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梵は猫

2016年7月16日、こねこを拾った。

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祖母がうちの庭で親猫と4匹の子猫を見つけた。
そのうち引っ越すだろうと放っておいたら、いちばんちいさいオスが一匹、置いてけぼりにされていた。
親猫は時々、自分の子育てキャパが超えてしまうと、こうして子どもを置いていったりするらしい。

1日経っても親猫が迎えに来ないので、保護することになったのだった。
3年前に犬を亡くしてなんとなく寂しかった我が家は、どうしよ〜!と言いながらも家族全員ニコニコで拾った。

まずはお湯で優しくシャンプーした。
ノミが顔中を這い回っていたが、めちゃくちゃかわいかった。
我が家はノミだらけになり、みんな足をぼこぼこに刺されたが、ニコニコしていた。

獣医さんに診てもらうと、平均よりかなりちいさいと言われた。生後20日前後との見立てだった。
このくらいの日齢のこねこは絶賛乳飲み子で、3時間ごとにミルクをあげる必要がある。
幸い、家には誰かしら人がいるので、家族みんなで世話をした。
みんなにこにこになった。

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ちっちゃ。

いちばん嬉しそうだったのは祖母で、暇があれば抱っこして寝かしつけていた。
始めは引き取り手をさがしていたものの祖母が気に入ってしまい、うちで暮らすことになった。

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まいにちどうにかなりそうだった。かわいくて。

こねこは、旧盆の時期にうちにきたので「ぼん」と呼ばれるようになった。
わたしは「梵」という漢字を当てている。尊いので。

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ちょうどこの写真の頃くらいのとき、梵は頻繁に下痢をするようになり、ついにその下痢に混じって白い虫が出てきた。猫回虫である。
野良猫はだいたい猫回虫をもっている。親猫が感染していると、子猫に胎盤感染するので、子猫も猫回虫をもっていることが多い。

病院で薬を処方してもらい、回虫も退治した。しばらく梵のいる部屋は下痢まみれになった。それでもみんなニコニコしていた。やばいので。

子猫の成長は早い。

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じゃれるし

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西野カナ好きだし

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爪もとげるし

5ヶ月もするともう猫ですね。目の色も変わる。
このくらいのころから、猫と人間の知恵くらべが勃発する。
入って欲しくないところに入ろうとする猫。
なんとしても阻止する人間。
結果、テレビの裏に入らないように段ボールのバリケードを張り、障子はビニール加工され、棚の上には一切物を置かなくなった。

猫と暮らして感じたのは、猫の賢さと諦めない心。
個体差はあると思うが、梵はよく人間の行動を観察していて、どうやってドアを開けるのかとかを見ている。そしてドアノブを回したりする。
引き戸はとにかくカリカリやって、開けてしまう。

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おいおいおい。

ついに引き戸を開けてユリが飾ってある部屋に進入してしまい、葉っぱを食べてしまったことがある。2017年12月30日のことだった。
家族は猫にとってユリが猛毒であることを知らずのんびりしていた。
病院なんかに行かなくても大丈夫だろ、と言う父を無視し、
わたしは血相を変えて梵をキャリーにぶち込んでチャリに跨った。

近所の動物病院は閉まっていたものの明かりがついており、死にものぐるいでドアを叩いてすみませぇん!と叫び続けた。
驚いた獣医さんが飛び出てきて、訳を話したら即点滴の処置をしてくれた。
梵がすぐに吐き戻したのがよかったのか、ユリ毒で大事にいたることはなかった。4万がブッとんだ。

これは完全に人間の過失。反省。
今後一切我が家ではユリを飾ることはなくなった。

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そんなこんなで、梵はいまでも元気に生きている。
父の機嫌が悪いときも、梵がいると一瞬で改善する。
父は梵があまりにも可愛いので、高級猫”ベンガルキャット”の血が混じっていると信じて疑わない。狂っている。
祖母も梵がきてから自発的な行動が増えた。
祖母は昨年亡くなったが、最後の生活に梵がいてくれてとても良かったとおもう。
梵様様である。

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祖母に抱っこされる梵。

梵は現在、立派なオス猫になった。
去勢をしたのでたまたまはにゃい。
抱っこは嫌い。
お膝では寝ない。
スリスリは朝しかしない。
眠る時は自分のベッドで寝る。
男の人が嫌い。
知らない人にはシャー!と怒ってしまう。
でもきれいなおねいさんは好き。
基本的に愛想はなく、調子が良い猫であると思う。
でもなんだかわたしは梵が大好きだ。
理由はよくわからないけど、素晴らしい猫だと思う。

わたしのことをどう思っているのかはわからないが、実家に帰ると近づいてきて、鼻を差し出してくる。鼻チューをすると、嬉しそうに尻尾をあげ、おもちゃがしまってある場所に手をかけて「遊べ」と言う。
わたしは梵の遊び担当の人間だ。

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猫はおすすめの伴侶動物であるが、迎える前に猫の本を家族で一冊読むことをおすすめする。知識はつけておいて損はない。
あと、突然10万円くらいぶっ飛ぶ事件がおきても大丈夫なくらい、お金を蓄えておく必要があると思う。まじで何があるかわからないので。生きものは予想の斜め上をいく。
あと、爪切りがめちゃくちゃに大変だ。噛まれるので、エリザベスカーラーをつけて、大人3人がかりで切っている。
爪切りの後、梵は10分間人間不信になる。

大変なことはあれど、猫のいる生活は楽しい。
梵、うちにきてくれてありがとう。
これからもゆっくりしていってください。

ちなみにわたしは、どちらかといえば犬派です。

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