクターが自分で動くことがどういうことかわかっているつもりですし、それが漫画を描く人にとっていかに大切か、そしてそれがどんなに楽しいことかもわかります。

その2回の経験は私にとって大成功のタイミングでした。
ただ、その2回をなぜずっと続けなかったのかというと一つだけ叶えられていない望みがあったからです。ここで再度私のわがままが顔を出すのです。

それは、自分が一から作り出した世界観で表現がしたいという願望です。
①も②もその部分は叶えられていませんでした。それが私を物足りない気持ちにさせていたのです。
私が考えた世界の中で私の創ったキャラクターが生きてその人生の一部が物語になる形でなくちゃいけない。そうでなくちゃ私は本当の意味では満足できない。
それが叶わなければ私の「表現したい」という欲が本当の意味で満たされたとは言えない。①と②の体験を経て私は強くそう思いました。

頭でっかちになって二進も三進も行かなくなるほど研究熱心だけが取り柄の私は、その欲を叶えるためにはどうすればいいか考え始めました。①と②の経験を分析し、あの時は何が私に漫画を描けるようにさせていたんだろう。何か理由があるはずと根本的な理由を考えました。

そして①②に共通する条件を見出したのです。

創作を表現するのに必要な条件とは

理由はいくつか考えられましたが、突き詰めると結論は
その2回とも『ストーリーよりも設定が先に存在している』ということです。

①に関しては元々キャラクターが居て、世界観があって、ストーリーもありました。
②では元々世界観があり、そしてストーリーよりも先にその世界観に合うキャラクターを考えました。
どちらも世界観や設定が先に立っており、そこにキャラクターを作り出して創作していったという経緯があります。

つまり私は
設定があれば漫画が描けるのではないか
ということです。
設定を先に作ることで①②の時のようにするするとストーリーが浮かぶようになるかもしれないと思いました。

設定があれば自分で動くキャラクターを生み出せ、その結果ストーリーがするすると浮かび、楽しく漫画が描けるようになるのではという仮説が立ちました。

私がうまく漫画を描く方法はこれだ

上記はあくまで仮説にすぎません。検証する必要があります。

私は世界観を先に作る方法はこれだと決めていました。昔から創作界隈には『世界観共有企画』という素晴らしいアイデアがあります。これは②の時にうまくいった方法でもあります。

世界観共有企画とは創作企画とも呼ばれ、誰かの作ってくれた世界観を借りて創作者が自分でキャラクターを作ったり誰かのキャラクターを借りたりして、イラストや漫画や小説やその他何かしらの表現をするのが基本の遊び方です。
世界観共有企画は人に自分の考えた世界観をプレゼンする資料を作ることから始まります。まず最初に世界観を作りこむところからスタートするのです。

私にはこれが合っているようでした。世界観を作りこんでいる時間はとても楽しいものでした。楽しかったのですが、私は世界観共有企画で世界観を作りこむだけじゃ不安でした。経験上、ストーリー作りに大変な苦手意識があるからです。そこで世界観を提案するだけじゃなくストーリー部分もゲーム感覚で遊べるように出来たらどうかと考えました。少なくともストーリーを考える時にとっかかりにはなると思いました。

創作界隈にはそれにも適したツールがあります。「TRPG」のシステムを利用するのです。そのシステムとは簡単に言うとストーリーを進める時に判定のためにサイコロを振り、行動するキャラクターのステータスによって成功失敗が決定する昔から広く遊ばれているゲームです。(※簡単に書きましたがTRPGの実際のルールはもっと複雑なものです)
TRPGもゲームごとにそれぞれの世界観が存在していますので世界観共有企画と通ずるものがあります。

さすが世界中で遊ばれているTRPGのシステムは汎用性が高く、取り入れるのは簡単でした。世界観共有企画では大抵主催者が初めにキャラクターシートを作るのですが、そのテンプレートに必要なステータスを書き込むようにしました。
ステータスはキャラクターの深掘りにも役に立つと思いますし、複数人で遊ぶ場合にどんなキャラクターなのか共通認識を持つための指標になると思いました。

こうして私は創作漫画を描きたい一心で漫画が描けるようになるかもしれないコンテンツの着想を得、実際に1冊の冊子を作りました。私は誕生したコンテンツを世界観共有ゲームと呼んでいます。
世界観があり、キャラクターを始めに作り、それからストーリーもサイコロを使って遊ぶことができます。

実際にキャラクターを作ってみて遊んでみると私に合っている漫画の作り方はこれだったような気がします。依然と比べ楽しくストーリーを考えることができるようになりました。
世の中の漫画制作者さんたちが自然にやっている部分が自分にはできていなかったんだなあと感じます。

とにかく私は不器用だが結果よかった

漫画のストーリーを考えるのにこんなに回り道をしないといけないのは側から見たらおかしな話だと思います。世界観とキャラクターづくりが頭の中でできる人にとっては何を悩むことがあるのかと思われることでしょう。
世の中にはこんなやつもいるんだなと思ってほしいと思います。

私が不器用なせいで世界観を固めるのに何かしらのツールがないと無理だったし、ストーリーのベースが無いと何も思い浮かばない人間もいるのです。しかもその不器用がどうしても創作をしたいと願っているからには何かしらルール化しないとならなかったということです。

しかしおかげさまで自分でも一生遊べそうなコンテンツを作り出すことに成功したと思っています。私は私が楽しく創作ができ、漫画が描ければそれでいいのです。世界観共有ゲームは今後ライフワークとしていろんな世界観でシリーズ化していきたいと思っています。

もしかしたら私のほかにも同じ状況で立ち止まっている人が世の中に一人でもいて、このコンテンツで遊ぶことでストーリーを作れる助けになるかもしれないと思ってこの記事を綴っています。
そんな不器用な人はそうそういないと思いますが、もし面白そうだと思う方は試し読みだけでもして頂けると嬉しいです。


すべての創作者が楽しくなればいい

色々書いてきましたが創作は自由なものなので誰もが楽しんで漫画が描けるようになって欲しいし、漫画に限らず表現の手助けができるコンテンツを今後も作り続けていきたいと思っています。
思い切り創作ができるというのはとても楽しいことなので、誰もが伸び伸びと自分の表現したいものを創作できる世界になるように祈っています。
そして自分が何より楽しんで創作を続けていけるようにこれからも活動を続けていこうと思っています。

睡夏 SUIKA

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